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NoName(11)
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ラジオが終わり、辺りがまた静かになる。寂しがり屋な後輩も、気持ちの整理がついたようだ。
「邪魔、しちゃったかなぁ」
卒業なんてまだまだ実感なくて、ねこくんとまだまだ騒ぎたくて乱入しちゃったけど、彼としてはお別れラジオだったようだ。私達卒業メンバーよりも現メンバーの方が私たちの引退を強く感じていて、優柔不断で弱気なねこくんは自分なりのやり方で決意を示してくれた。でも、これは決してお別れなんかじゃなくて、パーソナリティからリスナーになるけれど、今ではWeb上でだってラジオが配信出来る世の中なのだ。
今まで通りずっと繋がっていられる。そう考えると、やっぱりラジオって素晴らしい。
大きく背伸びをし、大学が用意してくれた寝部屋へと移動する。最後にもう一度だけスタジオの方へ振り向き呟いた。
「またね」
そう。また次のラジオの配信日までは、さようなら。
オマケに続くかもしれません