歩く、夜道
コツ、コツ、コツ、コツ
周りには一面に田んぼしか見えない道路を、コツコツと足音を立てながら歩いている男の姿があった。
てか、今何も持ってないんだよなぁ。木の枝とかなんでもいいから手に持っておきたいな。道中でなにか拾っておこうかな。なんでもいいから、抵抗できるもの…抵抗できるもの…っと。
今、男ができる最大のマモノへの対抗策が「なんでもいいから抵抗できるものを探す」ということしかしかなかった。手ぶらでは抵抗することもできずにまた喰われてしまうからであったし、ちょっとした安心する部分を作っておきたかったというのもある。
今は夜。不安や恐怖が一番高い時間帯でもあるので、尚更だった。
とにかく、あの怪物に見つからないようにしないとまた食われちまう。それだけは絶対に嫌だ!
てか、なんでこうなっちまったんだっけ…。とりあえず、歩きながら記憶の整理をしよう。
えぇ…と、まず一番最初の記憶は………白い部屋から目が覚めたところから。もうこの時点で服装は白かった。ということは、一回服は脱がされ、私物とかは全部回収されてんだな。
てか、なんのためにこんなこと?誰が?なんで俺は何回も死んでるはずなのに生き返ってんだ?
男はどうしても出てきてしまうわかりようのない疑問を頭の中に次々の浮かばせては消えさせてゆく。
わかりようがねぇか。こんなんじゃ。
ガサッ!
男はたまらず、逃げの姿勢をとってしまった。男の脳裏にはあの怪物がよぎる。
だが、男の前に飛び出したのはそれはマモノではなく、猫が飛び出してきたのだった。
びっっっくりしたぁぁ〜!あれがあんな怪物だったらどうなってたか…
男は思い出しただけで身震いをしてしまった。また、自分は…3回目もあんな怪物に喰われてしまうのかと。男は必死に忘れようとした。が、こびりついた恐怖の記憶はそうそうに消えることはない。しかも、それが2回続いたのだ。恐怖の記憶は根強く残り続けるだろう
と、色々考えていると思いついた。
あれ、俺の記憶って、初めて白い部屋から目覚める前の記憶以外ははっきりと覚えてるんだな。それも鮮明に。2回も死んでるのに。
男は死んでも記憶が続いていることに、不思議に思った。
しかし、その疑問もわかりようのない疑問であることもないため、考えないようにした。
そんなことを色々、考えてるうちに明るい街が見えてきた。
男の顔には少し、余裕も見えてきた。
ところが…
ドスンッ!
なにか、重いものが着地した分厚い音がそこに響き渡った。
男が振り向くとそこには、息を荒くして獲物を逃さんとするマモノの姿があった。
こんな間隔で投稿していいのでしょうか。小説家になろうの平均的な投稿スピードがわかりませんが、2話でした。次も読んでくださると嬉しい限りです。