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第4話 『レベルアップした流星、次のターゲットはオーク』

異世界に転生してから数日。

常盤流星の“風俗に通いたい一心”によるモチベーションは異常なまでに高く、剣を振るう手にも次第に鋭さが宿り始めていた。


──だが、現実は甘くない。


「ゴブリン三体倒しても、たったの銀貨一枚ちょい。異世界でも“金”は、身体張って稼がなきゃならんのだな……」


ギルドの掲示板を見つめながら、流星は真剣に頭を悩ませていた。

銅貨数枚で飯、宿代が飛び、風俗代を稼ぐにはケタが足りない。


「風俗は、遠い……!」


だが、そのとき。

流星の視界にひとつの依頼が飛び込んできた。


 


【オーク退治】

報酬:銀貨5枚/1体


 


「……これだ」


ゴブリンよりもはるかに強く、報酬も高い。危険だが、挑む価値はある。

流星はすぐさま依頼を引き受け、オークが出没するという東の森へ向かう準備を始めた。


そして──


「もう、やるしかねぇ……次の獲物は、オークだ!」


 


―――


 


森の中。

高い木々が陽光を遮り、じめっとした空気が肌にまとわりつく。

剣を携え、慎重に足を進める流星の耳に、地を踏みしめる重い音が届いた。


「……来る、か?」


ぶるん、と葉が揺れる。

直後──木々の間から、異様な巨体が現れた。


「おおおお……!!」


全身を包む濃い緑の肌、丸太のような棍棒、唾液を垂らして唸るその姿。──オークだ。


「でっか……」


威圧感が凄まじい。

だが、ここで引いたら──風俗が遠のく。流星は歯を食いしばり、剣を抜いた。


 


「風俗のために、オークごときにビビってられっかぁあああ!!」


 


だが、その瞬間だった。

オークが突進し、棍棒を振りかぶった。流星が避けようとしたその時──


 


「避けろッ!」


凛とした声と共に、銀光が駆け抜けた。

次の瞬間、オークの棍棒が弾き飛ばされ、緑の腕が切り裂かれる。


「……っ、誰だ……!」


視線の先にいたのは、一人のエルフの女剣士だった。


腰まで流れる銀髪。長耳をのぞかせる兜の下、鋭く整った顔立ち。

細身の身体にぴたりとした鎧をまとい、腰の剣はまだ冷たく光っている。


「名乗るほどの者ではないが……私はリリア。君の剣、先ほどから見ていた。無様だが、悪くはない」


「え、見てたの!?」


「うん。木の上から、ずっと。──初心者にしては悪くなかったが、オークはゴブリンとは違う。さすがに死ぬかと思って降りた」


「いや、ありがとう助かった……でも、やるからには俺だって……!」


リリアはふっと笑う。


「風俗に行くためだろう?」


「……聞こえてた?」


 


―――


 


オークはまだ倒れていない。

左腕を負傷しながらも棍棒を構え、再びこちらを睨んでいる。


「戦うぞ。君の剣、見せてくれ。私がフォローする」


「……了解! 鹿島神道流の意地、見せてやる!」


流星は低く構えた。リリアが横に立つ。二人で挟撃する形を取り、オークの両側に広がる。


「まず、私が牽制する! 君は隙を突け!」


リリアの指示は的確だった。彼女の踏み込みと同時に、流星が後方から斬り込む──!


「はああああああッ!!」


手に伝わる反動。だが、今度は怖くなかった。

切っ先が肉を裂き、オークの膝をえぐる。呻きながら、オークが前に倒れ込む。


「今だ、流星!」


「うおおおおお!!」


流星の剣が、オークの首に走った。


瞬間──血しぶきと共に、巨体が崩れ落ちる。


 


―――


 


倒れたオークの前で、流星は剣を鞘に戻した。全身に疲労と汗が滲むが、それ以上に心地よい達成感があった。


「……やった……やったぞ……!」


「おめでとう、初心者とは思えない動きだった。鹿島神道流、というのは剣術の流派か?」


「あぁ、まあ……日本の伝統武術でさ……まさか異世界で役に立つとは」


「ふふ、なかなか面白い人間だな。私も剣は嗜むが、貴様のようなスタイルは初めて見た」


「ありがとう。……で、報酬なんだけど」


「やはり、それが目的か」


リリアは呆れたようにため息をつきながらも、笑っていた。


「ギルドに届ければ、銀貨5枚は堅い。──ただし、半分は私の取り分だ」


「……へ? いやいや、俺がトドメ刺したじゃん!」


「それまでの三分の二は私が削った。討伐は“共同戦果”だ」


「ぐっ……風俗代が、遠ざかっていく……!」


「ふふふ、ならもっと稼ぐといい。──次も、付き合ってやろうか?」


 


異世界で出会った初の仲間、リリア。

彼女との出会いは、流星の旅を少しずつ、“本物の冒険”へと変えていく。


 

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― 新着の感想 ―
異世界物の知識あると思ったけどそうでもない? ゴブリン3体は"も"じゃなくて"しか"で薬草採取と合わせてその日暮らしできるかどうかのイメージだったけどなんかゴブリン一体で一万円相当ぐらいのつもりでいた…
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