第二十二話 ローズ病 再び
…。あれから、いじめが再び始まった。
というよりも、まだ続いている、といったほうがいいだろう。
「どういうことだ…。アレ以来、大洞の姿が見えなくなったが。」
アレ、というのは、プリムラ姉妹が来てからだ。
「まあ、そのうちひょい、ひょい出てくるだろう。」
「潤野はいつもそれだよな〜…。モテる男はいいよな」
と言って、自動販売機のペットボトルのジンジャエールを、日下部は買っていた。
「そういやさ、」
「うん〜?」
「日下部はどうするんだ、進学か、社会人か。」
と僕が言うと、呆れたように
「おいおい、お前がそんなこと言うなんて、雨よりも、雪が降りそうだぜ」
「なぁに、話題作りだよ。」
「ちぇっ、俺は、進学希望だな。お前は?」
「あー僕か、僕は…。」
1 進学する
2 社会人となる
3 特にやることはない
の3つだ。
ここはあえて、
「今は特にやることはないな…。」
と言っておこう。
「ほう…。まあどうでもいいんだが、大鷲中学校の裏校舎の話知ってるか?」
「なんだ、いきなり。」
こいつが、こんなことを語るということは、本当に明日雨でも振りそうな感じだ。
「それでな、何でも、裏校舎に祭られてる、アイアンメイデン(鉄の処女)が、普通に置かれているらしいんだ。」
「ふ〜ん。」
と、普通に流し流しに聞いていた。
すると、いきなり真剣になって
「なんでも、その当時の霊が祭られているから、その場所から出せないらしいんだ。」
「んで、僕にどうしろと?」
そう言うと、
「もちろん、様子見に行く。」
と、当たり前のように言いだした!
おかしいだろ!御前、脳震盪でも起きたか…?と思う。
「僕に、何の得もない。」
と 僕は、少し呆れ顔でそう言った。
「酷いな…まあ、お前みたいなモテるやつには、とくのない話だがな。」
「…モテねぇよ」
少し怒り気味の口調で返答をする。
その反応に、少し引いたのか、沈黙が続いた。
キーンコーンカーンコーン
授業の合図だ。ちなみに、僕と日下部は、3組だ。
選び方は、2年生の時のままだ。
その結果、2年間、同じメンツというのも、ある意味運のつきかと思う。
と、考えるよりもまず行動。
「いそげー!筒由が来るぞー!」
僕にあてで、ではなく、そう言う人物の友達にである。
僕は、自分の席へ着いた。
すると、その直後、そんなぐらいに、筒由先生が来た。
ちなみに、国語の先生だ。
今回の国語は、「小説」がベースらしい。
まったく、なんでこういうものを作るのだろうか。余計にテスト範囲が増えるではないか!
と、僕は心の中で騒いでいた。
そんなことを思っていると、隣の女子(東條 百花)が、話をかけていた!
「あ…あの、授業...」
「えっあっああ・・・。」
ぼっーとしていて、外を見ていて、それを注意してきたのだろう。
仕方ないので、黒板の方へ顔をずらした。
すると、周囲から
「あいつ…また調子のってきたな…。絞めてやるか…。」
ああ、これが僕だったな、何か普通とは違うことを違うだけで、これだからな…。
しばらく、なかったものだからな…。
そういうことをまた言っていると、今度は、筒由先生から…
「おい、潤野、たまには、授業に集中したらどうだ?」
「…」
僕は、いつも無言だ。もちろん、こういう場だけだから…。
理由はただ一つ…余計なことをしたくないからだ。
その時だ…。またあの衝動が襲いかかったあの頭痛…。
「うぅ…。」
頭痛とともに、今度は、極度の吐き気までおそった。
「うぅ…。おえっ...」
僕は、嘔吐して、イスから転げ落ちた。
(う…動けねぇ…。頭痛だけなら行けそうだが…。これじゃあ…。)
また、僕は、意識を失ってしまった…。
僕は…どうなってしまったのだろうか…。
今は、何も考えられない…。
何をすればいいのか…わからない…。
「う…潤野…クン…。」
「目を覚ませよ!起きてんだろ!潤野!」
「早く起きろよ…潤野。」
「績…。」
「ハァハァ...ツムギ・・・?」
僕は…。
「あと、命日が今日…です。」
その発言が、体に染みている…。
どういうわけか、僕の体は、ローズ病のほかに、感染していたらしい…。
その感染した病気やウイルスが、今の状況にさせているのだろう…。
僕が、この空間にいるということは、今は、ベッドの上で、寝ているのだろう…。
皆の声も…聞こえている…でも、返事が出せない…。
目が…あかない…。
口が…開けない…。
体が…言うことを聞いてくれない…。
確か…今日が、命日だ…。僕は、十分に生きていたのだろうか…。
今、僕は死んでいてもよいのだろうか…。
本当に、悔いのないものだったのだろうか…。
わからない…。
その時、体に振れる、水の刺激。
それが、体全体へ広がる…。
それは・・・誰かが流している涙…。
その温かさは…涙だった。
生ぬるい、でも、暖かくて、気持ちが…よくて…。
さらに、僕の手から伝わる握った手の感触…。
なんだろう…これは…。
僕が求めているのは…これなのだろうか…。




