表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/39

第31話:紅雷の神

第31話:紅雷の神


街中で巻き起こった騒動により、住民たちは不安に駆られながらも、好奇心から集まって見物する者も多かった。通りの上では多くの人々が状況を見上げていた。その一方で、配備された兵士たちは急いで集結し、人混みをかき分けて隊列を組んでいた。その中の一人、おそらく指揮官と思われる者が刀を抜き、屋根の上に立つ少年に向かって鋭く叫んだ。


「今すぐ降りろ!」


しかしネロは一瞥すらせず、下からの叫び声をまったく気に留めなかった。彼の視線は、対岸の建物の窓辺に立つ男に向けられ、今後どう対処すべきかを冷静に見定めていた。


彼は自分にもっと強力な魔法が使えることを知っていたが、それを使えば巻き添えになる無実の人々が出るだろう。大都市のこの混雑では、犠牲者の数は計り知れない。とはいえ、ネロは単なる殺戮を楽しむサディストではなかった。


当初の計画では目立たずに行動するはずだったが、今では街のほとんどの注目を集めてしまっている。これを「計画の失敗」と呼べるのだろうか。


「俺の魅力は凄いな…男までも惹きつけるとは」


ネロは自己陶酔気味に呟いた。


その瞬間、レンの姿が再び群衆の頭上を飛び越え、同じ屋根の上に舞い戻ってきた。4階の部屋からここまでの距離は50メートル以上。普通の人間なら跳べない高さだ。肉体強化の魔法を使い、さらに超人的な速度を持つ彼だからこそ可能な跳躍だった。


間近で見ると、レンの全身にあった深い傷が数秒で癒えていく。今まで見たことのない回復魔法だった。さらに不思議なのは、レンが一言も呪文を唱えておらず、彼自身からは魔力の気配も全く感じられなかったことだ。


いったいこの男は何者なのか。


レン・ベルモンドへの疑念がネロの心に深く根付き始めていた。特に先ほどの戦いを目の当たりにして、まもなく第2ラウンドが始まろうとしているのを感じていた。


「俺もお前を侮っていたようだな、ネロ」


レンは低く言った。


「簡単に勝てると思っていたが、俺の動きを読んでいたお前は…ただ者じゃない。だが俺は勝つ。そしてお前の仮面を剥ぎ取り、悪魔がまだこの世界に存在していることをこの街の人々に見せてやる」


レンの手にした剣の先は少年へ向けられ、両手は力強く握られていた。


「ふん〜勝つと言い切るとは生意気じゃないか? さっきはまだ本気じゃなかったし、あれはお前が油断したせいだろ? それに、証拠もなく他人を悪魔呼ばわりするなんて…お前はただの妄想狂だ——」


「俺の実力がそれだけだと思うか」


レンは低い声で遮り、続けた。


「俺を本気にさせる者はそう多くない。お前はその一人だ。だから…12パーセントだけ力を使う」


彼は目を閉じて集中し、「勇者システム」と繋がった。


するとすぐに目の前に四角いウィンドウが現れた。


【スキル発動:紅雷の神】


設定値:12%


あなたは“紅雷の神”バフを獲得した


【バフ効果:全ステータス120%上昇+主要スキル3つを解放】


やがてレンの身体は鮮やかな紅のオーラに包まれていく。遠くでそれを見ているネロにも、あふれ出る強大な力がはっきりと感じられた。そして空を見上げた瞬間、ネロは驚きで立ちすくんだ。


謎の雲が一瞬で街を覆い尽くし、まるで嵐が近づいているかのように薄暗い雰囲気に変わった。どこからともなく強風が吹き荒れ、市場の品物が舞い散り、時には幼い子どもまでもが風にあおられて飛ばされそうになる。大人がしっかりと抱きとめなければ大惨事になってしまうところだった。多くの市民は慌てて家に戻ったが、それでも屋根の上の出来事から目を離せない者たちも少なくなかった。


【ステータス更新】


通知音が鳴り響き、レンのステータス画面が視界に現れた。


【レン・デムゴン】【バフ:紅雷の神】


レベル:58

HP:400,000/400,000 → 880,000/880,000

MP:18,000/18,000 → 39,600/39,600

攻撃力:5,800 → 12,760

魔法攻撃力:1,200 → 2,640

速度:6,600 → 14,520

クリティカル率:50% → 100%(最大)

クリティカルダメージ:120% → 240%

その他ステータス:さらに120%上昇


【スキル起動:紅雷の神剣 レベル5】

【スキル起動:ハイパーソニック レベル3】

【スキル起動:魔法耐性 レベル3】


レンの力はあらゆる面で飛躍的に向上し、隠されていたスキルも解放された。手にしたクレイモアは赤と銀が混ざった色合いに変化し、細身で優美な形状となり、柄は金色に輝いていた。


「さあ、続けて勝負しよう、ネロ。お前の本当の力を見せてくれ」

レンは真剣な眼差しで目を開いた。


「信じられん…これほどの力を解き放つとは」

ネロは悪魔のような目で、混乱した周囲の中、ピンクの髪の男から溢れ出る圧倒的なオーラを凝視した。稲妻が断続的に建物を叩きつける様は、まるで大作映画のワンシーンのようだ――幸いなことに、これまでのところ負傷者は出ていなかった。


「ふむ…見せ場たっぷりの登場だ。感心したよ。ちょっと付き合ってやろうか。俺もちょうど手持ち無沙汰だったんだ」


少年は軽くストレッチをし、レンがまだ構える間もなく、ネロはその隙をついて全身の青あざを治し、肌を元通りにした。


「よし、準備ができたらかかってこい—」


しかし突然、レンは高速で蹴り出し、数十マッハの衝撃波ショックウェーブを屋根瓦に叩きつけて粉々に破壊しながら、0.0001秒でネロに接近した。


その後、空気の刃を振るい、何もかもを切り裂いた。消えたのはネロの体だけ。切り離された瓦片は地面に落ちたが、兵士たちが住民を前もって避難させていたため、混乱は免れた。


BランクとAランクの冒険者たちが遠くから息を呑んで見守っている。


レンの動きの速さは、鋭い視線がなければ追えず、Aランクの冒険者ですら見ることはできない。


「奴ら本当にCランクなのか?」

「どっちが勝つんだろうな?」

「見る限りピンク髪の方が有利だな」

「黒髪の子はまだ一度も仕掛けてないよ、逃げ回ってるだけだ」


モンスター狩りの試合を生で観戦しているかのように、観衆の分析や興奮の声が高まっていく。もしギルドで賭け事が許されていたら、多くの金が賭けられていただろう。


「でもあの子はどこに行ったんだ?」

「本当にバラバラに斬られたんじゃないのか?」

「あそこ、上を見て…」


子どもの姿を探していた全員が空を指差す声に気づき、地上百メートル以上の空中を見上げた。


「嘘だろ…あの子、浮いてる!」


ある冒険者が望遠鏡の魔法を使い、その少年が街の上空に浮いているのをはっきりと確認した。


攻撃を外したレンも顔を上げてネロを見つめた。どうやら彼はすでに理解していたようだ。速度を倍増させても、あの子は動きを完璧に読み、すべての攻撃をかわしていると。


「あれ、どうした?さっきは本気を出すって言ってなかったか?」

「残念だな、ただスピードと肉体強化を上げただけじゃ足りないぞ?」

「剣だけで戦おうとする限り、俺とまともに渡り合うのは無理だ。差がつきすぎてて、お前の接近武器は無意味だ」


ネロは得意げにレンの反論できない顔を見つめ、SF映画のように「終わった、俺が上位だ」と言いたげだった。


【スキル起動:飛翔 レベル3】


ネロが思考にふけっていると、システムの通知音が鳴り響いた。レンが下から猛スピードで飛び上がり、容赦なく剣を振りかぶってネロに襲いかかる。


ネロは身を傾けて素早く5、6回かわした後、左手に溜めていた風の魔法を放ちレンを遠くへ吹き飛ばした。そして右手を広げると、大きな火の玉を放った。


膨大な魔力を込めた火の玉がレンに襲いかかる。レンは空中で体をひねり、剣を構えて防ごうとしたが間に合わず、火の玉が直撃して爆発。轟音が街に響き渡った。


勝負の行方はほぼ決まったかに思えた…


「悪いな、殺すつもりはなかったんだが、お前が勝手に突っ込んでくるから仕方ない」

「街中で人を殺すのは違法かな?まあ俺たちまだ子供だから、大人ほど重い罰は受けないだろう」

「それとも逃げるか?」


ネロはこれから起こる問題を思い巡らせていたが、ふと衝突地点から立ち上る煙と炎の塊に気づいた。


やがて煙が晴れると、レンは無傷の状態で現れた。剣は残った魔力を吸収している。


「その剣…一体何だ?」


ネロはその剣が大量の魔力を吸収する能力を持つことに少し驚いた。


「これは紅雷の神剣だ。大量の魔力を一度に吸収できるんだ」


レンは剣の先を高く掲げながら説明する。


「しかも、吸収した魔力を倍にして返せるんだぜ!!」


彼は力強く叫び、剣を振るって前回の倍の大きさの火の玉を放った…



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ