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夏と嵐と誕生日
台風のお話ではない気がしますが台風のお話です。(横読み推奨)
誕生日前日、俺は窓の外を鬱屈しながら眺めていた。台風直撃、雨も風も大盤振る舞いである。正直、そんないつもと違う外の光景が楽しくもあった。しかし外の荒れ模様を見ているとやっぱりツイていない気もしてきて。そんな中、部屋にあった携帯電話の鳴る音が聞こえた。画面を開くと見慣れた後輩女子の名前。俺にとって、日常と非日常の象徴。バカでアホでトラブルメーカーで、俺の日常をしっちゃかめっちゃかにする人間。なのに気付けばそれが俺にとっての日常になっていて。しかも驚くことに、いつの間にか俺の中でこいつは「ただの後輩」以上の存在になっていて。
メールの内容を見ると、いつも通りの普通な内容。ただの世間話。俺はソファーに寝っ転がりながらすぐ返信することにした。