表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/229

第62話『神託の泉、浄化完了──でもフラグは立ったまま』

──それは、奇妙で、騒がしくて、ちょっぴりエッチな冒険の、一区切りだった。


 


南国神殿風俗街《ユニ=ラマ》。


神の名を騙った幻術の事件が解決されて数日後、

かつての喧騒は静まり返り、通りにはまた平和な笑い声が戻ってきた。


 


「これで、正式に《神託の泉》も営業再開ですね」


アリシアが小さく頷いた。


その瞳はどこか柔らかく、いつもよりも緊張感が抜けている。


 


「まあ……“ちゃんと許可と教育を受けたスタッフだけ”って条件つきだけどね」


 


ミレーユが補足する。


 


「以前のような“記憶改竄の幻術香”はすべて破棄されたし、

“快楽神官団”も解体処分されたわ。これで、ここも健全な“癒しの場所”として再出発よ」


 


「ふふ……“健全な風俗”って、なんか新しいね」


リリアが呆れ混じりに笑う。


 


「お前が言うなよ……」


流星は苦笑した。


彼の背中には、あの“戦いの証”とも言える小さな剣の傷跡がまだ残っている。


 


──そして、ギルド本部から届けられた報酬は、

大量の金貨、称号《快楽の守護者》、そして──


 


「南国温泉旅館・三泊四日ご招待券♡」


 


「いや、なんでそれなんだよ!? もっとこう、名誉とか……勲章とか……!」


 


「要るの? あんた、絶対温泉行きたがってる顔してるけど」


 


リリアの鋭い指摘に流星は絶句し、

結果的に“断る理由もなく”、温泉地へ移動する運びとなった。


 



 


──そして温泉宿、《ナグナ・リゾート》。


 


南国風の造り。

木製の湯殿。

月明かりの差し込む露天風呂。

……そして、部屋は“全員同室・大部屋”だった。


 


「な、なんでまたこのパターン……!」


 


流星の悲鳴が、夜空に溶けた。


 


「予約の都合ですって。空いてた部屋、ここだけだったらしいわよ」


ミレーユがさらりと告げたが、明らかに目が笑っている。


 


「しかも、部屋に露天風呂付きって最高だよね~♡」


ヴァネッサはすでに半裸で飛び込み寸前。


 


「おい!おい待て! 脱ぐな! 今はまだ! 時間帯が!」


 


──しかし、止められるはずもなく。


結局、全員で一緒に風呂へ入ることとなった。


 


それは、まさに“地獄”と“天国”が混在する時間だった。


 


リリアの薄く濡れた金髪。

アリシアの無駄のない美しいラインを描く背中。

ミレーユの控えめながら愛らしいフォルム。

そしてヴァネッサの爆発的グラマラスボディが、湯煙の中でぬらぬらと存在感を放っていた。


 


「う……ううう……っ」


流星は湯船の隅で体育座りしながら、

己の理性と煩悩のバランスを必死に保っていた。


 


「顔が赤いよ流星くん? のぼせた?」


「目線が危ない……」


「さあ、みんなで“現実の癒し”を実感する時間だよ♡」


「やめろォォォォォ!! 俺は尊厳を守りたいッ!!」


 


──その夜、

風呂上がりに“偶然”布団が一組しかなかったことは、もう誰も驚かなかった。


 



 


翌朝──


露天風呂の脇で、ジュースを飲みながらくつろぐ一行。


リリアはようやく落ち着いたのか、柔らかく微笑んだ。


 


「……でも、あんたが“自分の意志で癒しを選ぶ”って言った時は、本気でカッコよかったよ」


 


「そ、そうか……? まあ、あれは俺の中の信念みたいなもんだから……」


 


「……でも信念にしては、ブレそうな目してたけどね」


アリシアが冷ややかに指摘し、全員が吹き出した。


 


──と。


 


「ねぇ、ところでさ……」


ヴァネッサがぐいっと腰を乗り出してきた。


 


「例の“男女逆転風俗街”って、どこにあるか分かった?」


 


「……え?」


 


「この前、神殿街で聞いたじゃん。男が癒されるんじゃなく、女が癒される村があるって」


 


「え、ちょ、待っ──」


 


「もうね、私、行ってみたくてたまらないの! むしろあんたらも一緒に来なさい!」


 


「ええぇぇ!?!?!?」


流星の叫びが、再び南国の空に響いた。


 


「待て、ヴァネッサ!それ絶対フラグだってば!!

俺が行ったら何かが壊れるって!!」


 


「いやいや、むしろ“何かが開く”かもしれないよ?」


にやりと笑うヴァネッサ。


 


アリシアは頭を抱え、ミレーユはなぜか手帳に「調査要」と書き込み、

リリアは完全に遠い目をしていた。


 


──こうして、“癒しの旅”はひとまずの終焉を迎えた。


だが、まだまだ流星の煩悩は、次なる舞台へと走り出す──!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ