手乗りネコ耳少女観察日記21 2015年4月15日
「へー。綺麗な桜じゃない。去年も来たんでしょ?」
以前、ナズナと歩いた川沿いの道を歩く。
「川も綺麗だし、人気も無いし、まさにうってつけの場所ね」
水の流れる音。風に揺れる桜の音。そしてスズナの声。
…………ナズナが静かだな。
見ると、ナズナは会話に興味を示すでもなく、周りの風景を静かに眺めていた。
「……好きなのよ。こういう風景。私とあんたも含めた情景」
…………そういえばナズナは植物、自然関連の行事の時は特に楽しそうだった。
「どうする? そろそろ引き返す?」
…………いや、せっかくだから河原に下りてみよう。ずいぶん上流まできたから誰かに見られることもないだろう。
「……今4月よ?」
確かにまだ寒いが、なにも川に入るわけじゃない。
「水面に映る桜と、川を流れる花びら」
…………そしてそこに移るナズナとスズナ。
「……あんたもでしょ」
ナズナもうなずいている。
「三人で来たんでしょ? 自分入れないでどうするのよ」
…………。
「なによ? ……わっ! ちょっと!? 押さないでよ!」
ナズナがスズナとじゃれあい始めた。
…………いや、ナズナが一方的に、だな。
「言ってないで助けてよ! ……きゃ!?」
結局、川に落ちかけたナズナとスズナ。そしてそれを助けようとした結果、三人仲良く落ちてしまった。
水深も浅く、流れも緩やかだったため、大事にはならなかったが、まだ初夏にもなっていない今日では、帰り途はかなり寒かった。
「くしゅんっ! ……はぁ~」
しょんぼりするナズナ。
「……いいのよ。たのしかったんだから」
…………今なら間違いなく職務質問だろうな。
「……それはまずいわね。早いとこ帰ってお風呂入りたいわ」
今月中にリアルタイム、いけるかな?




