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066 絶望の先の希望

「おおああああ! だ、誰か! 誰か助けてくれぇ!」


 ま、まずい!

 あの人を助けないと!


「何をしている娘! お前はより多くの敵を倒す事に集中しろ! お前に掛かってるんだぞ!」


 勝手に人に賭けないでよ!

 私は兵隊でもなんでもないんだから!


「おねがいだあああああ! 食われたくなぃぃい! 虫になるのは嫌だぁああ!」


 エーレンベルグじゃ衝撃範囲が大きくて巻き添えにしちゃうかもしれないけど……!

 私なら……きっと出来る……!


 あの人にくっついている虫を、破壊が及ぶ範囲ギリギリに入れる!

 それも1射で決めないと、2射目の猶予はない!

 集中しろ、集中しろ、集中しろ!


 目を大きく見開き、狙い定めた空間を射る。

 衝撃は多くを巻き込み、脆い寄生体の体を周囲の木ごとかっさらっていく。


「……あ、あああ! たすか! たすかったああ!」


 間一髪だろうか。

 難を逃れた男は全速力でこちらへと向かってくる。


「よ、良かった……」


 なんとか無事に助けられた。

 上手くいって良かった……。


「娘ぇ! いいから殲滅に集ちゅ――」


「うるさい! むすめむすめうるさい! 指示を出したいなら名前で呼べ!」


 いい加減腹が立って文句を垂れてしまった。

 それを聞いたライアスさんが口でヒュ~ってやってる。

 今そんな場合じゃないだろ!


「はは! 剛毅な娘だ! ベルモンド殿! お主が悪いぞ!」


「あの嬢ちゃんはローズってんだ! ベルモンドさんよ!」


「そうか! すまないローズ! だが今は殲滅に集中してくれ! 他は我々に任せて数を減らしてほしい!」


 鼻で一瞬自分を笑いながら、ベルモンドさんは私の名前を呼び指示を出す。

 こんな小娘に生意気を言われて怒るかとも思ったが、案外すんなり受け入れられた。


「分かった!」


 ガルムさんは斧で、ベルモンドさんは短剣で、それぞれ破竹の勢いで寄生体を蹴散らしていく。

 私も私で、了承した以上はちゃんとやらないと。


 でも、さっきからフィオさんが気になって仕方ない。

 そう思っていると、案の定助けを呼ぶ声がする。


「おあああ! 誰か、誰かあああ! あいつを助けてくれぇえ!」


 叫んでいるのはチンピラBだ。

 チンピラAは既に、フィオさんの左腕のワームに半身を飲み込まれている。


 助けてあげたいけど、あの状態ではもう絶望的だろう。

 包み込むワームの太さが、残ったチンピラの下半身よりも細いのだ。

 上半身は既に無くなっている。


「任せろ嬢ちゃん! あっちは俺がなんとかする!」


 ライアスさんがその場に急行するが、それを阻むように寄生体が壁を作る。

 まるで、食事中の主の邪魔はさせないといった様子で。


「チィィッ! どけぇええ虫共ぉお!」


 華麗さはない。

 でも非常に豪快な剣。

 目の前の寄生体を斬り払い、吹き飛ばし、どんどん前へと進んでいく。


 だが辿り着いた時には既に、チンピラAの飲み込まれていない部分はつま先しか残っていなかった。


「クソッ! おい! お前だけでもこっちに来い!」


 チンピラBは座り込んでいる。

 食われた友人の最期を見て腰が抜けたのか、恐怖で動けなくなったか。

 いや、そのどちらでもなかった。


「おい! 何してる! はや……」


 チンピラBの目は不自然に飛び出した。

 長く伸びた眼球が、微妙に溶け爛れながら上下左右を見回している。


「クソがッ!」




 ◆




 おかしい。

 ここはそこまで密集した森じゃない。

 というか、そもそも森ではない。


 まばらに木々が生えているだけの場所で、そんなに見晴らしが悪いところじゃない。

 なのに何故これだけの数に気づかなかった……?


 100や200程度ならもうとっくに倒してるはず。

 それなのに、次から次から沸いてくる。


 他者よりも少し高い位置にいる私には、寄生体たちの途切れ目が見える。

 その途切れ目より外側から、新しいのが来ている様子はない。


 だったら考えられるのはふたつ。


 ひとつは、どれだけ矢で粉々にしても肉片さえあれば再活動が可能なほどの生命力がある。

 もうひとつは……――。


 必死に応戦する冒険者たちの足元が、不自然に盛り上がり始めた。


 ――地面から出てきてる……!


「全員地面に注意して! そいつら地面から這い出てきてる!」


 咄嗟に大声を上げた。

 指示を出していたベルモンドとガルムとは違う、少女の叫び声。


 多くの者は声に反応してくれたようで、地面の異変を察知して回避している。

 ただ、ひとりだけ私の声を無視したようだった。


「はっ! 誰が娼婦のガキのいう事なんざ聞くかよ! つーか地面なんざ見てる余裕ねーんだよ! ……あ?」


 男の両足は、地面から突き出た虫に絡みつかれていて動かす事が出来ない。


「なんだこりゃあよぉおお! おいアンタ! こいつを振りほどくの手伝ってく……あれ、どこだ……。皆どこ行ったんだ……。おい! なぁおいいいい!」


 チンピラCが悲痛な声を上げている。

 陣形を組んで戦っていたはずなのに、いつの間にか分断され、寄生体の波に攫われ孤立してしまっている。

 すぐ傍に仲間がいると思って戦っていた彼は、既に馬車から遠く離れた位置にいた。


 地面の異変を知らせる声が、それぞれが立ち位置を見直す切っ掛けとなったおかげか、ひとりを除いて馬車周辺に戻って来ている。

 戻って来れていないチンピラCは、脚に絡みついていた虫を斬りはらったようだが、多くの寄生体に取り囲まれて逃げ場がない。 


「ああああ! やめやめやめ! ダメダメダメだってええええ!」


 声はする。

 大体の場所も分かる。

 でも姿が見えない。

 正確な位置が分からないんじゃ、矢を射る事が出来ない。


「ローズ! 向こう側の集団が見えるかぁ! あそこを撃てぇ!」


 ――!


 指示された位置を射抜く。

 少し奥まったところだったおかげもあってか、地面に倒れ込んでいたチンピラCには当たっていない。

 周囲の寄生体の脚より上が吹き飛んでいるが、まだ周りにはたくさんいる。


「……!」


 更に続けて矢を放つ。

 2矢、3矢と放った事で、チンピラCの周囲の寄生体はほとんどが消え去った。


 やった、助ける事ができた。

 そう思ったのに、彼はそこから動かない。


 チンピラCの体には、ストローのような黒い何かが無数に刺さっていた。

 矢の一撃で千切れて残ったのだろうそれは、一定の高さで途切れている。 

 恐らくは寄生体が差し込んだ何か。


 吸う目的のものであれば、彼は助かったかもしれない。

 だが残念なことに、それは注入するためのものだった。


「ああがががっがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」


 黒かったそれは上の方からどんどん白く透明になっていく。

 黒い何かが、男の体へと入り込んでいく。


 激痛に泣け叫びながらも、彼は手足が無くなっていて動く事が出来ない。

 その光景から、私は目を離す事が出来ない。


 次第に体が膨れていく。

 膨張し、耐えきれなくなった皮膚が裂け、血が飛び出す。

 それと一緒に、夥しい数の蛆虫が弾けて出てくる。


 膨れ続ける体は至る所が裂け始め、血と蛆虫をまき散らすだけの肉の塊がそこに出来上がった。

 

 助けを懇願し続ける彼の声は、あまりに悲痛で聞いていられなかった。 


「いぃはぃぃい! はふけ、はふけてくえぇ! 死にはくない! 死にはく……し、しに……しにしにしにしににににに」


 最期は、こぶし大のワームの幼虫が頭部を食い破って出てきた。

 出てきた幼虫は、人の頭部に入っているであろうそれを、残らず食べようと吸い付いている。


「う、うぶッ……! おぇッ……!」


 ひ、酷い……。

 およそ人の死に方とは言えない……。

 あんな、あんなの……!


「冗談だろ……あんな死に方……。絶対にごめんだね……。俺はいやだ、嫌だぞ。……いいいやだあああああ!」


 見ていた冒険者のひとりが、絶叫を上げながら逃げ始めた。

 その絶叫に動揺した別の冒険者が、地面からの伸びる虫に絡めとられ、叫び声をあげる。

 

 叫び声が叫び声を呼び、それらの恐怖は伝播していく。

 声を聞いた冒険者たちは次々と錯乱し始めた。


 減らない敵、減っていく仲間。


 勝ち筋の見いだせない戦いに。

 自身が辿るかもしれない凄惨な最期に。

 

 絶望しパニックを起こすのは、当然だったのかもしれない。


 統率の取れなくなった私たちはひとり、またひとりと、虫の波に攫われていく。


 それぞれの荷馬車で震えていたであろう商人たちも、もう全員死んでいると思っていいだろう。

 何故なら、守る馬車はもう前後合わせて5台しか残っていない。


 護衛依頼は確実に失敗。

 私に護衛は向いてないのかもしれない。




「まぁあだぁだぁあああ!」


 突然の怒声。

 明らかな怒りを含んだそれは、ライアスさんが発したものだ。


「冒険者なら最期まで諦めるんじゃねぇ! 最後の最期まで足掻いて! 生きるって事にしがみつけ馬鹿野郎どもがぁああ!」


 パニックになる冒険者たちをよそに、ガルムさん、ベルモンドさん、そしてライアスさんの3人だけが、ずっとずっと必死で戦っていた。

 

「気張らんか若造どもぉお!」


「死にたくなければ戦うしかないぞ! 陣形を乱すなぁ!」


 それぞれが喝を入れながら武器を振るい続けている。

 その声に、少しづつ平静を取り戻していく冒険者たち。


 私も、ボーっと静観してる場合じゃない。


「【ディバイン・ブレード】……!」


 ライアスさんの剣が青白く光り、刀身を何倍もの長さにしている。

 魔力と闘気で作られた刃が、広範囲を斬り刻んでいく。


「【風魔轟雷】」


 ガルムさんの斧が大地を穿ち、離れた位置に衝撃波と雷撃を発生させた。

 空中を舞い、焼け焦げた寄生体は地面へとグチャグチャ音を立てて落下していく。


「【カルシュ・クレイフ】!」


 ベルモンドさんは既にフードが取れていた。

 切れ長の目に、尖った耳。

 その特徴が当てはまる種族に関しては後で考える。


 彼の放った戦技は、短剣の斬撃を飛ばすものだった。

 小さな斬撃ではあったが、真っ直ぐと飛んでいくために直線状の敵をバラバラと細切れにしていく。


 3人のその姿を見て、慌てて逃げ惑い始めていた冒険者たちの目に光が戻り始めた。


 恐らく何度も使えないであろう戦技。

 温存しておきたかったであろうそれを、ここで使ったのは士気の低下を防ぎ、尚且つ上げるため。

 状況を好転させるために使わざるを得なかったんだと思う。


 戦技は数多くあれど、範囲強化系や遠当て系の戦技持ちは驚くほど少ないそうだ。

 魔力よりも扱いが難しい闘気や聖気を、細かくコントロールする必要があるからと、以前お父さんから教えてもらった。


「所詮は虫だ! 魔術が使える者はどんどん焼き払え! ローズ! お前はさっさと弓を撃たんかぁ!」


 言われなくても……!


 何故か先ほどよりも密度が上がっている寄生体たちに、エーレンベルグの一撃を放つ。

 衝撃がほとばしる中、視界の端でひと際大きな巨躯になっているフィオが、虫たちの中へと消えていくのが見えた。


「さっきよりも大きくなってる……!」


 いや、それよりもどんどん見えなくなっていく方が問題だ。

 体を小さくしているのか、地面の下に行こうとしているのか。


 逃げるつもりかどうかも分からないが、何にしても見失うのはまずい。


「クッ……!」


 その姿を追いかけるように矢を射かけるが、見晴らしがよくなった場所にそれらしいものはいない。 


 見失ってしまった。




「おおおお!」

「【フィアンマ】……!」

「だあありゃああ!」


 声を上げ、奮闘する冒険者たち。


 完全とは言えないかもしれないが、彼らに闘志が戻ったようだ。

 元々腕に覚えのある者たちだ。

 怒涛の勢いで、寄生体たちを押し返し始める。

 自分たちが押しているというその事実に、彼らは更に士気を上昇させた。


「いける! いけるぞ! 生き残るぞおらああ!」

「うおおああああ!」


 状況は間違いなく好転してるはず。

 気づけば、馬車左側の敵の姿は無く、押し返し始めてからは寄生体の数も減り始めた。

 動きの緩慢さもあり、奴らは次々と倒れていく。


 勢いが消える事を恐れているのか、残った冒険者たちも止まろうとしない。

 グイグイと前へ進んでいく。


「このまま押し切れぇえ!」


 ガルムさんの声に更に勢いは増し、先頭にいる10人ほどがチンピラCの無残に膨れた死体を超えた瞬間だった。


 両サイドの地面から、突如盛り上がった土。

 すぐに見えてきたピンク色の肌。


 それは、無数の寄生体の肉で構成された、巨大なふたつの口。

 両脇から包み込むように、その口は先頭にいた者たちを、


「なん――」


 容易く飲み込んだ。 


「ガルム殿!」


 肉がすり潰れる音や、骨が折れるときの音が、鈍く響いてくる。

 あのピンク色の肉の中にいる者たちは、いま目の前で潰されている。


「ローズ! あれに矢を撃てぇ! 早くしろぉ!」


 状況についていけてなかった私は、その声にハッとなり弓を構える。

 

「中は気にしなくていい! とにかくド真ん中を射抜いてやれぇ!」


 呼吸を一拍取ってから放った矢は、肉塊へと突き刺さる。

 だが突き抜ける事はなく、矢自体も飲み込まれていく。

 着弾箇所の穴もすぐに塞がってしまった。


「ダメだ……! 分厚過ぎる!」


 これを見て、ベルモンドは思考を巡らせた。


 恐らくこちらの最大火力であるローズの矢が通じないとなれば、あれを破壊する事は出来ない。

 燃やそうにも魔術師の数が少なすぎる。

 幸い、周囲を取り囲んでいた寄生体は全てあの肉塊の周辺に集まっていて、退路を阻む障害は何もない。


 ならば……!


「全員撤退だ! あれは倒せん! 全力で逃げるぞ!」


 ベルモンドが出した撤退命令。 

 状況的に見ても正しい判断だと思う。


 我先にと逃げ出す冒険者たちは、既に30人程度まで減っていた。

 声も出せずに虫の波に飲み込まれた者が多く、気づけば残ったのはそれだけ。


 そしてそんな彼らのほとんどが、ブニョンという感触と共に逃げる脚を止めていた。


「な、なんだよこれ……。なんなんだよこれよおおおお!」


 彼らの脚を止めたのは、ドクンドクンと脈打つピンク色の肉。

 走り、足を地に着ける瞬間に土から現れ、約20人がその場から動けなくなった。


「ああ、嘘よ、こんなの嘘よ! こんなとこに来なければ! 来なければ……!」


 皆、口々に自分を呪う言葉を吐き始める。

 片足を不気味に脈打つ肉に取り込まれ、この後自分がどうなるのか想像するのを拒むように必死で喋り続けている。


 だがそれも長くは続かない。


 土から這い出して来た肉塊は大きく上昇する。

 トラップのように出て来ていた肉は全て繋がっており、円形にこの場を取り囲んでいたのが分かった。

 捕まっている冒険者は皆、宙吊りだ。


 太さにして直径3メートルくらいの肉の網。

 その肉に、宙吊りの冒険者たちの体はゆっくりと飲み込まれていく。


「あ、あ、ああああああ! いやいやいや! いやああああああああああ!」

「あぎゃあああ! いいたああいいいい!」

「助け! 助けて! 誰か! 誰かあああ! あ゛あ゛あ゛あ゛!」


 飲み込まれた部位が潰されているのだろうか。

 泣き叫び、もはや何を言ってるのか聞き取れない。


 その様子を前に、私は動けなくなった。

 

 人が死ぬ瞬間をこんなに何度も、それも惨たらしく死ぬ様を見るのは、精神的に無理がある。

 目の前の悍ましい光景に、激しく、強烈に自分の最期を想像してしまった。


 わ、私も……。

 あんな風に死ぬのかな……。

 嫌だ……怖いよ……。


 うずくまりたいのに、怖くて体が動かない。

 引きこもりたいけど、この場から逃げられる気がしない。


 この空間に居る事が、怖い。



 バチィンッ!


 と、急に何かに殴られた。

 冷たく滑らかな感触だが、打撃としては十分な威力。


 い、今の……私じゃなかったら死んでるんじゃ……。


「ピピピピピピィイイイイイイ~~!」


 青白く透き通った軟体が、冒険者を取り込み続ける肉塊を切断していく。

 解放された者たちは、潰れた手足のまま地面へと落下する。

 それら全てにダリアの触腕が治癒を施し、完全とはいかないまでもある程度元の姿に戻していく。


「ダ、ダリア……」


「ピピピピイイイー!!」


 お、怒ってる。

 弱気になって膝を折りかけた私に対してだろうか。

 分からないけど、とにかく怒ってる。

 

「おお! スラ坊! 遂に動くのか!」


 こんな状況なのにライアスさんはなんか呑気だった。

 ベルモンドさんの姿は無い。

 恐らく、肉の結界が上に上昇したタイミングで抜け出したのだろう。

 他にも何名か姿が見えない。


「ピィ!」


 ダリアが馬車を飛んで降りていく。 

 着地したダリアを追いかけようとした瞬間、またも触手に殴られた。


 こ、ここにいろって事……?

 メッチャ痛いんだけど、加減間違えてない?

 私用の威力なの……?


「ピィィイイイイイイ!」


 肉塊に向かって、ダリアが激しく威嚇し始めた。

 怒りの咆哮スライムバージョンとでも言おうか。

 迫力があるかと言われれば、正直そうでもない。


 だがすぐに辺りの雰囲気が一変する。

 空気が震え始めたのだ。

 

 その空気の振動から、激しい怒りが伝わってくる。

 

 肉の塊にもそれが伝わったのか、大きく膨れ上がりまるで警戒しているかのようだった。


「ピイ!」


 グニョンと波打ち、その体積を一気に増やすダリア。

 その時点で既に肉塊よりも大きい。


 そこから見る見るうちに形状が変わっていく。

 長くしなる尻尾、凶悪な爪を携えた脚、今にも飛び立てそうな翼。

 蜥蜴のような顔つきに無数の鱗を象った流線形の体。


「これって……」


 虫と寄生体、その他諸々の肉の集合体と対峙したダリアの姿は、ヘイルヘイムで落ちたダンジョンで遭遇した。


 あのドラゴンにそっくりだった。

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■ 本小説の世界の中で、別の時代の冒険を短編小説にしました。
最果ての辺獄

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