EPISODE 1
突如として現れた巨大な生命体、未確認。
そんな未確認に対抗するために人類側もスキルホルダーと呼ばれる戦闘兵器を生み出した。
それは普通の人間が超能力などと呼ばれる未知なる力で何故か女性でしかも少女にしか適合されなかった。
目覚めるスキルは様々であり戦闘系のスキルもあるがそれでも未確認との戦いは厳しいものだった。
しかしある日一人の適合した少女のスキルが他の者達と違うスキルである事が判明されて彼女が戦闘に出てから未確認との戦いで勝利する事が多くなった。
人類は喜んだが彼女のスキルは彼女自身も傷つけるのだった。
「・・・・・・」
白衣を着ている少女は難しい顔をして診断書を見ている。
「どうかしましたか?」
「どうかしましたかじゃないわよ、八波ちゃんあなたまた無茶したでしょ」
白衣を着ている少女、玲子は八波の診断結果を見て言う。
その顔はどこか八波に対して怒っているようにも見える。
「何度も言ってるでしょ、無茶はダメだと」
「ですが、私が出ないと未確認との戦いは厳しいものになりますし」
「だからって全部の戦いに出る必要ないでしょ、確かにあなたは戦闘系のレアスキルを持っているけどあなたのスキルは自我を失い味方や自分自身さえも傷つけてしまうのよ、あなたのスキル『バーサーカー』は」
「確かにこのスキルのせいで私一人だけで出ないといけませんから」
「全くうちの支部長は何を考えているのよ、こんなに身体が直るまで休まずに毎回出てたら身体が壊れてしまうわ」
「そんな事言わずに支部長がいるから私達はこうして居場所があるのですから」
「そう言ってもねぇ」
八波の言葉に玲子は不満を隠せない様子。
診察も終わったので八波はそのまま自分の部屋に戻る事にする。
「あ、八波お帰りー」
部屋に戻ると同室の少女が八波に手を振る。
「ただいま、香弥さん」
「もうー、私の事は呼び捨てで良いって言ってるじゃない」
香弥は不満げに言う。
「あ、ごめんなさい、香弥」
「よろしい」
香弥は満足げに頷き八波と談笑する。
「それで八波、診察はどうだったの?」
「無茶しすぎだと言われました」
「そりゃそうだよ、だって毎回ケガした八波を見ていると本当に大丈夫なのかって心配になるんだから」
「痛々しい姿を見せてしまってごめんなさい」
「はあ、私が戦闘系のスキルだったら良かったのに、何で事務系のスキルなのよ」
「戦いが一番死にやすい場所ですよ」
「でも、八波が毎回一人で行くなんておかしいもん、私が一緒に戦えば少しでも八波の負担が減らせるのに」
「その気持ちだけで十分ですよ」
話をしている途中で部屋のドアが開き一人の少女が入って来る。
「八波さん、支部長が呼んでるよ」
「わかりました」
「八波」
「心配しなくても大丈夫ですよ、行って来ますね」
八波は香弥に心配掛けないように笑顔を見せて部屋を出てくが香弥の表情は晴れなかった。
支部長に言われ未確認との戦いを終えた八波は傷つきながらも基地に帰還し玲子のいる医療室に行こうとする。
「私に意見するな!!」
「え?」
ドアを開けると支部長に叩かれて地面に転がる玲子の姿があった。
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