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出会い

「まさか断られてしまうなんて思わなかったわよね。」

「ね、でも時期尚早だったのかも。」

2人はダンスを踊りながらそんな会話を繰り広げる。


「あ~あ。できることなくなっちゃったね。」

「本当。どうしよっか。」

2人はステップを踏みながら1度離れ、再び近づく。


「ま、いっか、せっかくお姉さまたちと居るんだし。」

「そうね。あ、せっかくだし、久々に町に行かないか聞いてみましょうよ。」

「いいね、それ。」

くるっと2人手を取り合って回ると、さっそく次の行動のためダンスホールを抜け出し、姉たちのいる客間へと駆けるのだった。


数時間後。

「賑わっているわね。」

フロミスが町を見渡し言う。店舗の前での呼び声、街ゆく人の笑い声、いろいろな声が混ざり合って賑わいになっているのが一望できる。

「やっぱりいいですね。」

フローラはどこの店に入ろうかきょろきょろとみる。

「こらフローラ。迷子になるよ。」

アリーがフローラの手綱を取り、皆に聞く。

「どこに行きたいですか?」

「そうねえ、私は本屋に行きたいわ。」

そう言ったのはアベリアだった。魔術などに関連した本を欲しているらしい。

「私は園芸店に行きたいですね。」

フロミスはワクワクしながら言う。おそらく自分で育てるための花や種を選びたいのだろう。

「いいですね。私はお菓子が食べたいです!」

フローラは元気に話す。彼女は食に関して貪欲だ。

「私も本屋に行きたいです。」

アリーはアベリアに賛同する。

「そうすると別れたほうがいいかしら?」

フロミスは店の位置を確認し提案する。本屋は町の端の方にあり、園芸店やお菓子屋などが並ぶ店の道とは少し外れた位置にあるのだ。

「それだと4人で来たのにもったいないわね…。そうだフローラが行きたいお菓子屋には各々買い物を済ませてから集合してみんなで買って食べるのはどうかしら?」

アベリアは皆を見回して提案する。

「そうしましょうか。良いフローラ?」

フロミスは妹に確認 する。

「ええ、それで良いです。」

フローラはにこにこしながら答える。そしてアリーとアベリアは本屋にフローラとフロミスは園芸店に行くことになったのだった。


「わあ。素敵な花がいっぱいあるわ。」

フロミスは園芸店の中で歓喜の声をあげる。園芸店の中には冬に開花を迎える花たちが咲き誇り、またこれから旬の季節になる花の種もたくさん置いてある。

フロミスはワクワクしながら1つ1つを確認してみていく。

(これは初めて見る品種だわ。あ、これは以前上手く咲かせてあげられなかった。あ、あれは…。)

そんな風に過去の記憶と照らし合わせ見ていく。フロミスにとって過去のことを思い出すのがこんなに楽しいのは久々だった。


嬉々としながら見ていくうちに、ふと周りを見ると妹の姿が見えないことに気が付く。

「フローラ?」

周りを見ながら名を呼ぶが答えはない。店の外にいるのかと思い外へと向かう扉に進む。すると誰か知らぬ男性がフローラに話しかけているのが目に入る。

「フローラ大丈夫?」

フロミスは貴族を狙ったモノトリか何かと思い、フローラとその男の間に入る。フロミスはきっと目の前の男性を見て牽制する。男性はきょとんとした顔でフロミスを見つめるが、次の瞬間微笑む。フロミスはその顔に違和感を覚えながら、再び牽制しようとした。しかし。

「お姉さま。何か勘違いしています!」

その声でフロミスはフローラの方を向く。フローラは気まずげな顔をしてフロミスの前に立つ男性を紹介した。

「こちら以前お姉さまに紹介したアルバート様です。」

「え。」

フロミスは面食らう。そしてアルバートに対しての自身の行動を思い出し恥じる。


「申し訳ありません。私とんだ勘違いをしてしまいまして…。」

「ははは。大丈夫です。気にしないでください。」

アルバートは何てことないように言い、フロミスに笑いかける。

「すみません。姉は私を心配して…。」

フローラもフロミスとともに必死に謝る。

「いえいえ。わかっています。」

姉妹が謝るのをとめ、気にしないように言う。


「あの、先日はお断りしてしまい申し訳ありませんでした。」

謝り倒した後もフロミスは重ねて謝る。

「いえいえ、タイミングというものもありますから。」

アルバートは「ね。」とフローラを見てウィンクする。

「ええ。こうしてお会いできたんですから、これも何かの運命かもしれません!」

そう言ってフローラは改めてアルバートを姉に紹介する。

「フロミスです。あの妹と仲良くしてくださって本当にありがとうございます。」

フロミスはぺこぺこと頭を下げてお礼を言う。

「いやいや。面白い妹さんたちで。」

にこやかに手を振りながらアルバートは話す。

「ところで、フロミス様。園芸店にご用事があったのではないですか?」

「え?ええ、はい。」

フロミスはアルバートの言いたいことがわからず口ごもる。


「お姉さま。アルバート様も園芸店に用事があるんですって。良かったら一緒に見て回ってはいかがですか?」

フローラは、アルバートの言いたいことを代弁する。

「え。でも。ご迷惑じゃ。」

「いえいえ。フロミス様が良ければぜひお願いしたいです。」

アルバートはフロミスの返事を待つ。フローラとアルバートに見つめられ、フロミスは考える。

(まあ、こんなにフローラがなついている人だし、悪い人ではないだろうから。それにもう少し花は見ていたい。むげに断るのも悪いものね。)

「こちらこそよろしくお願いします。」

フロミスは2人の提案を受け入れる。

「じゃあ行きましょうか。」

アルバートが2人をエスコートしようとする。

しかしフローラは。

「私ちょっと先にお菓子屋に行ってきます。」

と言い走りだしてしまう。慌てて隠れていた従者がフローラの後を追うがもう背中は小さくなっている。フロミスははらはらしながら妹を目で追い、そして従者が追い付くのを見ると胸をなでおろし、慌ててアルバートに謝る。

「すみません。妹が。せっかくお誘いくださったのに。」

「いえいえ。元気でいいではありませんか。」

アルバートは相変わらずの笑みを浮かべ楽しそうに笑うのだった。


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