表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
89/229

第78話『神殿大乱戦!女騎士団vs煩悩ハーレム』

 ──風が、神殿の塔を吹き抜けた。


 


 南海の孤島、アナナス島。その中央にそびえる神の神殿。

 石造りの巨大なドームと聖域の柱廊。神聖なる静寂を湛えたはずのその空間が、今──絶叫と煩悩の爆音に包まれていた。


 


「ここが……神の聖地? ええい、何が神聖だ。やるしかないわね!」


 


 金髪の魔法使いアリシア・ルーンフィールドが、杖を天に掲げる。


 同時に、神殿の中庭を埋め尽くす白銀の鎧の女騎士たちが、長槍を構えて一斉に突撃してきた。


 


「侵入者は殲滅せよ──神の名において!」


「快楽の否定は罪である! 男どもを花嫁として導け!」


 


 ──異様な空気。


 正義と狂信が紙一重で混ざったその声は、まるで狂気の宗教儀式そのものだった。


 


「来るぞ!! 全員構えろ!!」


 


 先陣を切ったのはリリア。


 銀髪をなびかせ、剣を抜き、最前線へと飛び出した。


 


「いけぇぇぇええ!! うちのバカ殿に手ぇ出してんじゃねぇええええ!!」


 


 その剣は疾風。


 まるで舞うように滑り込んだリリアは、突き出された槍を紙一重で避け、相手の懐に踏み込んで一閃。


 


 ──ガインッ!


 


 美しい音を立てて、敵の槍が弾き飛んだ。


 


「リリア、左から回り込む! 援護を!」


「任されたわ!」


 


 続いて後方から、アリシアの魔法が唸る。


 


「《雷鳴の槍〈ライデンランス〉》ッ──!」


 


 杖の先から放たれたのは、空を裂く雷の槍。


 それは地を駆ける女騎士たちの防御陣形を粉砕し、背後の柱をまとめて貫いた。


 


「さすがアリシア! その破壊力、マジでヤバい!」


 


 流星が叫びながらも、背後から迫る二人の女剣士をかわし、腰の短剣で一人を気絶させる。


 


「……って、俺なんで女の子殴ってるんだっけ!?」


「“洗脳された聖女騎士”だからセーフよ!! いけ!!」


 


 リリアの勢いに押されるように、流星も前線に躍り出る。


 


 ◆


 


 一方、神殿の右翼──祭壇へと続く回廊では、筋肉と煩悩の権化、ヴァネッサ・ブラッドフォードが暴れていた。


 


「ねぇアンタたちさ……騎士なら、殴り合おうよ♡」


 


 鎧の胸元を大胆に開いた彼女は、巨大な戦斧を片手に笑う。


 


「ひっ……なんだこいつ……!」


「変態だ! 色気が強すぎる!!」


 


「うふふ♡ 褒め言葉ね?」


 


 ヴァネッサの斧が風を斬り、女騎士たちの槍をまとめて粉砕していく。


 その周囲では、動揺した騎士たちが思わず防御に徹してしまう──彼女の“色気”と“圧”の前に。


 


「私、強い男好きだけど、強い女も好きなの♡ でもね?」


 


 斧を構え直し、笑みを浮かべる。


 


「アンタら、どう見ても“自分”を失ってる」


 


 ──ドゴォォン!!


 


 回廊の床が砕ける音と共に、女騎士たちがまとめて吹き飛んだ。


 


「チッ、効率悪ぃな。こっちはこっちでまだまだいるぜ……!」


 


 ◆


 


 神殿の聖域奥。


 


 そこでは、ミレーユが神殿の魔力構造を分析していた。


 


「……やっぱり。ここは“神の力”じゃない、“人為的な魔術”でできてる……!」


 


 王家に伝わる封印魔術を発動させるミレーユ。


 


「我が血統に伝わりし、浄化の法よ……今ここに、偽りを断て!」


 


 煌めく魔方陣が大地を走り、神殿全体に亀裂が走る。


 そのとき、奥の玉座に座っていた夢魔神官・レイナがゆっくりと立ち上がった。


 


「……やはり、貴方たちは“神の花嫁”にはなれないようね」


 


「うるせえよッ!!」


 


 神殿中央へと駆け込んだのは、常盤流星。


 息を荒げ、額に汗をにじませながら剣を構えている。


 


「神の花嫁だか何だか知らねえがな──!」


 


 流星の声が、神殿全体に響き渡った。


 


「風俗は、“自分の意志”で行くもんなんだよ!!」


「癒されたい? 甘えたい? 寄りかかりたい? そりゃあるさ!」


 


「でもな──! だからって、誰かに“選ばされた癒し”なんて、冗談じゃねえ!!」


 


 その言葉に、神殿の空気が震えた。


 そして……レイナの瞳が、かすかに揺らいだ。


 


「……あなたは、なぜ、そこまで“現実”にこだわるの?」


 


「簡単だよ」


 


 流星は、剣を下ろし、代わりに胸を張って言った。


 


「現実には……お前らみたいな最高の仲間がいるからだ!!」


 


 ──その背後に、リリア、アリシア、ヴァネッサ、ミレーユが揃って立っていた。


 


「私たちは、アンタを信じてここまで来たのよ!」


「また風俗行っても許すから! だから今だけ、全力で倒して!!」


「おらああああああ!! 幻術ごとぶち抜けぇぇぇえ!!」


 


 流星の剣に、4人の“想い”が宿る。


 放たれた一閃──


 それは神殿の空気を裂き、レイナの心に突き刺さった。


 


「……っ!!」


 


 レイナの体が崩れ落ち、神殿の魔力が次第に薄らいでいく。


 


 ◆


 


 ──神殿大乱戦、終幕。


 勝者は、煩悩と仲間の“現実”を選んだ流星たちだった。


 


 けれども、物語は終わらない。


 この島の支配は、まだ“神”の影を残している──

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ