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科学者の住まう不純喫茶  作者: 赤井ひよこ
1 不純喫茶ルカ
7/7

1.5 幕間 ミナの日常

「ねぇ、あたしの分も入れてよ、コーヒー」


 ジウを追いかけて、喫茶まで上がり、カウンターの前に座るなり、ミナはおねだりをする。カウンターのテーブルに肘をついて頬に手を当てる姿は、世間的にはぶりっ子なのだろうが、似合ってしまうのがよくないところだ。


「・・・・・・ミナさん、ブラック飲めないでしょ。どうせ、ミルクやら蜂蜜やらたっぷり入れるくせに」

「別に良いじゃん!あたしが飲むんだから、あたしが美味しいって思う味付けにしたいじゃない」

「当方はこれから、ちょうど3日前に焙煎したガアテマラを使って最高のコーヒーを入れようというところなんだ。ブラックで飲まないなら、別の豆を使ってくれ」

「いやよ。面倒だもーん。別にグアテマラ?の豆じゃなくても良いからさ、あたしの分入れてよ、ね? 」

「今日はサイフォン式で入れるつもりだから、同時並行とかそんな暇はない」

「ちぇーーーー」

「可愛い顔したって、当方には通用しませんー」

「にひっ、バレたか」


 ーー豆の引き具合はどうしよう?今日の最高の一杯を彩るにはどのカップにしようか、サイフォン式まで決まったがどの器具を今日は使おうか・・・・・・、なんてブツブツ考えているジウを見るのが好きだ。ようやく優しい時間が彼に訪れている気がする。この時間を守っていきたい・・・・・・・。


「何をニヤニヤしているんだい、気持ち悪いな」

「ひどい!国宝級JKのご尊顔よ!」

「言動と行動が全てを台無しにしているよ」

全くーーなんて呟きながら、ミナの目の前に3層の可愛らしいコールドドリンクが置かれた。下から白、こげ茶、キャラメル色。一番上のキャラメル色は生クリームでふわふわと甘そうな雰囲気が漂ってくる。トッピングにココアパウダーと極め付けはオレンジ色のハート型のストロー。

「・・・・・・何これ」

テーブルに肘をつけたまま、ジト目でジウを見つめる。

「さぁ?なんだろうね?」


 そう言うと、ジウは踵を返し、カウンターの奥に戻っていきサイフォン式でのコーヒーの抽出を始めた。作業中のジウの隣には、水出しコーヒーの器具が使用済みとなっていた。こみ上げる気持ちに呼応して、上がる口角が止められない。

「ジウたん、ジウたん!可愛いねぇ、これってぇミナ専用のスペシャルドリンクかなぁ?」

「ミナうるさい!今当方は真剣に1分の抽出時間を計っているんだ」

「はいはーい」


ーーやっぱりジウは優しいんだから。今も昔もー。


**********


ミナ専用スペシャルドリンク 

<材料>

・アイスコーヒー(ブラックが好きでもすこーしだけシロップを入れると透明度が増すよ)

・ミルク

・コーヒーの花の蜂蜜(どんな蜂蜜でも良いけどミナはこれが好き)

・生クリーム

・キャラメルソース(無ければカラメルを作ろう!水と砂糖で簡単にできるよ!)


①細長めの高さのある透明なグラスを用意する

②ミルクに蜂蜜を入れ溶かす。蜂蜜の量はお好みで。

③グラスに②を注ぎ、次にアイスコーヒーを静かーに注ぐ。ここがポイント

④生クリームを泡立て、少し緩めのところで、泡立てるのを止める。

⑤④にキャラメルソースをお好みで加え、均一になるように混ぜる。

⑥③に⑤を乗せ、飾り付けに、ココアパウダーやストローを挿したら完成。


横から見ると三色の層になるのがこのドリンクのポイント。③の時にカフェオレにならないように注意しよう。蜂蜜は基本コーヒーにマッチするが、コーヒーの花で作られた蜂蜜はコーヒーとの相性が格別。キャラメルソースを自家製カラメルにした場合、ほろ苦さが加わり大人味となる。さらに後な味としたい場合はフランベしたラム酒やオレンジリキュールを加えるのも◎。


**********


「甘いし、いろんな味するし、でもまとまってておいし〜〜〜〜」

「それはよかった」

「でもなんで、3層なのがミナ専用のスペシャルドリンクなの?」

「ミナ専用って、当方言ってないんだけど」

あぁ?と声は聞こえないが釣り上がった目がジウの方を向く。

「まぁ、良いや、ミナのイメージで作ったことには変わりないし。見た目はふわふわで可愛らしいのに、ちょっと中身を覗くと真っ黒で苦々しい。これが一層目と二層目。でもね、」

「一番下層には、優しい心が眠ってる! そう言いたいんでしょ! ジウたん、あたしのことよくわかってるじゃない」

「んー、まぁ近くとも遠からずってとこだな」

「照れなくても良いのにー」



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