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スナイプ・ハント  作者: 柚希 ハル
決別編
52/74

52 真相は

 

 拝島の消息が知れたのは、それから二週間経ってからだった。


「近くの河川敷の藪で死体が見つかったらしいよ。流れてきたみたいで、川上の橋から飛び降りたんじゃないかって……逃げるのを諦めたのかな」


 そう教えてくれた由奈は、右腕にギプスをはめていた。

「……ごめん」

「いや、気にすんな。それより怪我は?」

「見ての通り……当分任務にはつけないかな」


 あの時、由奈を一人にしなければ。

 団長から呼び出しがなければ。

 ……言い出したらキリが無い。

 拝島(あいつ)が――いやあいつ等が、一枚上手だったのだ。


 そう思うしかない。


「ゴールはできなかったようだね?」

 表情が沈んでいるよ?と団長が突然、深矢の視界に現れた。口角を自分の手で上げ、変な顔をしている。


 笑えとでも言いたいのだろうか。


 開店準備中の深矢はテーブルを拭く手を止め、団長に笑い返してみた。

 苦笑いになった。

 感情を表に出したつもりはないが、どうしても表れてしまうのだろう。

 それほどの喪失感なのだ。


「一昨日発見された死体、顎の骨にヒビが入っていたのは感心できないなぁ」

「団長は何でも知っているんですね」


 ひょっとして、三年前の事件の真犯人も知っているのではないか――そんなことを思ったが、聞くのはやめた。

 どうせ教えてはくれないのだ。


 団長は深矢の様子を図るようにしてから、人差し指をピンと立てた。

「さて、唯一の手掛かりを失ったようだけれど、もうあの事件を追うのはやめるのかい?」


「……まさか」

 思わず鼻で笑い飛ばしていた。

「これくらいの絶望じゃ俺は折れませんよ」


 居場所も仲間も失った、三年前のあの絶望に比べれば。

 手掛かりを一つ失っただけのことだ。

 ……そう、思うことにした。


「そりゃあよかった!」

 パン、と団長が手を打った。

「君は”知るべき”人間だからね、うん。君の覚悟に嘘はないようで安心したよ」

「……その、知るべきってどういう」

「あぁそうだ!」

 わざとらしく胸を撫で下ろしていた団長は深矢の疑問を遮った。


「そういえば、”知るべきでない”子が訪ねてきたよ」

 首を傾げる深矢に、団長は含み笑いを見せた。


「君と話がしたいそうだよ……”お兄ちゃん”のことで」



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