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第84話『全裸の神官たちと、謎の祭壇』

──山深き静寂の地に、ひとつの村があった。


名をリヴァル村。地図には載らず、王国の行政区画にも記録されていない「忘れられた地」。


だが、そこには確かに“文化”が息づいていた。


そして──その文化とは、「服を着ないこと」。


 


「お、おいリリア、本当にここで合ってるのか……?」


 


流星が土道を歩きながら、いまさらながらに不安を口にした。


同行しているのは、もちろんおなじみのパーティー面々──リリア、アリシア、ヴァネッサ、ミレーユの四人。


だが全員、表情が引きつっていた。


 


「まさかとは思ったけど……ここ、本当に服を着てる人がいないわね……」


 


リリアの視線の先には、筋骨隆々の男性や年配の村人、はては幼い子どもに至るまで──全員が一糸まとわぬ姿で、まるでそれが当然のように暮らしている光景。


 


「お……おじいちゃんが薪割ってる……全裸で……!」


 


ミレーユが目を覆いながらも、指の隙間からガン見していた。


 


「うん。いいね……この村、潔い……!」


 


ヴァネッサはむしろ感動している。腕を組んだまま、感動のため息をつく。


 


「まさに開放。理想の全裸筋肉社会……!」


 


「理想じゃないですから!」


 


アリシアが即座にツッコミを入れた。


 


 



 


村の中心部。簡素ながら清潔な建物が立ち並び、その中心にあるのが──“癒しの神殿”。


見た目は普通の公民館のようなそれに、村人たちは次々と“全裸で”入っていく。


入り口には、木彫りの板が掲げられていた。


 


【全裸にて、心身の穢れを祓え】


【祈りとは、最も正直な姿でするべし】


 


「……ここ、何かおかしい。癒しの村ってだけじゃない」


 


アリシアが呟いた。


その言葉に、ミレーユがうなずきながら答える。


 


「うん。さっきの石碑……あれ、ただの祈祷用じゃない。“封印”だと思う」


 


流星が思わず振り向く。


 


「封印……?」


 


「この村……何かを“閉じ込めてる”」


 


祭壇には、奇妙な円形の刻印と、中央に嵌め込まれた「黒い宝珠」。


その周囲に記された古代文字は、ミレーユによれば“抑圧・禁断・快楽”などの意味を含んでいるという。


 


「かつて、この村では“快楽の神”を祀っていた痕跡があるの。でも、ある時を境に、その神は“封印”された──そうとしか思えないわ」


 


「じゃあこの全裸文化は……?」


 


「“快楽の管理”を、健全な方向に変換した結果かもしれない」


 


妙に真面目な考察に、ヴァネッサだけがやや浮いた声で答えた。


 


「え、でも脱がなきゃ祈れないなんて最高じゃん? うちの筋トレルームもそうしようかな~」


 


「それ絶対通報されるからやめろ!」


 


流星が即座にツッコミを入れる。


 


 



 


その後、パーティーは村の長老──見た目100歳は超えていそうな全裸の老神官──から正式に依頼を受けた。


 


「この祭壇が、最近、うっすらと……温かくなってきておるのじゃ……封印が……揺らいどる」


 


「……その原因、調べてほしい」


 


老神官の言葉に、ミレーユが頷いた。


 


「承知しました。“封印の揺らぎ”は魔力の漏れが原因である可能性も。調査のため、今夜、この祭壇にて全裸祈祷に参加します」


 


「ええぇぇぇぇええええええっ!!?」


 


一同、絶叫。


 


「待て待て待て、俺たちも出るのかその祈祷!?」


 


「当然ですわ。信仰の実態を調査するのに、抜けるわけにはいきません」


 


アリシアが、冷静に告げた。


その表情は真面目そのものだが、頬はやや赤い。


 


「う、嘘だろ……これ……明らかにラッキースケベフラグじゃん……!」


 


流星が天を仰いだ。


だが、このリヴァル村の真の姿は──まだ誰も知らなかった。

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