第32話 『営業再開!癒しの王都、ただいま』
──数日後。王都・ユグノール通り。
朝日が差し込むその街は、久しぶりに活気を取り戻していた。
「営業再開──ッ!! ついにッ!!」
常盤流星、全力で両手を広げて叫ぶ。
「この街に、また“平和な夜”が戻ったァァァ!!」
華やかな看板。ピンクとゴールドの光に照らされた店舗たち。
美人受付嬢が愛想よく手を振り、嬢たちの呼び込みが響く。
──風俗街・ユグノール、完全復活である。
「よくやってくれた、冒険者殿!」
ギルドの担当者がにこやかに、賞金袋を手渡す。
「この通りを救った英雄として、王都ギルドより正式に表彰だ!」
賞金:金貨100枚。
そして、“永久フリーパス”の特典──
「……っ!」
流星の瞳が潤む。
「これが……これこそが……
本物の癒しだ……!!」
◆ ◆ ◆
その夜。
宿屋の部屋──いや、“いつもの宿屋の、三人部屋”。
「で? どこに行ってたのか、ちゃんと説明してくれる?」
アリシア、腕組み+笑顔なし。
「またフリーパスもらったって顔してるよな~?」
リリア、ゴロゴロしながら流星の懐をサーチ中。
「まさか……“サンプル体験”とか受けてないでしょうね?」
ミレーユ、冷たい目。しかも杖が手元にある。
「……ちょっと挨拶に行っただけでして……
えっ、“見るだけ”もダメですか……?」
「“見るだけ”って言った!?」
「“見るだけ”って言いました!」
◆ ◆ ◆
翌朝。
窓の外からは、鳥のさえずり。
カーテン越しに差し込む朝日が、まどろみの中の空間を照らしていた。
「……あったかい……柔らか……」
流星の手が、何かを“つかんでいた”。
「ふに……やわ……」
──感触:極上。
──形状:完全に人の胸。
「ちょ、あ、あんた今、何掴んで──
ひゃあああ!? わ、私の胸掴んでるぅぅぅ!?」
「……流星さん……手が、変なとこに……」
「昨夜からの警戒を完全に無にしている寝相力……ッ!」
三人から同時に投げかけられる視線。
布団の中は、もはや逃げ場なし。
「ぎゃあああああああああああ!!
俺は何も悪くない! ただ寝てただけだァァ!!」
──だがその瞬間。
「……ん、え……?」
流星の表情が曇る。
「……うわっ……ちょ、ま、待って……
マジでこれ……やばい、出た、かも……」
シーン……
「──また“未遂”じゃない!?
ていうか、布団濡れて──」
「夢精、未遂じゃなくて既遂でしょコレ!!」
「私の膝の上で昇天しないでぇぇぇぇ!!」
◆ ◆ ◆
こうして、“王都癒し街・再開の朝”はまたしても──
笑いと悲鳴に包まれながら、始まっていくのであった。




