第66話『流星、逆風俗の罠にハマる!?』
――それからおよそ二十分後。
流星は、床に突っ伏していた。
全身汗だくだ。口は開き、呼吸は荒く、眼はどこか遠くを見ている。
「……あの……これは……拷問では?」
「違いますわ。“ご褒美”ですわよ。ふふ、まだ序の口ですのに」
そう言ったのは、《クイーンズ・シンフォニー》の“ナンバーツー”を名乗る女王様、《カリーナ・ヴェルベット》。
彼女は黒革のミニスカートとハイレグボディスーツ、ピンヒールという、とんでもない格好をしていた。
しかも容赦ない。命令口調。眼光。ムチのしなり。
「ご主人さまの脚の裏、舐めてみたいんでしょう? ほら、正直に言いなさい」
「そんな性癖ないです……」
「あるってことね♡」
「ねぇぇぇよおおお!!」
だが、否応なく“プレイ”は進んだ。
神殿街での経験に比べればまだ理性は保てていたが、精神的ダメージは桁違いだった。
なにしろ、“ラッキースケベ”という一線を軽々と超えていたからだ。
──そして、事件は起きた。
「おい、あの男、本当に“調査者”か? 反応が面白すぎるぞ」
隣室の覗き窓から、女王様たちが集まり出した。
「ねぇ、次、あたしもやっていい?」
「ちょっと交代まだ? あたし、ヒール踏みしたいんだけど♡」
「順番守って! これは“公的調査協力”なのよ!」
「うそだろ!!?」
まさかの“順番待ち女王様ラッシュ”が発生。
流星は、ベッドの上でガタガタ震えた。
そして、そのときだった。
――ドン!!
建物の扉が吹き飛ぶ音がした。
「男を返せ、このド変態どもォォォ!!」
「流星をこの世に戻せぇぇぇぇ!!」
「どの口が“癒し”とか言ってんだコラァァ!!」
ヒロインズが突入したのだ。
リリアはレイピアを振るい、アリシアは魔法で壁を焼き、ヴァネッサは斧で扉を真っ二つにし、ミレーユはなぜか神託魔法を詠唱しながら突撃していた。
「うちの男を!! これ以上搾るなァァァ!!」
「いや、ちょっと待って! 俺、無実! 無垢!! 無関係!!」
そして、女性用風俗館は、爆発音と共にその日最大の騒動に見舞われたのだった――。
それが後に語られる、“逆風俗破壊事件”の真相である。




