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【最終話】第6話 超敏感少女。

「大丈夫か、フィオ」


「ら、らいじょうぶじゃないれすぅ。ボク、超敏感なんですぅ」


 ふにゃふにゃと脱力するフィオ。ジョーカーの腕に腰を支えられ、赤面している。その顔はとろけきっていた。


「仕方ないな。抱っこして運ぶぞ」


「ふにゃあああッ♡ ワキとお尻、らめぇッ♡」


 ビクンビクンとのけぞるフィオ。ジョーカーはやれやれと首を振る。


「これじゃあ触れる事も出来ないな。一旦男に戻った方がいい。女になった時と同じ手順で【聖転換(ホーリー・コンバージョン)】を使えば、戻れる筈だ」


「ふぁい、そうしま......」


 フィオがそう言いかけた時、遠くから戦いを見守っていた冒険者や関係者が一斉に押し寄せた。


「あ、あの、鉄拳の聖女フィオナ様ですよね! 俺、大ファンなんです! 握手してください!」


「いやぁ、まさかフィオがフィオナ様だったなんてな! 驚いたぜ! ハグさせてくれ!」


「フィオナ様っておっぱいすごくおっきいですね! 私もあやかりたいので、触ってみてもいいですか!?」


「フィオ! さっきの戦いは凄かった! それに本当は女だったなんて驚いたぜ! 俺はお前に惚れた! 結婚してくれ!」


 大勢に揉みくちゃにされるフィオ。


「ふにゃあああッ♡ しょんなッ、許してぇッ♡ も、らめ、そんなとこ触っちゃ、んにぃッ♡ あたま、真っ白に、なっちゃ、ふああああッ♡」


 ビクーンッと一際大きく痙攣し、フィオは意識を失った。


 ◆◆◆◆◆


 少しして目覚めたフィオは、見知らぬ天井を見上げる事になる。ベッドはとてもふかふかで、フィオは一生ここで眠っていたい、とさえ思った。


「起きたようだね、フィオ。ここは私のアジトの一室だ。今日からは、君の部屋だよ」


 そばにはジョーカーが立っていた。仮面をかぶっているので表情は読み取れないが、その声はとても優しく、思いやりに満ちた声だった。


「ボク、気絶しちゃったんですね。すいません、ご迷惑をかけてしまって」


 フィオはそう言いながら、ゆっくりと身を起こした。胸がずっしりと重い。見下ろすと、そこには大きな二つの山。どうやらフィオは、まだ女のようだ。


「気にしなくていい。それに観衆を抑えきれなかったのは私の落ち度だ。すまなかったな。その姿でいると、また気絶してしまうかも知れない。早く元に戻った方がいい」


「そうですね。そうします。【聖転換(ホーリー・コンバージョン)】」


 フィオは女になった時と同じ手順で自分の個性(パーソナル・スキル)に意識を向け、それらを逆転換させた。すると肉体は徐々に変化していき、やがて男へと戻る事が出来た。


「あの、ジョーカー様。ラスティはどうなったのですか?」


 フィオは異形の姿となった、ラスティを思い浮かべる。


「ああ、彼女は冒険者を取り締まる【裁定者】フェイト様によって捉えられた。悪魔薬(デモンズ・ドラッグ)の効果も、フェイト様なら中和させる事が出来るだろう。心配いらないよ」


「そうですか、良かった」


 フィオは胸を撫で下ろし、微笑んだ。


「ああ。全ては君のお陰だよ。ありがとう。今日の所はゆっくり休んでくれ。明日から、私の右腕としての仕事が山ほどある。覚悟しておいてくれよ」


「はい! 頑張ります!」


 ジョーカーとフィオは固い握手を交わした。これからフィオは、幾多の危険や困難と対峙する事になるだろう。だがその度に、鉄壁の防御は彼の身を完璧に守る。そして攻撃が必要な時フィオナに変身し、圧倒的な攻撃力で敵を殲滅していく事だろう。


「それじゃあな、フィオ。ふかふかのベッドで良く眠ると言い。また、明日」


「はい、ジョーカー様。また明日」


 フィオは笑顔で手を振った。そしてジョーカーが去った後、布団の中へ潜った。そしてジョーカーと共に戦う日々を妄想しながら、再び眠りに落ちていった。


お読みいただき、ありがとうございました!

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