第六話 いじめ
その日…僕はいつもと同じ日々を…過ごしていた。
が、少ししょんぼりしていたのだろう…視線がいつもよりも狭く、地面が近く見えていた…。
とその時…
「もう少し頑張れよ〜ツムギ〜」
と声がした。があたりはざわつき、それを聞いた人はいない。いやいるわけがない。それは、僕が生み出した空想の声なのだから…。
僕が望めば、その通りに返してくれる空想。
すべてを無にしてくれることから僕はそれにクーパーとつけ、いつも心の会話をしていた。
それに気づくものも、それにちょっかい掛けてくる人もいない…。
なぜならそこには本来、僕一人しかいないのだから…。
僕はそのクーパーと話すのが好きだ。自分の孤独感さえもなくしてくれる。
ただ…それでも減らない僕への暴行。ヤツらは何をしていても必ず何かをしてくる。
僕は、ただクーパーと話しているだけなのに…。
でもその中で東寺だけは違った。
東寺は僕と話し、笑い、楽しむことを教えてくれる。
それに東寺は僕に対して襲いかかる暴行を止めようとしてくれている。
これだけでも僕は満足だった…。ただそこに親友がいてくれるだけで…。
夏休み間近のこの季節。周囲は夏のことで頭がいっぱいのようだった。
そんな時、僕にまたヤツらの魔の手が来た。
主催者はいじめグループの仁王、釣瓶 義経。
彼は、自分の都合の悪い時に、何もしていないものにあたる卑劣なやつで、学校中では敵視されていた…はずだったが、すでに学校はそれどころか彼を慕う者まで現れていた。
どうしてか、それはまぎれもなく僕だ。
僕は、いじめ対象のトップクラスと東寺に聞いた。つまりは義経が僕への攻撃をすれば、学校が喜び楽しむらしい…。なんと憎たらしいことなのだろうと僕は思う…。
それで今の状況があるわけだ。
今日もそれが繰り広げられていた…。
まずはバケツ落とし。
方法は、教室に入ってくる僕に備えて、拾ったロープをドアの足元あたりに設置、そして、それに引っかかる僕に対し、ロープの重りがはずれてバケツが落ちてくるという設定だ。
単純すぎる。だが、これに引っかからないと次が怖い。だからわざと引っかかった…。
でもそれには予想以上の痛みが襲いかかった…。頭から流れでる赤い液体…。
これは…血…
「うっ…」
あまりの痛さに頭に手を乗せて倒れてしまった…。それから僕はどこかへひきずられ、ゴミ倉庫へ投げられた。
気がついたのはもう日が暮れようとしていた時…。
目の前には夕日が見えている…。ここはどこなのだろう…。たしか僕は倉庫へ運ばれたはずだがそれらしきコンテナは見当たらない…。あたりにはゴミが散らばっている…。
「…まさか…ここは」
ゴミ収集所…。あたりなのだろうか。それなら、回収するときに見つけられたはずだし、つぶされていたかもしれない、が現に今ここにいる。なぜ…そんな疑問はすぐ晴れた。
「今日は…金曜日…あ…トラック運行日…」
思い出した時には遅すぎた。
たしか、この日のトラック運行は…有無海行き…だったな…。本当に帰れるだろうか…。
そんな心細さが貫いてきた…。が今は…帰りもわからぬこの道を進むしか…ない。
僕はいっぽ。いっぽと歩きだした。




