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花火 オマケ(9)
そのとき、私の携帯電話が着信を知らせる。
合点がいったらしい榊原君を余所に、私は携帯電話をポケットから取り出して応じた。
「もしもし。……わかった。大丈夫。……それじゃ」
またしても「誰だ」という顔を榊原君がするので
「近衛さん。来れなくなったって」
と、説明をする。
「じゃあやっぱり二人か」
「いや、ピンチヒッターを頼んだって」
項垂れる榊原君へ向けて告げると、今度は口頭で
「ピンチヒッター?一体誰だ?」
と尋ねてきた。その答えを、私は言葉を使わずに目で示して見せる。私の視線の先を追って振り向いた榊原君は、その答えを口にした。
「ピンチヒッターって、お前か。周防」
近衛桜の幼馴染にして本日のピンチヒッター。周防誠がそこにいた。
次回更新は1月1日17時です