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第35話 『ラッキースケベが起きない日がない!?』

――それは、戦場だった。


 


 タオル一枚で歩いてくる女戦士。


 その背後で天を仰ぎ、崩れ落ちる勇者。


 そして窓の外から見ていたエルフと魔法使いが、震える声で囁く。


 


「……また、やってるわね……」


「ええ。今日は“洗濯場編”ですって……」


 



 


 その日、グラン・アリーナ村は晴天だった。


 魔物討伐の準備で装備を整え、休息をとる流星たちは、久々の洗濯日和に恵まれ、共同浴場と洗濯場を利用することになっていた。


 だが、彼は知らなかった。


 この晴天が、“事故”の舞台であることを。


 



 


「──よし、洗濯終わった!」


 


 タオル一枚。

 肌は輝く褐色。

 髪は濡れて、鎖骨から胸の谷間へ滴り落ちる。


 


「んふふ〜、風通し、最高っ!」


 


 そして、そんな状態で颯爽と現れたのが、筋肉女戦士ヴァネッサである。


 


「おぉ〜〜い! ゆ〜う〜しゃ〜く〜ん♡」


「来たぁああああああああッ!!」


 


 悲鳴をあげて飛び退く常盤流星。


 だが、時すでに遅し。


 


「──どんっ!!」


 滑った。


 ぶつかった。


 押し倒された。


 


 ふわっ……


 タオルが、はらり。


 


 ゴンッ!


「おふっ」


 頭突き。


 


 ピタリと止まる時間。


 流星の視界の真上には、迫るヴァネッサの“存在感”。


 しかも、彼の両手は、偶然とはいえ……


 


「ちょ、ちょっと待って!? これは違う! これは事故だってば!」


「ふふっ……大胆ね♡ 初めてなのに、もう触ってくるなんて♡」


「触ってない触ってないッ!! これ、事故だから!!」


「じゃあ、“事故の続きをしましょ?”」


「おい誰か止めてえええええええええええええ!!」


 



 


 その後、なんとかアリシアの“氷結魔法”で取り押さえられたヴァネッサ。


 室内はしばし沈黙に包まれる。


 


「ほんっと……変な意味で、女の敵よあの人……!」


「女の敵っていうか、流星の敵っていうか……いや、女も男も困ってるから人類の敵かも」


 


 流星はというと、すでに部屋の隅で体育座り。


「……風呂、行けなくなった……もう、いろんな意味で……無理だ……」


 


 そこへ、反省の色ゼロの当人がバスタオル姿で再登場。


「さっきはごめんね〜! いやあ、私ってばつい! 体温高いと興奮しちゃう性質でさ♡」


「じゃあもう氷の中で生活しててくれッ!!」


 


 こうして、平穏な一日は訪れず。


 


 そして、アリシアはそっと言った。


「流星って、もう一種の“スケベ磁石”よね……」

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