プロローグ:夢
第七回書き出し祭り提出作品、「幼馴染が二人いるせいで、俺の青春は詰んでいる」の連載版となります。
オチまで考えてありますが、あらすじ通り、百合に男が首を突っ込むという危険な内容であることはご留意ください。
まあ、百合の仲を引き裂くなんて無理ですけどね! 女の子たちヤンデレなので。
"男女の友情は成立するか?"
これは永遠に語りつがれる議題らしい。
そもそも、何を基準にして、友情と愛情をわけるべきか。問題はそこからだと思うけど。
じゃあ、逆説的な命題はどうだろう。
"同性の友情は成立するか?"
絶対の自信をもって、Yesといえるだろうか?
今、俺の目の前に、幼馴染の二人がいる。
ひとりは黒い短髪がよく似合う、快活で強気な女の子。
もうひとりは褐色肌で、長いブロンドの髪をなびかせるバイリンガル少女。
夕焼けが木や地面を橙色に溶かす中、二人は見つめ合っている。その空間には、まぎれもなく"友情"という言葉はなかった。
何故か黒猫になっている俺は、ひょいと二本の長い影にはさまって、青と金の異彩の瞳で、女の子たちの顔を見上げてみる。
"男女の友情は成立するか?"
俺の答えはNOだ。
ああ、何故なら。
俺は二人の間に、入れない。
ホモ・サピエンスから離脱して猫にでもならないかぎり、俺の存在は許されないのだ。
「……あ、あのね……私、萌乃子のこと……」
褐色肌の少女が口をひらく。
その瞳は潤み、頬は桃色に染まっていた。
「……うん。あたしも、ずっとルシアのこと……」
黒髪の少女も涙腺が緩んでいる。長年の呪縛から解き放たれたように、優しく笑う。
「……にゃあ……」
相思相愛を伝えるキーワードは、寂しそうな猫の鳴き声で隠された。
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という夢を見たんだ。
……うん。結局、何だったんだろうな?
夢というものは訳がわからない。
何の根拠もなく、猫=俺だと思ったりさ。
ゲームみたいに自分を客観的にみることもあるから、人の脳というのは神秘でできている。
ついでにいうと、自分の瞳の色、見えてたよね? 何故オッドアイ? 幽体離脱? 俺の意識は、一体どこに??
びび、びび、と地味な目覚ましが鳴った。
アラームを止めて、音の主を引っ掴む。
六時四十分。変な目覚めだったが、身支度を整えて外に出るにはちょうどいい起床時刻だ。
外は夜明けたばかり。しゃしゃっとカーテンを開くと、薄い太陽の光が、俺の部屋にほわりと立ち込める。
「よし。本日もいい天気」
超簡略版ラジオ体操。天井に向かって腕を伸ばして、深呼吸。それからパジャマを脱ぎ捨てた。
俺こと、灯堀優真の平凡なる日常は、今日も始まる。




