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第29話 『迷いの誘惑回廊!夢か現実か、魅了の試練』

迷宮の奥、メリッサに導かれてたどり着いたのは、

古びた石門に囲まれた空間だった。


 


その門には、こう刻まれていた。


“過去を愛し、今を惑い、未来を見失う者よ──この回廊を越えよ”


 


「……“魅了結界”ね。精神魔術の中でも特に厄介な部類」


アリシアが険しい表情で呟いた。


「各自が“自分にとって最も抗えない欲望”と向き合わされるわ」


「つまり……ラッキースケベの大洪水ってことか?」


「どんな脳内変換だよ!!」


 


◆ ◆ ◆


 


──入った瞬間、世界が揺れた。


 


流星の目の前に広がるのは、

まばゆい光に満ちた──懐かしい空間。


 


「いらっしゃいませ、ご主人さまぁ♡」


「また来てくれたんですね、今日は特別コース……どう?」


 


甘ったるい香水、柔らかい声、

心をくすぐる距離感で迫ってくる女性たち。


 


「……な、なんで、お前らが……!?」


 


そこにいたのは──


かつて、現世で流星が通っていた“風俗嬢”たちだった。


一人ひとりの名前、肌の感触、仕草、

どれも“現実”に確かに存在していた癒しの記憶。


 


「一緒に気持ちよくなりましょ?」


「あなたが来てくれるの、ずっと待ってたの……」


 


次第に服を脱ぎ始める彼女たち。

なぜか“異世界仕様”の露出度MAXな衣装に変化し──


 


「お、おい、ちょっと待て……これ、幻覚だろ……!?」


流星は必死に自分に言い聞かせた。


「これは記憶だ……でも、“今”じゃない」


 


「でもいいじゃない。癒されてたでしょ?」


「あなたが一番、素直でいられるのはここよ」


 


言葉が、甘い。

でも、同時に……どこか寂しい。


 


──そのとき。


 


「……何やってんのよ、流星」


背後から聞こえた、キリッとした声。


 


振り向くと、そこにいたのは──


アリシア。

そして、リリア、ミレーユ。


 


幻ではない。“今”の彼女たちだった。


 


「……バカ。あんた、またこうやって過去に逃げようとしたのね」


「でも──」


リリアが微笑む。


「こっちにいるの、忘れないでよ。

あんたを“今”癒せるのは、私たちなんだから」


 


流星は、ぐっと拳を握りしめた。


 


「──そうだ。

俺は……“思い出の中の癒し”を追いかけてるんじゃない。

“今を生きてる誰かと一緒に、ちゃんと笑って癒されたい”んだ!」


 


その瞬間──


風が巻き起こり、幻覚が霧散する。


まるで空気ごと、回廊の“魔力”が解けていくように。


 


◆ ◆ ◆


 


「……ふぅ。試練、突破……か」


「遅いわよ、どれだけベタベタされてたのよ」


「記憶の女たちと3P寸前だったとか言わないよね?」


「言わないけど正解に近いからやめてくれ」


 


 


そしてメリッサが微笑む。


「流星さん。

あなたが選んだのは、“過去”ではなく、“今”でした」


 


「その選択が、この街の“未来”を救います」

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