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サバ缶食ってりゃ死なねぇだろ!……たぶん。  作者: さかき原 枝都は


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第54話 第三章 祝福されたい心と憧れのかたち

サバ缶の小さな音が響く中、ソファに寄り添う二人。

 肩を重ね、手をつなぐ。ほんの数センチの距離で、唇が触れるか触れないかの状態。

 そのわずかな距離が、和音の胸の奥で、想像以上に熱を生んでいた。


(……なんでこんなにドキドキするんだろう……)

 和音は心の中で自分に問いかける。

 目の前の智春は、いつものように鈍感で、無邪気にサバ缶の開封に集中している。

 だが、和音の心はもう静かではいられない。


 あの日、ソファで肩を寄せた瞬間から、和音の中で何かがはじけた。

 智春に対する想いは、以前にも増して強くなっている。

 手をつなぎ、肩を寄せ、ほんのわずかな距離にいるだけで、胸の奥が熱くなる。


(……私、もう我慢しなくてもいいんじゃないかな……)

 心の中で、軽くノリ気になった瞬間、和音は思わず笑みを浮かべる。

 「しちゃえばいいじゃん……」

 その言葉が、心の奥底から自然に湧き出てくる。


 小さな勇気が、もう一度和音を押し出す。

 智春に近づき、キスという行動を試みる……そんな想像が、心の中で鮮明に浮かぶ。


 しかし、和音はすぐに現実に引き戻される。

 智春は相変わらず無邪気に缶を開け、何も気づかない。

 その鈍感さが、和音の胸の奥で「押すか引くか」の葛藤を生む。


(……いや、でも……まだ早い? いやでも……今なら……)

 頭の中でシミュレーションを繰り返す。

 ソファの角度、手の位置、サバ缶の存在……すべてが微妙に絡み合い、心をさらに揺さぶる。


 和音は一瞬、思わず吹き出しそうになる。

 「私、完全に中学生かも……でも、これが恋ってやつ……?」


 肩を寄せるたびに、手を握るたびに、和音の中で「キスへのこだわり」が膨らんでいく。

 ただ触れるだけでは満足できない。

 もっと濃密に、もっと甘く、智春との距離を縮めたいという欲望が、自然と心の中心に集まる。


 そして、心の中で小さな決意が生まれる。


(……次は……私から……動こう……!)

 勇気を小さくまとめ、和音は智春の手を軽く握り直す。

 その手の温もりが、次の一歩への背中を押す。


 智春は無意識に、手を握り返し、肩を寄せてくる。

 和音の胸の奥は、この鈍感さに焦れながらも、どこか安心感を覚える。


(……この子、ほんとに気づかないんだから……でも、その鈍感さが可愛い……)

 心の中で呟きつつ、和音はさらに肩を寄せる。

 智春はその行動に気づかず、サバ缶を開けながら「なんか手が温かいな」とだけ思う。


 その無自覚さが、和音の小さな勇気をさらに押し出す。

 「今度こそ……絶対……」


 二人の間に、静かだが濃密な空気が流れる。

 手をつなぎ、肩を寄せるだけの何気ない行為なのに、心の奥では心理戦が繰り広げられる。


 和音の中で、軽くノリ気の心が囁く。

 「しちゃえばいいじゃん……今なら……できる……」


 だが同時に、智春の鈍感さに阻まれ、少し焦れる。

 「……でも、タイミングは……逃したくない……!」


 小さな葛藤と熱が交錯する中、和音の胸の奥の勇気はさらに大きく膨らむ。

 今度こそ、行動に移す決意が固まる。


 サバ缶の缶切りがカチッと音を立てる。

 その音が、二人の緊張感を一瞬和らげる。

 智春は笑いながら「お、タイミング悪かったか?」と無邪気に言う。

 和音は思わず笑い、でも心の中で「次は絶対!」と小さく決意する。


 その夜、二人の距離はさらに縮まった。

 手をつなぎ、肩を寄せるだけでなく、心の中で「キスへのこだわり」が芽生え、次の一歩に向けて着実に準備が整ったのである。


 和音の胸の奥では、静かだが確実に「次の一歩」が育っている。

 智春の鈍感さに助けられつつも、彼女の心は行動を待ち望む。

 サバ缶のドタバタ、肩の接触、手の温もり――すべてが次の勇気を後押しする材料となった。


 そして、心の中で小さく囁く。


(……次は……しちゃえばいいんだ……!)


 和音の心は、軽いノリの自分と真剣な想いを同時に抱えながら、次の瞬間に向けて静かに準備を整えていた。

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