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いつも通りじゃない2人

「で、返事は?」

アリーはにこにこと嬉しそうにしながら顔を枕にうずめているフローラに聞く。

「へ、返事??」

フローラはがばっと体を起こしアリーを見る。その顔はいまだに真っ赤だ。

「そうよ。告白されたんでしょ?返事をしなくちゃ。」

「そ、れは……。」

「え?」


一瞬の沈黙ののち、フローラは気まずそうにそっぽを向き言う。

「その……びっくりして逃げてきちゃった。」


「…ふぅ。」

アリーは一息吐く。

(まあ、一筋縄でいくとは思っていなかったけど。)

「だって!だってあいつ急に真剣な顔して言ってくるから!」

フローラはあきれを含んだアリーのため息に言い訳をする。

「怖気づいてしまったのね。」

「……うん。」


(っとうにもう!可愛いんだから!)

いつもと違い初心な反応をするフローラを心の中で撫でまわす。


そのアリーの様子にフローラはもじもじしながら聞く。

「私、どうしたらいいのかな…。アリー。」

フローラのその問いにアリーは片手を腰に当てもう片方の手で1本指を出す。

「じゃあ質問するわね。告白されてフローラは嬉しかった?」

アリーの尋問が始まる。

「それは…。」

フローラは答えようとするが言葉が出ない。仕方なくアリーは次の質問をする。

「クランのことは人としてどう思う?」

「…。」

これにも答えられない。

「クランとこれからも仲良くいたい?」

「…。」

フローラは黙ってしまう。

「これらに答えられたらおのずと答えは見えてくるでしょ?」

アリーは少し突き放したように言う。すると。

「アリー~~~~~。そんなこと言わないで~~~~。」

「え、ちょ。」

急に泣き始めたフローラにアリーは動揺する。

(ちょっとフローラにはきつかったかしら。)

自分の行いを早くも反省し始めたアリーは泣いているフローラを抱き寄せる。

「ほら泣かないの!」

「でも。」

「はいはい私が悪かったから。」

アリーは膝にフローラの頭を乗せる。そして泣くフローラの頭を撫でアリーはフローラが泣き止むのを待つ。


「私もね…。」

フローラは泣きじゃくりながら言う。

「私もね、しっかり考えているのよ。でもね。」

「うん。」

「でも急にそんなこと言われてもすぐには答えが出てこないの。」

「そうよね、わかったわ。」

子供をあやすようにアリーは言うと、フローラはようやく起き上がる。


「ありがとうアリー。聞いてくれて。」

人差し指で目の涙をぬぐい、笑顔を見せたフローラにアリーはぽんぽんと頭を軽く叩く。

「いいのよ。来てよかったわ。」

お互いに顔を見合わせくすりと笑うと2人は元通りになる。


「というかアリーを呼んだのキャサでしょ!」

いつもの調子に戻って叫びながらキャサを呼びにフローラは部屋の扉を開ける。

「キャサ!」

「はい。」

するとキャサはもうそこにいた。

「お嬢様。」

「な、何よ。」

何を言われるのかとフローラは身構える。


「お、面白すぎます。」

キャサは肩を震わせて声を出す。

(キャサが笑った!)

アリーはその様子を見て内心驚く。一方フローラはそんなことには驚かず、キャサの言葉にのみ反応する。

「キャサ!」

フローラは顔を赤くしてキャサの肩をぽかぽか叩く。

「お嬢様、最高ですよ。」

叩かれてもキャサは笑うのをやめない。

「もう!」

フローラは何とかその揶揄いをとめようと必死になるがキャサの震えが止まることはなかった。


一方その頃

「やってしまった。」

クランは自室のベッドに腰かけ頭を抱えていた。

(告白する気はなかったのに…つい言ってしまった。)

シンとした部屋でクランのもだえる声だけが響く。


「でも可愛かったな…。」

自分の告白に驚き次に顔を赤くしたフローラの顔を思い出し、クランの頬が自然とあがる。

「いや今はもっと考えなきゃいけないことがあるだろ!」

(それこそ今後どう接するべきかとか!)

自分自身に突っ込みを入れて、再び頭を抱える。


「はぁ。」

1人問答した後に疲れ、ため息を吐く。

「もうなるようにしかならないよな。」

ベッドに手を突き天井を見つめながら覚悟が混じった声を出すのだった。


次の日。

「アリー私の顔大丈夫?変じゃない?」

「はいはい。大丈夫だから。」

アリーが冷たく返すのも当たり前。このやり取りは教室に着くまでにもう何十回と繰り返されているのだ。そんなアリーの冷たい対応にも関わらず、フローラの関心ごとは自分の様子のみに集中しており、突っ込み返す余裕などない。そわそわして落ち着きのないそぶりを繰り返す。


「はぁ。」

アリーはため息をつくともう私入っていい?と先に教室の扉を開けようとする。

「待って!」

しかしフローラはそれを阻止する。だがそれに負けるアリーでない。

「はいはい~。」

そんな風に言って、強引に扉をガラッと開ける。

「ちょっ!」

フローラの叫びは流される。


扉を開けた先には何てことないいつもの風景が広がっていた。机に突っ伏し寝ているもの、友達とたのしそうにおしゃべりをしているもの、勉強しているものなど様々な生徒がいる。そこにただ2人新たに加わっただけだ。けれどフローラにしてみればそれが問題だった。

(クランはっ!)

きょろきょろといつもとは様子が違って見える部屋を眺めるが、そこに彼の姿を見つけることはできない。

(よ、良かった~。)

安堵の表情とともに、フローラは教室に一歩足を踏み入れる。


「おっ!アリー!遅かったな。」

「ちょっとフローラがね。」

同級生のシンに話しかけられたアリーは早くも話に花を咲かせている。

(ちょっと待って!私のことは!)

「アリー!」


「おはよう。」

フローラがアリーに釘を刺そうとしたときと同時に深い低音のボイスがフローラの耳に届く。がばっとその方向を見るとやはり、クランがいた。扉1枚分の距離にフローラは先ほどのてんぱりが戻ってしまう。

「ク、クラン!」

彼の名をいつものように呼ぶつもりだったがその上ずりは隠せない。動揺が明らかに相手に伝わったことがわかってしまいフローラはいたたまれなくなる。

「あ!用事あるんだった!じゃあね。」

それだけ早口でまくし立てるとフローラは入ったはずの教室から出る。

「あ、フロ…。」

クランが何か言う前にフローラは何とか逃げた。


「もう!」

化粧室にこもり赤くなっているであろう顔をフローラは1人手で押さえる。

(何であんなに平気そうなのよ!)

何も悪くないクランに怒りをぶつけ、平常に戻ろうとする。しかし胸の高鳴りはやまない。

「とまれ!心臓!」

制服の胸のあたりをぐしゃっと握る。しかし治まることはない。

「キーンコーン」

学校中に鳴り響く鐘よりもその音は高く早く耳に届くのだった。


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