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第26話 『スライム女王の誘惑!リリア、魔力でぐったり!?』

「こ、こっちにもいるぞ!」


「流星、下っ──!」


 


ベッド下の通路から突如伸びてきた透明な触手。

それはリリアの脚を絡め取り、そのまま彼女をずるずると引き寄せていった。


 


「ひゃっ!? うそ、ちょ、なにこの感触……!」


スライムは液状の身体を変形させ、リリアの太ももから背中へと絡みつく。


薄手の軽装の隙間から粘液が染み込むように入り込み、

布と肌の間をなぞるようにぬるりと這う。


 


「や、やばっ……このままだと──あっ!?」


ビリッと音を立て、布が溶け始めた。


 


「うそでしょ!? この鎧、解けるの!?」


「くそっ、離れろぉぉお!!」


 


流星が剣を振り下ろすも、スライムは液状のまますり抜け、

まるで“リリアを中心に”遊んでいるかのように巻きついていく。


 


「くすぐったい……冷たっ……ああああッ!?

そ、そこ擦るなっ、服の中、入ってくるなぁぁぁあ!!」


 


リリアの顔が真っ赤に染まり、全身がびくんと跳ねた。


 


「これはマズい!!」


アリシアが杖を構える。


「《緊急隔絶結界:熱制御式》──っ!」


詠唱と共に光が弾け、リリアとスライムを包む小結界が発動。

その中に制御された火球が展開され、スライムの一部を蒸発させた。


 


「っっ、セーフッ!!」


スライムが溶けて、リリアの体がごろんと床に投げ出される。


彼女は肩で息をしながら、ぐったりと呻いた。


 


「や……やばかった……あと十秒粘られてたら、私……

ラノベ史上に残る“パンツまで溶解事件”だった……!」


 


「安心しろ、まだギリギリ見えてない……見えてないけど、濡れて張り付いて──」


「見るなって言ってるだろぉぉぉお!!」


 


◆ ◆ ◆


 


そのときだった。


地下の通路の奥から、

しゅる、しゅると巨大な蠢きの音が聞こえてくる。


 


「っ、これは……」


次の瞬間、空間が歪んだ。


天井から垂れ下がる触手、広がる粘液の湖──

そしてその中心から、ひときわ妖艶な気配を纏った存在が姿を現した。


 


──女の姿を持つ巨大なスライム。


半透明の身体に、なぜか“胸部”と“腰回り”だけが妙に強調された人型フォルム。

瞳だけが光り、まるで何百年もの執念を秘めたような声が響く。


 


「癒しを奪い、快楽を閉じ込めたのは──お前たち人間……」


 


「ま、まさか……こいつが──」


「淫魔スライムの“女王体”……!」


アリシアが息を呑む。


 


「数百年前……“癒しの聖堂”とされたこの地は、

やがて人の欲望の坩堝と化した。

奉仕と尊厳を忘れた人間たちに、“私たち”は追いやられた……」


 


女王スライムの声は、怒りと恨みを帯びている。


「快楽を返せ……この地を……本来の“歓楽の園”へ戻すのだ……!」


 


「ちょ、ちょっと待て! お前らはそれで満足なのか!?

粘液で服を溶かすような世界が“歓楽の園”なのかぁ!?」


 


「異議あり!! 合意と敬意がなければそれはただの迷惑行為だ!!」


流星が拳を握る。


 


「癒しのユグノールは、

“お互いを尊重した先にある快楽”の象徴だったはずだ!!」


 


スライム女王は黙ったまま、ゆっくりと身体を変形させる。


地面の粘液が波打ち、女王の本体から分裂体が複数現れ──


 


「……話し合いの余地、なさそうね」


アリシアが呟く。


「ええ、来るわ。構えて!」


 


流星は剣を抜いた。


「行くぞ! この地下に、本当の“癒し”を取り戻すために──!」

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