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ねこのおうち  作者: pinkmint
3/5

タミちゃんとハクちゃん

正直全員が、あの番号からの着信がないことを祈っていた。それは間違いない。だがそれがまた訪れたのは、二度目の騒ぎからおよそ十日後、それもちょうど俺がトイレに入っていたタイミングだった。

「はい、ベストパートナー動物探偵社の藤代です」

事務所のドアを開けると、藤代が椅子にもたれかかるようにして受話器を手にしていた。だが、奴は顔をしかめると受話器を耳から遠ざけた。この距離からでも甲高い怒鳴り声が聞こえる。俺は手を伸ばした長瀬を押しのけて、受話器を取った。

「お電話代わりました、叶です。捜索のご依頼でしょうか」

「あいつを電話に出さないでよ!」明らかに小町さんの声だった。

「その節はすみません、小町さんですね。あいつも一応社員なもので。で、もしかして、またタミちゃんが……」

「そうよ、いなくなったのよ。私だって夫に言われて二日我慢したのよ、待っていれば帰ると信じて。でもこれで三日目なの、今までで一番長いわ。もう我慢できない。お願い、助けて!」

俺は左手で頭をぐしゃぐしゃにした。長瀬と藤代がじっとこちらを見ている。

「えーと、ですねえ。奥さん、……あと一日待ちませんか」

「もう限界だって言ったでしょ! あと一日待てば四日よ! 母は五日目で…… いえ、もしもどこかで虐待でもされてたらどうするの、責任とってくれるの?」

俺はため息をついた。

「わかりました。明日でよければ伺います」

「明日でなければだめなの? 今日では?」

「以前作ったポスターの、行方不明になった日付だけ変えて刷りなおします。それを多めに用意して、マタタビや捕獲器も用意して、明日午前に伺います。それでよろしければお受けします」

「ではお待ちしてます。あなたたちだけが頼りなんです。あの余計な男はいりませんからね!」

「はい、わかりました」

そうは言っても藤代はああ見えて大事なアンテナを持ってる男なんだ。なるべく早く解決に導くために使わせてもらうしかない。

「始動だ。長瀬、ポスター編集頼む。いなくなった日付、今日から三日前に変更して」

「わかりました」

「藤代、アンテナは立ってるか」

「予感だけなんスけど。今回はそうそう見つからない気がするな」

「え、まじか」

「多分長期戦になりますよ」

「はー……」

「てことで叶さん。今度は儲けましょうよ」

二ッと笑い、親指を立てて藤代は言いやがったのだ。



「どうしてこの人がここにいるの。言ったでしょ、嫌だって」藤代をにらみながら柚香夫人が言った。日曜日なので、御主人が隣に立っている。

「すいません。いざという時、こいつは大事なペットちゃんの居場所を探り当てるのが突出してうまいんです。最終的に、きっとお役に立ちますから」

「……見つけてくれるならいいわ」

力なく、彼女は言った。度重なる心労で気力体力ともに明らかに失せているのがわかった。

その日、居間で契約書に判が押され、十一万が再び先払いされた。さあ、あとはやるだけだ。

「まずはですね、これは捕獲器です。もしひどく腹を空かせて帰ってきた場合、それでも家に入るのを何かの理由でさけている場合、かかるかもしれません。置かせてもらっていいですか」長方形の篭型をした捕獲器を手に俺は言った。

「けがとかはしないのよね」

「自動的に閉まるだけです、大丈夫です」

「ならいいわ」

「次は聞き込みとポスター配りに出ましょう。藤代、何か感じる場所があれば言ってくれ」

「残念ですが、あまり近くにいないみたいっスね」

「生きてるわよね?」夫人は縋るように言った。

「それは、……そう。生きてます」藤代は力強く断言した。

「ああ……」

「でもだいぶ長いこと一か所にいます。勘ですが。まずその場所がわかれば……」

「ひどい目には遭っていないわよね?」勢い込んで夫人は尋ねた。

「それはないと思いますよ」

藤代のその言葉を聞いて、夫人は決心したように言った。

「実は、いつもお庭や近所にいたわけじゃないんです。とくにここ二か月ほど、半日以上家を空けることはザラでした。雨が降っても風の強い日でも。でも行き先がわからなくて」

これまでの強気な様子とは違い、彼女は本当に全身から力の抜けたような様子だった。顔色も蒼白で、いつものスカーフで長い乱れた髪を一つにくくり、所在なさそうに両手を握り合わせる。心配そうに夫人を見ていたご主人が言った。

「柚香、具合が悪そうだから家にいたらいい。足を使っての探索とポスター配りは僕とこの方たちでやるから」

「じゃあ、ごめんなさい、家で待つわ。すれ違いになったら大変だから。またすぐパタン、と言ってかえってきそうで落ち着かないの。皆さん、どうかよろしくお願いします」

そう言って頭を下げると、寝巻のような長いレンガ色のガウンの背中を向けて、家の奥にふらふらと引っ込んだ。

長瀬と藤代と俺、それにご主人は、ポスターを抱えて小町家を出た。

「奥様、かなり精神的にまいってらっしゃいますね」長瀬が声をかけた。ご主人は答えた。

「昨夜涙をこぼしながら、今回は今までとは違う、もう帰ってこない気がする、としきりに言ってました」

「どこか、行く先とか出入りしていた家とか、心当たりはないんでしょうか」

「さあ。僕は、妻ほど猫にかまっていなかったし、そういうのは何とも……。でも、それとは遠い話かもしれないけれど、気になる場所があるんです」

「場所? どこですか」

「いや、手掛かりになるような話じゃないんですけどね。これも妻から聞いたことで。

妻と、まだらボケの義母が、いつもの二人散歩から帰って、抜け道を見つけたのとふたりではしゃいでいたことがあるんです。ここから五百メートルほど西にいったあたりの場所なんですが、修道院と果樹園の間の道がとても雰囲気が良くて、そこを通ると早く帰れるのって。果樹園にはいつも何匹か猫ちゃんもいるのよって。どこかの政党のオレンジののぼりが入り口の目印だと言ってました。

義母が亡くなっていたのも、オレンジ色ののぼりが立っているビルの横の細い路地でした。普通人が通れないぐらいの。家への近道と思い、勘違いしたんだと思います」

「つまり奥様は、お義母様の死の一因が、自分にもあると感じてらっしゃると……」

「そうかもしれません」

「果樹園は候補地だな。ご主人、場所分かりますか」

「外じゃない。猫は中だ」藤代が突然言った。

「え」

「どこか、暗い日のささない場所で、出入り口を見失ってる」

「屋外じゃないのか」

「いや。倉庫かガレージの中みたいなところだ」目を閉じたまま、藤代は言った。

「そういう能力があるんですか、この人」若干胡散臭そうに御主人が問う。

「まあその、事実…… 彼の能力のお陰で見つかった例はそれなりにあるんですよ」俺は控えめに答えた。

「じゃあ、聞き込みを続けながら二手に分かれて、ガレージや物置のある家にあたってみたほうがいいわね」長瀬が言った。

「そうしよう。あとは、かかりつけの動物病院、掲示板、同意してくれたお宅とかにポスター貼りだ」

「かかりつけの病院には、僕がいきます。あそこにはよく尋ね猫や犬のポスターがあって、みなさん見てくれるんです。あと顔見知りの家にも何軒か声をかけます」ご主人は殊勝にもけっこうな枚数のポスターを手に出かけていった。

「たいして猫に関わっていなかったにしては、随分と協力的ね」長瀬が言う。

「多分、お義母さんの最期の様子まで我々に話したことがばれて立場が弱くなったんだろう。奥さんに相当とっちめられたろうな」

藤代は明後日の方向を向いて知らん顔をしている。

俺と長瀬は二人一組で聞き込みとポスター貼りに向かった。人がいるとアンテナの邪魔になるという藤代は単独行動だ。

反応ははかばかしくなかった。最初いなくなったとき、柚香夫人が近所中に聞いて回ったせいで、ほとんどの家が「またその猫ですか?」と顔をしかめるのだ。

「だったらおうちの中で飼えばいいのに、ねえ」

「うちは猫あまり好きじゃないんですよ」

「はあ、……どうもすみません」我々はそう答えるしかなかった。

小町家に戻ると、捕獲器には三毛猫がかかっていた。中で目を真ん丸くしてガタガタと暴れている。その傍に夫人が座り、声をかけてなだめている。

「ありゃあ、お客さんか」

「時々顔を見る子です」夫人は猫を見ながら答えた。そして、おびえた様子の猫に頼んでいた。

お願い、うちのタミちゃんに出逢ったら、おうちに帰ろう、って言ってやって。ぶちの小太りの子なの。目は綺麗な青なのよ。ママが泣きながら待ってるって、教えてやって。お願い、お願い。

俺は檻を開けて三毛を放した。猫は夕暮れの街に駆け出していった。

その日夜遅くまで探し続けたが、結局収穫はなかった。

頭を下げて小町家を出る時、夫人は夫の胸に顔を押し付けて肩を震わせていた。


帰りの車の中で、俺は藤代に話しかけた。

「おいシロちゃんよ」

「なんスか」

「今回は儲けましょうよ、とお前言ってたな。まさか、だいたい居所はわかってるのに延長代稼ぐために黙ってる、ってことはないよな?」

「随分だなあ。そんなくだらない真似、しませんて。俺だって動物が好きだからこの仕事やってるんス」

「そうか。わかった」

冷たい小雨がフロントグラスを叩いていた。


タミちゃん捜索二日目。

俺は小町家に寄って挨拶してから昨日と同じに長瀬と二人組になり、藤代は昨日同様単独捜索に出かけた。

家を出る間際、ご主人がそっと一枚の紙を俺たちに見せた。

A4ぐらいの白い紙に、たくさんの猫のデッサン画が描いてあった。

どれもタミちゃんだ。

寝ころんでいる、伸びをしている、背中を舐めている、香箱座りをしている、前足の上に顎を載せて目を閉じている……

「昨夜女房は僕が止めるまで酒を飲み続けて、急に紙を引っ張り出すと熱心に何かを描き始めました。何枚も何枚も描いていたかと思うと、倒れて眠ってしまいましてね。それはその一部です」

「いや、……これは見事ですね」俺は思わず呟いた。

面倒臭い依頼人だとしか思っていなかったが、素人画家というには惜しい腕だ。まるでレオナルド・フジタの描く猫のような、猫好きだけが描ける体の線がそこにはあった。血の通った、見事な描線だった。

「奥さん、素人画家とおっしゃってましたね。これ、十分金になる腕じゃないですか」

「人に見せるために描いてるんじゃないと本人は言ってましてね」

家を出ると俺は長瀬に言った。

「今日は半径五百メートル以内に捜索範囲を伸ばして片っ端から聞き込みをするぞ。そうだな、効率を上げるために長瀬は南のほう、俺は東と北、T上水あたりまであたってみる。藤代は西の方角が気になると言ってたから西は彼に任せよう。ガレージと倉庫のある家優先だ」

「はい」

ふたたび距離を伸ばして聞き込みを始めると、気が滅入るような話ばかり聞かされることになった。


「…そういえば、近くの学校で兎がサッカーボール代わりにされて殺された事件があったんですよ。その犯人てのが、どうも札付きの残酷趣味の中学生らしくて。猫なんかも捕まえておもちゃにしてるんですって」

「猫嫌いで、毒餌を撒いてるおじいさんがいるようなんですよ。この近所で野良猫が三匹、死んだみたいです」

「わざと物置とかに閉じ込めて弱らせる、なんてことをやってるお宅もあるみたいですよ」


猫というのはつくづく、溺愛されるか残酷な目にあわされるか、両極端な境遇しかない生き物だ。そして自由猫は、その宿命のはざまで知恵を絞って生き延びるしかない。

家に寄り付かなくなった猫は、……野生ほど狩はうまくないだろう。タミちゃんは、どれだけものを食べて、あるいは、食べずにいるのだろうか……?

そのとき、携帯が鳴った。

発信者は、藤代だ。

「俺っスけど。今、市立第三小学校の北西の住宅地で奥さんにあいまして」

「え、奥さんに?」

彼女も捜していたのか、一人で。

「で、あるおうちのガレージの中から猫の声が聞こえてましてね。奥さんに言わせると、どうしてもタミちゃんの声だというんです」

「お前はどう思うんだ」

「正直言って、間違いないと思いますね。中にいます」

「その家の人に声をかけてみたか」

「チャイム押してみたんだけど、出なくって。森下って家です。お留守のようっス」

タミちゃん、タミちゃん、ママはここよ。夫人の懸命な声が電話の向こうから聞こえる。

「第三小学校の北西と言ったな。目印はあるか」

「ここから小学校の門が右に見えてます。オレンジ色の細長い家っス」

「よし、今から行く。長瀬にも知らせておく」

ほどなく現地に着いた。なるほど橙色の細長い家で、狭い間口は、シャッターの下りたガレージの入り口と狭い玄関でいっぱいだった。数分して、長瀬が到着した。

ガレージの中からは猫の声がひっきりなしに聞こえる。何か切なげな、助けを求めるような声だ。

「タミちゃん、ママ、ここにいるわよ、いるわよ」夫人は必死だ。

「何とかここあける手立てはないモンスかねえ」藤代も鍵のかかったガレージにはお手上げだ。

その時、お向かいの古い日本家屋から七十代半ばとみえるお年寄りが出てきた。

「あなたたち、さっきからこの家に何か御用?」うさん臭さそうな顔で我々を見る。俺はできる限りソフトな笑顔で老女に答えた。

「はい。実は僕たち、ペット探偵者のものでしてね。ここの家のガレージの中で、先だって行方不明になった猫ちゃんの鳴き声がすると飼い主さんがおっしゃるものですから。この家……森下さんはお留守なんでしょうか?」

「あらまあ。ええ、森下さんは三日前から旅行に出てお留守ですよ。その間、中の金魚と猫のお世話を私が仰せつかってるんです」

「すると、邸内には猫が一匹いると」

「ええ、きれいな白猫ですよ。ハクちゃんていうの。その子の声じゃないかしら」

「完全室内飼いですか」

「いえ、猫用出入り口が外向きにあいてるんで基本出入り自由ですけど」

柚香夫人の家猫と同じだ。

「いえ、タミちゃんの声です。私飼い主だからわかるんです。お願いです、確かめさせてください!」夫人が必死に割って入った。

「てことはこの家の合い鍵をお持ちですね」

「はい、まあでもねえ、知らない方を家の中にお連れするのはちょっとねえ」

「家の中ではないんです。このビルトインガレージの中だけでいいんです。まだ若い猫なので、この寒さに耐えられるかどうか心配で」夫人は訴えた。

「ここのところにゃんにゃん聞こえるの、ハクちゃんの鳴き声だけとばかり思ってたわ。そういやおうちの中でごはんを上げてる時も、どこかから猫の声はしてたわね。二匹いたのね。私最近、耳が遠くて」

「このお宅の中では、ハクちゃん以外の猫は見ませんでしたか」

「それは見なかったわねえ。ガレージと家の中には引き戸の間仕切りがあって、出入りできないようになってるの。迷い猫だってことが確かなら、旅行に出られた三日前に車を出す際にガレージに迷い込んだことになるわね。ちょっと待って、森下さんに連絡とってみます」

俺たちは祈るような想いで彼女の電話の結論を待った。老女は電話を切ると言った。

「ガレージに閉じ込められているなら可哀想だから開放させてあげてって、お許しが出たわ。じゃあ、ガレージの方の鍵で開けましょうか」

「ありがとうございます!」

俺らは全員でお辞儀をした。そしていつも持ち歩いてる捕獲器をガレージの入り口に置かせてもらった。果たしてこの状況で入るだろうか。

鍵を開け、細めにガレージをがらがらと開ける。老婦人は猫なで声を出した。

「猫ちゃん猫ちゃん、心配ないわよ、出ておいで」

他の隙間は大きな捕獲網でふさいだ。

「タミちゃん、ママよ。もう心配ないわ。ママの所に戻って来て」夫人もできるだけ甘い声で訴えた。

奥のビールケースの陰で何かが動いた気がした。青白い目が二つ、光っている。いや奥にもう一個……四つ?

そのとたん、捕獲器と網の間をとびぬけるようにして、白黒ぶちに青い首輪の猫が飛び出した。間違いない、タミちゃんだ! 夫人は声を張り上げた。「タミちゃんタミちゃん、ママよ。ママはここよ! わからないの?」

タミちゃんは一度振り返って立ち止まった。その間に我々はそろそろと間合いを詰めた。そのとき、奥にいた光る眼が足元に飛び出した。

「ハクちゃん!」老婦人が叫んだ。赤い首輪をした白猫は真っ直線に街路を走って行く。そのあとを、タミちゃんが追いかけた。捕まえる間もあればこそだ。

「あっちゃああ……」長瀬が情けない声を出した。夫人は慌てて後を追いかけたが、二軒先の家の塀に飛び上がるとそのまま二匹は姿を消した。

「なぜ? ……なぜ逃げるの?」呆然と立ちすくんだまま、夫人は涙声で言った。

ガレージの中をのぞいた老婦人が言った。

「ガレージから邸内に続く引き戸が細くあいてるわ。ハクちゃんが家の中から鼻を突っ込んで今あけたのね」

藤代はしばらく黙っていた。そして、妙なことを言った。

「行く場所があるから、行ったんス」

「行く場所ってどこ」夫人が尖った声を出した。

藤代は珍しく真面目な顔を夫人に向けた。

「これからは、ある意味、異次元の出来ごとになるかもしれません。俺もこれまで数回しか出合ったことのない光景です。でもそれを信じてくれるなら、全員、黒っぽい服に着替えてください」

「黒っぽい服って…」長瀬がとまどった声を出した。

「今夜、ある場所に偵察に行きます。でも人数はできるだけ少ない方がいい。叶先輩と俺でいいくらいっス」

「私も行くわよ」夫人が断固とした口調で言った。

「それなら、黒い服を忘れずに。場所は、御主人の話にも出てきた果樹園です。今日一日歩いて見つけました。あそこはある意味、聖地です。それをご承知の上で来て下さい。時間は夜の零時過ぎあたりです」

いつもの声音とは違う、真剣なしゃべり方だった。こういうとき、大抵藤代は成果を上げるのだ。俺は藤代にすべてを預ける覚悟をした。

「それにしても、あのう、ええと」俺は老婦人に声をかけた。

「棚橋です」

「棚橋さん、責任もってお世話している白猫ちゃんまで逃がして、申し訳ありませんでした。われわれの力でなんとか、必ず、元に戻しますので」俺は頭を下げながら言った。

「いいのよ、あの子は自由猫だからけっこう好きなところを出歩いてるの、でも夕方に戻るの。でもその方のお話しだと、今夜の帰宅は夜中になるのかしら。なんだか知らないけど、今夜は面白い光景が見られそうだわね」そう言って棚橋さんは興味深そうに笑った。


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