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まつろわぬ神々の詩(うた)  作者: ロッドユール
12/23

魔女カリカチュア

「あのお方が、大魔法使い魔女のカリカチュア様だ」

 家のある開けた場所からさらに森を歩き、巨大な樹の生えた根元までやって来ると、カーリー・スーがその樹の根元を指差し言った。その巨樹の根元は大きなほら穴になっていて、そこがうまいこと家として作り変えられていた。その家の前に、カーリー・スーと同じように大きな三つ編みを二つぶら下げた派手な化粧の若い女の人が、何やらテーブルの上に様々な道具やら何やらを並べて、その隣りの大鍋をぐつぐつ煮立て、何かを作っていた。服装もド派手で原色のシャツやスカートなどが何枚も重ねられ、更にその上からこれでもかとネックレスや指輪などの装飾品が覆っていた。魔女というと何かおどろおどろしいおばあさんといったイメージだった葵だが、実際に見てその姿に拍子抜けした。

「お前を向かえに行ったのは、カリカチュア様のご指示だったんだぞ」

「えっ」

 葵は改めてその度派手な魔女を見た。

「どうして私が来たことが分かったの?」

「カリカチュア様は何でもお見通しなんだ」

 カーリー・スーが得意げに言う。

 しかし、大魔法使いという割にはなんだか、とても若く見える。

「なんだかとても若い人に見えるけど・・」

「お師匠様は、あれでもう三百歳をとうに超していらっしゃるんだ」

「えっ!」

 葵は驚いた。どう見ても二十代の若い女の人にしか見えない」

「そこがお師匠様のすごいところなのさ」

 カーリー・スーは、自分のことのようにまた得意げに言った。心底尊敬しているのだろう。

「お師匠様連れてまいりました」

 カーリー・スーが、カリカチュアの前まで来ると葵をカリカチュアの前に立たせる。カリカチュアは、葵をその大きな目で覗き込むように見つめた。葵はその目の力に怯えた。それは何か自分の全てを見透かされているような不思議な感じだった。

「あ、あの・・」

「そんなに怯えなくてもいいよ。とって食やしないんだから」

 カリカチュアは笑いながら言った。

「は、はい」

 葵のイメージしていた魔女とは違い、目の前の魔女は、なんだかやさしい感じがした。葵は少し混乱した。

「お前はしばらくここにいればいい」

「えっ?」

「この森は私が呪いをかけてある。そんじょそこらの人間は入ってこれないさ」

「は、はい・・」

 葵は戸惑いながら答える。

「安心おし」

 最後にそう言って、カリカチュアは、葵の抱えているアイコを見た。

「この子も守らなきゃいけないんだろう?」

 そして、葵を再び見つめる。

「は、はい」

 私を守ってくれるの?葵は訳が分からなかった。魔女は子どもたちをさらって、食べてしまったり、魔法をかけて別の生き物に変えて、奴隷にしてしまうと聞いていた。

「あの、私を食べないんですか」

 バカな質問だとは思ったが、葵は思わず率直に訊いてしまった。

「ん?」

 しばらく、カリカチュアとカーリー・スーは、鳩が豆鉄砲でも食らったような目をして、葵を見つめた。

「あっ、はっ、はっ、はははっ」

 そして、カリカチュアとカーリー・スーは二人同時に大きな口を開けて笑い出した。

「あの・・、あの・・」

 葵は、急に恥ずかしくなって、顔を赤らめた。

「ははははっ」

 二人はさらに笑う。

「ああ、おかしい、お前はおもしろい子だね。気に入ったよ」

 しばらく思いっきり笑った後、カリカチュアはあらためて葵を見つめた。

「あの・・」

 葵は恥ずかしそうに小さくなる。

「まあ、いいさ。そのうち分る」

 カリカチュアは言った。その時、急にカリカチュアが真顔になって空を見上げた。

「外がまた大分騒がしくなっているね」

 そして、カリカチュアは言った。

「またバカな事を始めたね人間どもは。だからあたしゃ人間が嫌いなんだよ」

 苦々し気にカリカチュアは一人呟く。

「あの・・、お城が・・」

 その時、葵は、カティアーティーや城の人たちのことを思い出し、心配になった。

「お城はどうなったのでしょう。アルカディアはどうなってしまうのでしょう」

 葵はカリカチュアにすがるように訊いた。葵の胸は急に不安でいっぱいになった。

「・・・」

 しかし、それには、カリカチュアは何も答えなかった。

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