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「お姉さま。」

アベリアの名を呼ぶアリーの声に気づき、アベリアはふっとアリーを見る。

「ガゼボに入ってお話しませんか?手配は済ませてあります。」

そっと耳打ちしてくる妹の提案を飲み、アベリアは泣き崩れたフロミスを起き上がらせる。そして肩に彼女を抱きガゼボへと入った。


そんな様子の姉たちを見ている2人。

「もう大丈夫だよね。」

アリーはフローラの手を握り言う。

「もう大丈夫だよ。」

フローラもアリーの手を強く握り肯定するのだった。

「ふわっ」と温かい風が2人をかすめていく。花たちはその風に押され楽しそうに揺れる。それはまるで2人を祝福しているようであった。


フローラとアリーは花を見ながら姉たちの仲直りが済むのを待った。それは長い時間が続き、太陽が隠れるまでに及んだ。長い月日のわだかまりが解けるのをフローラとアリーは、じっと待った。


そして日暮れガゼボから姉2人が出てくる。2人は………笑顔だった。ウェンディ様とキディ様を思い出させるその笑顔をみてフローラとアリーは喜び踊ったのだった。


「二人ともありがとう。」

フロミスは妹達に言う。

「これくらいのことは当然ですよ。」

フローラはそう言ってふふんと得意そうにする。

「本当にありがとね。」

アベリアも2人にお礼をする。アリーの頭を撫でるアベリアにアリーは言う。

「アベリアお姉さま、もうしばらく人を呪う呪術は控えてください。」

アリーはお礼よりもそっちが気がかりだった。

「それは。まあ。」

アベリアは曖昧な返事でごまかした。

「もう。」

呆れながらも2人の仲が戻ったことを喜ぶ妹たち。時間になりでてきた月は明るく花を照らす。それに負けない姉たちの笑顔は妹たちにとって何よりも綺麗な花。姉たちの時間がこれからは穏やかに続くだろうそう思わせる咲きっぷりだった。


「さて。」

時は進み昼下がりの午後。

「大事な事が残っているわよ。」

そう大事な事。婚約者探しだ!

「でもこれ相当難しいわよ。」

フローラは少しだるそうに言う。

「こら。仲直りさせることができたからって気を抜かないの。」

アリーがフローラを注意する。

「でも、お姉さまたちに釣り合う男性何ているかしら?」

フローラは起き上がりつつネガティブなことを言う。

「まあ、だからお姉さまたちに釣り合う男を見定めるのが私たちってことよ。」

やる気十分のアリーはすごいことを言う。

「なるほどね。」

ここでなぜか納得するフローラ。


お姉さまたちにふさわしい男性を探すにはどうするべきか。

「やっぱり公爵様なんじゃないかしら。」

フローラは呟く。フローラたちカーウィッチ家、そしてアリーたちシルベスタ家は両家とも侯爵家である。そのためそれより位の高い公爵家はどうかと考えたのだった。

「まあ、それくらい位が高ければ変な人もいないかもだけど。」

アリーもその呟きに答える。フローラも呟いてみたものの悩んでいた。公爵家なら数は絞れ、婚約者候補になる人も少ない。その中で本当にお姉さまたちにふさわしい人がいるのかと疑問に思ったからだ。

「爵位にとらわれすぎるのもよくないか。」

フローラは思い直す。家に縛られすぎるのは女性としては少し嫌な事だった。2人は黙り考え込む。ガゼボの中は虫たちのざわめきに負けるほど静かだ。


「難しいよ!」

静寂を破ったのはフローラだった。考えれば考えるほどわからなくなりそうだった。そもそもお姉さまたちの好みすら知らない。ふさわしい男性とはどんな人かも知らない。

「お姉さまたちにどんな男性がふさわしいかはわからないけど、好ましい男性ならわかるわよ。」

「え!」

フローラは驚いた。

「え、わかるの?」

フローラの問いかけにわかると再度頷き答えるアリー。それもそのはず、アリーはクランの様子を間近で見てきたからだ。

「ど、どうして。まさか、もしかして好きな人でもいるの?」

フローラは取り乱しながら聞く。

「いや。」

アリーはクランを憐れに思いながら、フローラを落ち着かせる。

「だれ!それ誰!」

「いや、だからちがうって。」

フローラはそんなアリーの宥めも聞かず、さらに慌てふためく。そのせいでその日は特に進展なく、ひたすらアリーがフローラに詰め寄られることとなるのだった。


「まさかメイドの色恋のことだったなんて。」

アリーはどうにか誤魔化し、フローラにそう言わせた。キディ様の屋敷に向かう途中、そう言ったフローラにアリーは想像で汗をぬぐった。さすがに今クランの名を出すのは時期尚早だと考えたのだ。


「あ。」

アリーが出迎えのため待っていたキディに気づく。キディも2人に気づき笑顔で迎え入れた。

「久しぶりね。2人とも。」

「「お久しぶりです。キディ様。」」

2人も嬉しくなる。

「ええ、久しぶり。」

作戦決行から3週間の日が経っていた。今日はキディにお礼を言いに来たのだった。


「あの、先日は作戦に協力してくださって本当にありがとうございました。」

2人とも頭を下げ改めてキディにお礼をする。

「いいえ。お礼を言うのはこちらよ。」

キディは頭をあげるように言う。

「あなたたちがいなかったら、私は今こんなに笑顔でいられていないわ。」

そう言って、キディも頭を下げ、ウェンディとの仲を取り持ってくれたことに対しての礼を現した。フローラとアリーは慌てて頭をあげるように言い、お礼を受け取る。


そして3人は和やかに雑談をする。しかしやはり話は今回の作戦のことになる。

「キディ様とウェンディ様は、今回の作戦の功労者ですね。」

そのアリーの言葉にフローラもうんうんと頷く。

するとキディ様は丁度もう一人いるわよ。といって笑った。フローラはアリーを見る。が、アリーも知らない。首を振って否定の意を示す。ふふと2人の様子を見て笑いつつ、キディは背を向ける。

「呼んでくるわね。」

そう言って、誰かを呼びに行った。

「誰だろう。」

2人は不思議に思いながら、キディが戻ってくるのを待った。


しばしの時間の後、キディが戻ってくる。

「お待たせ。」

キディが連れてきた人を見て2人は声を出す。ああ、この人かと。

「初めまして。アリーと申します。」

「フローラです。」

2人はにこにことキディ様の連れてきた人を見て挨拶するのだった。


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