117/130
花火 オマケ(8)
「まあ、やることはわかった。しかしな、泉」
未だ納得のいっていない様子の榊原君。私が「何?」と短く尋ねると
「…………どうして俺たち二人しかいないんだ」
と、耐えかねたように不満を漏らした。
「それはもちろん、自由参加だからね」
「自由がもたらした悲劇だな」
私とて、全校生徒二千人のうちまさか二人だけとは思ってもみなかった。……参加率〇・一パーセントとは恐れ入る。
「何にせよ、一人で清掃活動することにならなくてよかったな、泉?」
いつぞやの予想が的中したことに大層ご満悦な様子の榊原君。まるで他人事であるかのようにからかいの笑みを浮かべていた。
……幸せそうで何よりだ。
「一応、もう一人来ることになってるけど」
苦し紛れに私がそう言うと「誰だ」という顔をするので
「近衛さん」
と答える。
近衛桜は私たちと同じ学年の学級委員である。といっても彼女は個人的な事情があって委員会に出席できないことが多い。元が真面目な性格なのか、それとも普段出席できていない罪悪感からか、彼女は今日の清掃に参加することになっていた。
次回更新は12月31日17時です