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花火 オマケ(13)
ややあってゴミ捨てから戻ってきた榊原君が辺りを見回しながら言う。
「あれ、周防は?」
「一足先に帰ったよ」
それを聞くと、軍手を外して「じゃあ俺たちも帰るか」と早々に帰る準備を始める榊原君。その背中に私は
「いや、私は残ってやっていくから」
断固たる意志をぶつけた。
驚き振り返る榊原君に、抗弁する暇も与えずに告げる。
「暗くなるまでやれば終わるかもしれないし、終わらなくても、明日一人でできるくらいまで減らせれば十分だから」
「暗くなるまでって……。でも泉、花火大会には行かないのか?」
かなり面食らった様子の榊原君。信じられないといった面持ちで問いかけてくる。
「うん。私は元々花火を見に行くつもりはなかったし」
「なら俺も残って……」
「榊原君は」
反論を続けようとする榊原君を遮って「妹さんと約束してるんでしょ」と指摘すると、榊原君は返す言葉に詰まってしまった。どうやら図星だったようだ。
次回更新は1月5日17時です