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ひらめき

そして春が来て、アリーとフローラは高等部生になった。

「ねえ、アリー私たちついに高等部生よ?」

「ええ、フローラ。私たち大人になったわね。」

ピカピカの高等部の制服を着てうきうきの2人は廊下を歩きながら会話する。


「これでお姉さまたちと同じね。」

「ええ、あ、せっかくだしお姉さまたちに高等部の制服姿を見てもらわない?」

「それはいいわね。お姉さまたちとおそろいだし楽しみだわ。」

そんなことを話していた時、フローラたちは懐かしい場所に差し掛かった。


「あ、科学室。」

「何だか懐かしいわね。」

2人は調査のため高等部に侵入した時のことを思い出す。

「ハリス様は今日もここで実験しているのかしら?」

2人は好奇心から科学室を除くことにする。

そろり。

2人は扉につけられたガラス窓からハリスがいるかどうかを確かめる。

「いらっしゃるわ。」

そこには以前と同じように1人でぶつぶつと何かを呟いているハリスがいた。

「せっかくだし、お礼を兼ねて会いに行ってみましょうか。」

「ええ。」

2人は扉を静かに開け、科学室へと入る。


しかしまたしても彼は1人熱中しており気づかない。彼もアベリアと同じタイプの様だ。

「あの~。」

フローラは以前と同じように申し訳なさそうに声を掛ける。するとやっと注意がこちらに向いたようで、フローラたちの存在に気づく。


「!!!」

以前とまったく同じ顔をするハリスに内心フローラたちは苦笑する。


「き、君たちは、以前の。」

「はい、お久しぶりです。」

「というか君たち1年生なのかい?」

靴下に入れられたスリット線の色を見て気づき、以前の会話との齟齬を見つけ驚く。


「いや、今日はハリス様にお礼したいことがありまして…。」

「違うでしょ。実は以前は事情があって高等部にお邪魔していたんですが。」

フローラはそんなことよりと話を進めようとするが、さすがにそれはとアリーが止める。


「事情?」

「はい、姉たちの危機だったんです。」

「そういえば以前そんなことを…。」

ハリス様は詳しく話を聞くとふむと納得し、フローラたちを労わる。

「それは何とも嫌な事件だ。姉君たちも君たちも大変だったろう。」

「いえ、私たちは。」

フローラとアリーは首を振り否定する。

「いいや、それだけの事件を解決するには長い時間かかったはずだ。尊敬するよ。」

ハリスはまじめな顔でフローラたちを褒める。


((何だか似ているな。))

フローラたちはその姿に既視感を覚える。

「ちょっとアリー。」

フローラはそこでぴんときてしまう。アリーの首を掴み、こそこそと話す。

「ちょ。」

アリーはびっくりして体勢を崩しかける。

「私凄い案を思いついてしまったわ。アベリア様とハリス様よ!」

「もしや2人をくっつけようと。」

アリーは急に言われ驚くが、一瞬でフローラの言いたいことを理解する。

「その通りです。」

「それは最高の案だわ。」


「もうそろそろ時間切れなんだが…。」

ハリスは内緒話で盛り上がる2人に言いにくそうに言う。それを聞き2人は話をやめ、ハリスに、にまにまとした笑顔を浮かべて向き合う。

「?」

ハリスは不思議そうにしてもう1度同じ言葉を言おうとする。しかしその前にフローラが口を開く。

「先ほど話に出てきましたアリーの姉アベリア様。ハリス様、どうです?アベリア様に会ってみませんか?」

打ち切られてしまうのを何とか阻止し、元気に2人はアベリアをプレゼンテーションする。

アベリアも同じように魔術、呪術が好きなのだ。だから仲良くなれるのではないか。ぜひ会ってみてはくれないかと。

以前、ハリスと同じ趣味をアベリアが持つという話をしたとき、明らかにテンションが上がっていた。そのハリスだ。これだけ言えば、アベリアに興味を持つと2人は思っていた。


しかし。ハリスの表情は芳しくない。


「いや、それは…。」

ハリスは渋る。

「姉と会うのは嫌ですか?」

「いや、そうではなくて。」


「急でしたか?それならまた改めて。」

アリーは時期尚早だったかと反省しながら言う。しかしハリスの様子は変わらない。

「いや、そうではなくてな…。」


もしかして…。

「もしかして女性が苦手ですか?」

以前の発言に引っかかるものがあり、アリーは聞く。

「いや。」

ハリス様は先ほどと同じように難しい顔をする。

「だから先ほども顔を赤くしたのですか?」

フローラも尋ねる。

「んん。いや。」

ハリスは言いにくそうにしながらも何とか言う。俺はそもそも人づきあいが得意ではないと。昔から人とうまくかかわることができず、失敗ばかりだった。女生徒もそうだ。なぜか私に近寄ってくる女性がいたが自分にはなぜ私に興味を抱いたのかわからず、上手く話ができなかった。すると女性たちはすぐに去って行ってしまった。そこからさらに人間不信が加速してしまう。そんなときに出会ったのが、魔術だったのだと。魔術は純粋に楽しかった。いつまでも時間を忘れて熱中でき、無から有を作れたりもする。そんなところに惹かれたのだと。

「そうだったのですか。」

話を聞いた2人は納得する。しかしハリスは自身の美貌に全く気付いていないようだ。確かにそれならなぜ女性たちがどんな気持ちで近寄ってきたかわからなくても頷けた。しかしそう聞いてしまうと無理にアベリアに合わせるのもせかしすぎているように感じてくる。

「すみません。事情も知らずぐいぐいと会わせようとしてしまって。」

2人は謝る。

「いや。違う。」

ハリス様は、首を振る。

「会いたいと思ってしまったから悩んだのだ。」

ぜひアベリア嬢に会いたいと思ったがまた自分の至らなさのせいで嫌われてしまったらどうしようと思い悩んでしまった。だから会いたくないわけではない。

そう言ったハリスは本当に苦悩していた。

「ハリス様。ご安心ください。」

アリーは言う。姉は、きっとあなたに寄り添ってくれる人だ。どうか安心して欲しい。もしも会いたいと思う気持ちが強ければ、姉に伝えるからぜひ会ってほしいと。

「それに私たちともう2回も会話しているではありませんか!」

フローラはハリスに気づきを与える。

「どうか考えてみてください。」

2人は礼をしてその場を後にしようする。


すると、だだっと追いかけてくる音が。振り返るとハリスが2人の前に立っていた。

「ハリス様。」

2人の眼前には綺麗な顔を赤くしたハリスがいる。

「まずは1分間だけあってみてもいいか?」

ハリス様の精一杯の努力にフローラたちは「はい。」と力強く頷いたのだった。


読んでいただきありがとうございます。

物語も中盤。これから最終話に向けて登場人物たちの恋模様に期待していてください。

またもしよろしければ感想などいただけますと励みになります。

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