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四月一日の道化 オマケ (3)
志藤はというと、あの日何があったのかを私たちに訊ねることは決してしなかった。結果だけを受け止め、ぎこちなくなった私たちの仲を取り持つように尽力し、更には周囲を巻き込んでまたしてもお祭り騒ぎを始めたのである。おかげで私は水下とさやか、二人の大切な友人を失わずに済み、卒業まで以前と変わらぬ日々を送ることが出来た。そして今も、水下とさやかとは連絡を取り合っている。
志藤とも相変わらず仲良くやっている。しかしながらもう長い付き合いになるにも関わらず、私も彼も中々あの日の話題に触れようとはしなかったため、私は彼に礼を言うことさえできずにいた。
久しぶりに都合を合わせて再会した今日、思い切って礼を言ってみたのがつい先程のことであり、志藤はあの日に何があったのかをようやく訊ねてきたのだった。