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北極星

作者: 枯れ葉

私は成長するにつれ、変化するものを考え、北極星を思い出す。

「北極星」


 ふと夜空を見上げると、私はいつも北極星を探してしまう。いつも寸分狂わず真北で輝いている星。だからって、それを探そうとしても、最近はどこも夜中なんてこと忘れたくらい明るいから、星なんかを見つけ出すことはできない。それは確かに北にあるのに。

 昔の話をしよう。私が小学生だった頃の話。

 私には、Aという友人がいた。Aはいつも何を考えているのかわからない顔をしていて、頭もよかった。

 私はよくAと話していた。

 授業が終わった後、放課後、給食中なんかも話していた。話す内容はいつも違うけど、いつも大事な話みたいなことは話さなかった。いつも、他愛もない話だった。

 あるとき、そうそれは、二分の一成人式のときだったかな。小学校四年生の十歳のときにやる、二分の一成人式の時だ。

 私(私だけでなくほかの子も同じなのだが)は、将来の夢やこれからのことなどを発表しなくてはいけなくなった。

 けれど、十歳やそこらの子供がこれからのことなんかわかりっこないわけで、大変苦労したのを覚えている。子供の時の私は、こういう時には、先生や周りの子の意見を聞いてどうしようか考えるようにしていた。

 ある子は、スポーツ選手になるために練習を続けてく、だったり、パティシエになりたいから料理学校に行きたい、だったり、でも結局一番多い内容は、私のクラスでは、大学を出てから公務員になって安定した生活をしたいといったようなものだった。

 そんなことを聞きながら、じゃあ私もそうしようかと思い、Aにも話してみた。するとAは突然、

「北極星って知ってるかい」

 そう私に聞いてきた。

「うん。最近、習ったよね。いつも同じ場所にあって、夜になると僕たちを同じ場所から照らしているよね」

 私は、最近習ったこともあって、完璧に答えられた自信があった。

「半分正解だけど、半分違うね」

 けれど、Aは少し下を向きながらそう言った。

「どこが違うのさ」

 私は、怪訝な顔をしながらで言った。

「違うんだよ」

 でもAはそう答えるだけで正解は教えてくれなかった。

 私は、何度も何度も聞いたけれど、Aが答えることはなかった。

 そんなことを続けているとチャイムが鳴り、とうとう私は発表を完成させなくてはいけなくなった。

 私は、Aのことまだ少し考えながら、とりあえず発表を完成させることにした。

 完成した内容は、先生やほかの子に導かれるまま、公務員とした。

 そして、次の日、ついに発表の日がやってきた。

 私は、発表前にしっかり水分を取り、こぶしを握り締めながら発表した。

 無事発表が終わり、私は真っ先にAの発表を見に行った。

 Aは発表のはじめに、北極星の話をしていた。

「北極星というのは、いつも北の空で私たちを照らしています。もし、私たちが遭難してしまい帰り道がわからなくなったとしても、夜になったら北極星がみえ、それがいつも真北にあるおかげで私たちが帰る方向を教えてくれるのです。しかし、北極星はいつまでも一生真北にはありません。なぜなら、長い年月が流れると地軸がさらにずれていき、いずれは北極星は真北ではなくなってしまいます」

 私はこれを聞いて、以前Aが言っていた半分正解で半分不正解の意味を理解した。

 Aは結局、天文学者になりたいと発表していた。

 そこから、長い年月が経ち、私は成長し、現在サラリーマンから独立をして、個人事業主として働いている。Aとは、中学校が別の所になったので、そこから会っていない。

 個人事業主として働いている現在、多くの決断をしている。

 私は、帰りが遅くなることもしばしばあるので、会社を出れば夜のことも多い。そのたび、私は夜空を見ている。


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