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2話:祖父の雨宮善蔵の死

 すると、また、大きな紙に、横文字を書き、発音の仕方とその日本語の意味を書いてくれ、覚えるように言われ、夢中になった。そうして、1965年小学校を卒業し中学に入った。


 この頃になる、離れに住んでいた祖父の雨宮善蔵の所に、毎週2回、近くの病院の先生が、訪ねてくる様になった。そして、祖父は、以前、散歩そしていたのが、めっきり、外に出なくなった。


 そして、両親も離れに、あまり行かないようにねと言われるようになった。その後、雨宮ほたるは、中学3年になり、クラスの先生から長野高校か、松本深志高校、それとも上田高校を受験するかと聞かれた。


 両親に話すと、上田高校で首席を取りなさいと言われ、自転車で通える上田高校を受験することにした。1968年の高校受験で、上田高校に合格して、通い始めた。自転車で約15分の通学となった。


 上田高校に合格すると、両親が、合格祝いに日本初のラジカセを買ってくれた。それは、ナショナル、ラジオ・カセット・テープレコーダー「RQ━231」3万6千円もするものだった。


 そして、これには、AMだけなくFMを聞くことができる。初めてFMで音楽を聞いた時、雑音の少なさと音楽の聞こえの良さに感動した。また、その音楽をカセットに録音できると言う信じられない機能を持っていた。


 このころビートルズ、サンモンとガーファンクル、モータウンのサウンド「スプリームス」デンプテーションズと、洋楽真っ盛りであり、英語の好きな雨宮ほたるにとって答えられない時代だった。


 あまり、音楽ばかり聞いてるので、父から、FEN「米兵向けのラジオ局」を聞いて勉強しなさいと言われたほどだった。高校に入って、両親に教えられた様に大きな紙に覚えたいことを書いて、数学の公式、英単語、漢字も覚えた。


 1968年12月初旬、祖父の雨宮善蔵、84歳が、東信病院に入院した。その後、1969年1月が、明けて、祖父の容体が、良くないようで、両親が、病院へ行く日が増えた。


 そして、雪が、降って、底冷えのする2月4日早朝、祖父が危篤と連絡が入り、タクシーを呼んで、病院へ向かった。雪道で時間がかかり20分後、

雨宮ほたるが、病院に着いた時には、祖父の顔に白い切れが、かぶせてあった。


 もうすでに、祖母は、雨宮ほたるが、生まれる前に亡くなっていたため、葬儀は、質素に行われると、予想していた。しかし、5日後の葬儀には、100人を超える弔問客が、来て、大混雑したほどであった。


 もちろん、近所の人達が大勢手伝いに来てくれ、何とかなったが、雨宮ほたるは、驚いた。また、弔問客が、香典を置いて、記帳したら、直ぐに帰っていく光景も不思議な気がして、ただ見ていた。


 よく見ていると、政治家の秘書、大企業の秘書などが、多いことを奇妙に感じた。そして、香典の金額も、とんでもない金額になっていて、香典返しも大金がいるだろうなと、想像していた。


 しかし、香典返しは、特に豪勢と言うわけでもなく、普通のお返しだけであり、その香典返しも結構ですと言う人ばかりだったのだ。祖父の遺体を菩提寺に搬送して、お墓に入れ、お参りする人は、20人位であった。


 結局、葬儀の費用は、香典で、すべて賄えるのはもちろん、かなりの金額が、残った。葬儀を終えた時、父の雨宮輝雄が、ほたるを呼んで、祖父は、もともと子爵の出であり、以前は、軽井沢の別荘に住んでいたと語った。


 そのため、上流階級の親戚が多かった。しかし、父は、そういうしがらみが、好きではなくて、その子爵の本家を出て、上田の昔の養蚕学校、現在の信州大学繊維学部の前身で、研究職から教授になったと述べた。


 その結果、働かなくても、多くの資産を持っていたため、我々は、不自由なく生活できたのだと、語った。しかし、この話をすることは、好きではなく、お前にも秘密にしていたのだと話した。


 だから、お前は、このまま、東京の大学で、寮か、アパートに住んで、大学へ行くことができるから安心しろと言われた。しかし、何故か、祖父の実家は、子宝に恵まれず、父も「ほたる」も一人っ子だと、寂しそうに笑った。

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