ビニール傘と私(200字小説)
生まれて初めてビニール傘を買った。
消耗品という扱いを受けがちなもので敬遠していたが、透明な傘を通して見る雨の世界は存外美しかった。
丸い粒がとどまり、合わさり、流れる。その一連の流れに光が加わって、頭上の直径120センチあまりが白く輝く。
また使おう。会社の置き傘にしよう。私は午後から雨予報な日の朝、傘を持って家を出た。
しかし途中立ち寄ったコンビニの傘立てに忘れた。
帰る頃には傘立てごと姿を消していた。
私の身に起こった実話です。
物を壊さない代わりによくなくします。
悲しい。