序章「十」転移
なんか怪しい天使?登場回
だめだ、殆ど効いてない!
くそ、第二の人生早々と終了かもな……悪いな、ラダー。
──いえ、私はマスターと一心同体ですのでお気になさらず。
「仕方ない、あいつらが逃げ切るまでなんとかしたらグラップラーに創世変態して逃げる」
──まともにやり合うには戦力差があり過ぎますのでベターな判断でしょう。
「ミロクッ、貴方……何なの、何なのよ!」
なっ、状況解ってるのかあいつ!?
この状態で何こっちに戻って来てんだよ!!
「ば、馬鹿っ早く逃げろナハトと二人はもう逃げたおまえもはや……」
早く逃げろ、そう続けようとした瞬間目の前の闇が嗤った。
「ギャハハ、ギャハハハハハハハ!!」
──対象より高密度の魔力反応、なおも増大中……甚大な被害を出しかねない範囲攻撃と予測、可能な限り距離をとってください!!
「ひっ!?」
嗤い声に恐怖の効果がのっていたのか、ミアがとうとう膝を笑わせはじめた。
「くそっ、荒っぽくなるが怒らないでくれよ──超変身──格闘形態!!」
地面を蹴り、飛び出すと同時に形態変化し、最速の姿でミアを抱きしめ、抱え直して走り出した。
「えっ、やっ、お姫様抱っことかやめ、きゃああああ!?」
何か抗議しているがそれどころじゃない、とにかく早く離脱し、嘘だろ!?
反対側に全力で走り出したはずだった、だと言うのに奴は俺たちの進路を塞ぐ位置に現れたのだ。
「──死否、絶叫」
嗤う闇が震え、叫ぶ。振動は破壊となってあたりをめったやたらに粉砕しだした。
「ぐっがぁぁーー!?」
身体を丸め、少しでもダメージが減るようにしながらミアを庇い背を向ける。
闇が広がりながらあたりを破壊して───
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「困るんだよねえ、おお◯◯、死んでしまうとは情けない──なんてネタしてる場合でもないし、そもそもそうそう転生だ蘇生だのはしてらんないんだよね、やれなくはないけど確定で蘇生するのは私の意思でするのはグレーゾーンすぎるからなぁ」
……なんだ、ここ?
真っ白な空間、目の前には顔がよく見えない若い男、らしき人影がひとつ、背には輝く翼。
「え、俺たちは死んだんじゃ?」
「ああ、はいはい安心してね、死ぬ前に転移して一時的に私の管理する固定空間内に連れて来ただけだから……あまり過干渉するのもなんだからとりあえずこの後はイービルデスとは離れた場所に飛ばしといてあげる、今後鉢合わせたらすぐ逃げてね、ぽんぽん死なれたら困ってしまうから」
べらべらと捲し立てる目の前の男?は忙しなく手を動かしてジェスチャーを交えつつ話を続けた。
「さて、記憶はないだろうけど深層意識下にもう一度だけすり込ませてもらうね……君は目的を遂げるまで死んではならないよ?それが契約だ、もしできなければ君はもう二度と現世には戻れない、生き返りたければこの世界でなすべきことを成すんだ、そのための力は与えた……後はどう立ち回るか、さ」
「いや、待ってくれあんたが何を言ってるかさっぱりわからない……俺に何をさせたい、いやあんたそもそも何者だ!」
「──サービスだ、今回の記憶は必要最低限は残しておこう、君の目的、それを遂げるには死んではならないこと、僕の顔や姿はぼかしておくが……そのあたりは覚えておきたまえ」
両手を広げ、大袈裟に振る舞う男の声が遠ざかって、傍から柔らかな感触と……温もり、それに声が聞こえた。
「ん……んぅ……?」
俺の横にはミアが居た、イービルデスの攻撃……死否絶叫とやらから庇ったまでは記憶があるがその後に見たのは、夢……夢か?
「いや、しかし事実俺たちは生きて奴とは違う場所に……」
やっとはっきりし始めた視界に肌色の、自分とミアの肌が見え始める。
「まあ、生きてて良かっ──ん?」
「ミロ、ク……?」
とろんとした目で、まだ意識がはっきりしないのかこちらを見上げて確認するように問うミア。
げ、まずい、まずいまずいまずい!
そう、ひとつ、まずいことがある。
「ん、なんか寒い……?」
腕の中で、ミアが寒さに身震いした。
その身体は──、一糸纏わぬ美しい姿。
桜色にほんのり色づく肌色と言うより真っ白な肌、絹より滑らかなその感触……さらには服越しにはわからなかった豊満な肉体が露わになり、目のやり場に困る姿だった。
「───え、なん、で、はだ……」
そう、転移の影響か……俺たち二人は全裸で結晶化したガラス質の構造体の上に横たわっていたからだ。
「いっ、やぁぁーーーー!?」
バッチィン!!!!
なんだろうね、酷いデジャヴだよ!?
別に二人はえちえちしたわけではありません。
それは奇跡か、神の悪戯か──
次回、意識し合う二人、迷宮迷子になる。




