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序章「四」女三人よればかしましい?

出会い、そしてラッキー?スケなんちゃら。


 マンティコアを下して数刻。

 俺は道に迷っていた。


「……さて、どうしたものか」


 迷った、と言うのは語弊があるかもしれない。何しろ目的地がどこだかも最初からわかっておらず、ただ上に向かう階段があればこの迷宮のような場所からいつかは抜けられるだろうかなどと言う適当な思考であるからして。


「………そもそもこの石畳の続く空間がゲームのダンジョンよろしく縦構造とも限らないんだよなぁ」


 最悪、横に横にと延々広がる迷宮と言う可能性だってあるのだ。


「身体は未だに人間化(ヒューマナイズ)されたままだし──ステータス」


ーーーーーーーー


彷徨う醒騎士(せいきし)ミロク


レベル18/182

職能:彷徨者(ワンダラー)


HP550/550

MP666/666


筋力:86

体力:55

器用:30

速力:70

魔力:666

信仰:30

幸運:7


スキル


剣術:D 槍術:D 斧術:D

格闘:C 弓術:D 魔術:B


アビリティ


創生変態(ジェネシストランスフォーム):EX(リキャスト:1750sec)


□鑑定:D


自己再生(オートリジェネ):S


装備


武器類

右:呪禁騎士の剣

左:

予:魔銃『ペネトレイト』(残弾xx)


頭:

胴:麻の衣服

手:

腰:神秘のベルト

脚:

靴:レザーブーツ



次元収納内/予備兵装類


呪禁騎士の剣

呪禁騎士の両手槍

呪禁騎士の両手斧


呪禁騎士のフルフェイス

呪禁騎士の鎧

呪禁騎士の籠手

呪禁騎士のチェインホーズ

呪禁騎士のサバトン


マンティコアの呪魂


ーーーーーーーーーー


 どうやら創生変態(ジェネシストランスフォーム)は使用後一定時間、人間体になってクールダウンする必要があるらしかった。まああれだけ強力な能力だ、そりゃあ代償くらいあると言うものか、しかしまずいのはこのステータスの低下ぶりだ。


「魔力以外の戦闘に役立ちそうな能力は軒並み下がりすぎなくらい下がってるなぁ」


 おそらくは創生変態の隣に表示されたのが再使用間隔……これが文字通り1750秒ほどなら後30分は使えないと言う事だろう。


 先程までとくらべて身体が重く、筋肉痛の様な痛みと倦怠感が身体をミシミシと締め付けている気がする。


「今マンティコアと同レベルの敵が出たら死ぬかもしれないな……」


──()、マスターは現在能力の9割を封じられており大変危険な状況と言えます、打開案としては魔銃ペネトレイトをお使い頂くのが最良と具申します。


「ペネトレイト……これか?」


 頭に響く声、当人曰く極小機械群(ナノマシン)だそうで、呼称はお好きにどうぞとの事。なので『梯子(ラダー)』と呼ぶことにした、この右も左もわからない状況から地上へと連れ出してくれると言う意味を込めて。


──ハイ、そちらは貴方の知識における銃と使い方は概ね同じ、ただ薬莢や弾丸は存在せず魔力によって生成された圧縮術式を飛ばします、グリップを握ればそこに貴方の体内魔力を流し込み自動生成され、発射後僅かなタイムラグはありますが自動で再装填されます。


「へぇ、便利だな」


──ステータスが下がっている現状はペネトレイトによる遠距離攻撃主体の戦法が安全性は高いでしょう。


 まるで独り言を呟く危ない人みたいな構図だが、そんな事をしているとやがて通路を抜け、開けた場所に出た。


「これは……」


 小さなホールじみた20畳ほどの、今までと比べると天井がやや高い空間。中心には地面に紋様が描かれており、その周りにはキャンパーが使いそうな野営道具が散見された。


「……誰っ!?」


 向かい側の通路から誰かが姿を現す、肩までかかる黒髪の小柄な──女の子だろうか、線の細い印象でダボっとしたローブ姿で、握りしめた短杖(ワンド)をこちらに向けて身構えている。


「あ、人間……良かった何というか迷ってしまって……良かったら出口まで案内してくれませんかね?」


「……怪しすぎる、こんな深層を剣一本に普段着でふらつけるわけがない……信用できないわ魔物が化けてるんじゃないの?」


──一見したところ鑑定系のアビリティやスキルは持っていない純粋な攻撃的な詠唱系職能(キャスター)に見えますが、鋭い感性ですね。今のマスターは魔神種に支配されていないとは言え正に「化けた魔物」に該当します。


「案外喋るね、おまえ」


「っはぁ?」


おっといけない、勘違いされたか。


「ああ、いやごめん、そうだよなどうしたら信じてくれる?」


 両手を上げて無害をアピールしてみたが、だめだろうか。


「剣と腰につけた妙な道具を地面に置いて、ボディチェックさせなさい、妙な真似したら高速詠唱(ファストキャスト)で火炎魔法ぶち込むからね?」


「ひぇ、わかったよ従うから燃やさないで欲しいな」


 剣とペネトレイトを置き、再び両手を上げていると彼女の方から近づいてきた。ローブは着ているがよく見れば結構女性的な肉感ある身体つきだし、なんだか良い匂いもした。


「動かないで、ズボンに暗器とか変なマジックアイテム入れたりしてないでしょうね、何これポケットに何か……柔らか……生暖かい……?」


「あ、いや、それは、あの、やめろ、握るな!?」


「何身を捩っ──握るな?」


 ふにふに。


「はぉっ!?」


 沈黙。


「嫌ァァァァァ!?!?」


──バッチィンッッッッッ!!!!




********





「その、疑って悪かったわ、こんなところに一人でいる理由はともかく……なんで下着も履かずに薄手の服だけ着てるのよ!?」



「先にそっちツッコむのかよ、いやいろいろあって装備が外れてすぐに着れなくなったから収納に入ってた服を着るしかなかったんだよ、下着は何と言うか不可抗力だ、俺は悪くない」


「変態!?」


「理不尽だな、おい!?」


──マスターの知識によるならコレは逆ナンと言うものでは?


(こんな逆ナンあってたまるか、むしろ痴漢冤罪された気持ちだよ!?)


「あ、そういや名前……俺は弥勒、ジュン・ミロクだ宜しくな」


「……ミア、ミア・ハースレイよ」


 そっけない感じだが一応教えてはくれるんだな。


「……あー、ミアちんが男の子とちちくりあってる〜?」


「ちちっ!?そ、そんなことしてません!」


「そうだぞ、俺はまごう事なき不審者だからな、気をつけて扱ってください」


 だって不可抗力ながらあんな事させちゃったしな、下手に出ておかないと訴えられたりしたらかなわん……そうした法律があるかもわかんないけどさ。


「何もそこまで卑下することはないんじゃない……?」


 さっきの事が尾を引いたのか若干赤くなりながらミアが言う。


「珍しいね、ミアが男とまともに話してる」


 と、間伸びした声の主の背後から聞こえてきた。振り向けばまたもや女の子が居た。


 一人はピンク色の癖毛の髪をふわふわとさせて後ろで二つポン菓子みたいなまとめ方をした鎧姿の戦士らしい娘に、もう一人はプラチナブロンドの美しいショートの女の子、腰には左右に片手剣を下げ瞳は二人とも深い青色だった。


「ミアちんがデレた!?」


「違うわよ!」


 んーまた、姦しいのが増えたな!?


次回、探索者、慌てる。

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