表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

浮遊・飛行とコア・ユニット技術編

■ インター・ヴァーチュアにおける飛行原理


 インター・ヴァーチュアにおける飛行や浮遊は、現実世界でいうスラスターやエンジンの推進によるものではなく、仮想座標の連続演算によって実現される動作である。

 言い換えれば、ある地点から別の地点へ存在位置を演算的に固定・更新していくことで、滑らかな飛行を成立させている。


 この座標固定は、機体の演算中枢であるコード・ベースの出力に大きく依存し、さらに周囲の環境モーメント——つまり仮想空間内の流体圧、演算密度、情報乱流などの影響を受けやすい構造となっている。

 そのため、飛行中の挙動は必ずしも一定ではなく、機体や操縦者の特性によっても個性が顕れる。


 特に、重力演算が強く働く空域や、演算干渉が激しい領域においては、飛行中の処理圧が一時的に視覚化されることがある。

 これを処理干渉光と呼び、オーロラのような淡い光となって空中に揺らめき、機体の周囲にふわふわとした尾を引く。

 これは美しい現象であると同時に、操縦者にとっては環境演算の乱れを感知するための重要な手がかりでもある。


 コード・フレームワーク(CF)はその小型性ゆえに、反応性に優れる一方で座標固定力は弱く、特に上下方向では常にわずかな揺れを伴うホバリング状態となる。

 このため、パイロットは意識による操作だけでなく、身体全体の荷重を使ったバランス制御を併用することで、より精密な運動制御を行う必要がある。


 一方でライナーと呼ばれる大型の構造体においては、搭載されるコード・ベースの出力が桁違いであるため、上下の座標固定はほぼ完全であり、動いていても()()()()()()というよりは()()()()()といった存在感を持つ。

 ただし、その巨体ゆえに方向転換やロールの制御には時間がかかり、外部の演算モーメントにも影響を受けやすいという弱点を持つ。


 このように、インター・ヴァーチュアにおける飛行とは、単なる運動の問題ではなく、演算環境と個体構造とそして操縦者との関係性によって初めて成立する複雑な制御の産物なのである。


■ コア・ユニットの構造と役割


 コード・フレームワークやライナーの中核には、必ずコア・ユニットと呼ばれる演算構造が搭載されている。

 これはインター・ヴァーチュアという仮想空間上での存在そのものを支えるものであり、機体の性能や特性を大きく左右する要素である。


● 構成要素


 ・コア・ユニット:コード・ベースを内包する制御ブロックとコクピット・ブロックからなる複合構造。

 胸部フレームに収まるCFの心臓部であり、動力機関そのもの。


 ・コード・ベース:制御ブロック内部に埋め込まれた命令中枢。

 演算の癖や処理傾向を蓄積し、コード・ライダーのコントールの反応を左右する。


 コクピット・ブロック:操縦者とのインターフェース。

 兵装制御のための左ハンドルコマンドキーバー、右ハンドルのスロットルバー、二対の制動制御ペダルを持つ荷重制御シートを備える。

 四肢コントールと照準、フォーカス制御は意識・思考・視線の入力変換をブロック全体で行ない、機体にフィードバックする。


 キャブレーション・インテーク:環境情報や仮想空間データを吸収する吸気系。


 エギゾースト・ユニット:演算残渣や一時処理情報を強制排出する排気系。


 これらはしばしば内燃機関に例えられ、整備士の間では「音」や「鳴き」から機体状態を把握する技術が日常的に用いられている。

 起動時に立ち上がる光の脈動や、動作時に響く独特の駆動音や稼働音は、機種や機体ごとに異なる個性として認識されており、整備士やパイロットはその違いから機体の状態や癖を読み取っている。


■ 処理方式と演算形式


 コア・ユニットの演算には大きく分けて「ダブルアクション型(二工程)」と「クワトロアクション型(四工程)」が存在する。


 ダブルアクション型:即応性を重視した設計。反応速度は高いが、演算安定性にやや劣る。


 クワトロアクション型:多重処理・並列思考に向く。安定した長時間稼働と戦術処理に優れる。


 演算工程の差異は、操縦者の制御感覚や機体応答にも直結し、選定の段階から用途を見越した設計が施される。


■ 並列構成と特性差


 コア・ユニットはその構成数や並列形式により、特性が大きく異なる。数が多ければ高性能というわけではなく、むしろ用途に応じた選択が重視される。


 シングル:単一構成。軽量で高応答。近距離戦などに向く。


 ツイン:冗長性と安定性に優れる。左右対称型やボクサー型として採用される例も多い。


 クワトロ:複雑な任務や多系統制御に対応。多用途型CFに適する。


 オクタ/シックスティーン:主にライナーに用いられる。複雑な空間制御や長距離航行を支える大型演算構成。


 また、並列構成の配置形式として、パラレル(直列)、ボクサー(水平対向)、V型(鋭角配置)、バーチカル(縦積型)などがあり、それぞれに反応性・安定性・空間効率といった特性が付与される。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ