76「結界術成功?」①
昼食と休憩を取ったレダたちは午後も結界術の鍛錬をしていた。
幾度となく、ウィルソンの結界の手本を見せてもらっている内に、障壁と結界では似ているようで違うことが少しずつわかってきた気がした。
だが、まだレダたちは習得できない。
もちろん、数時間で習得できるような術ではないのだが、人間感覚というものはいつスイッチが入るかわからない。
初めて結界術に触れた今日の時間と感覚を大切にしたいと、レダは魔力が枯渇する覚悟で結界術に挑み続けた。
エンジーも汗を流しながら結界術を習得しようと頑張っている。
「――あ、できた」
そんな時だった。
ミナの声が響いた。
レダだけではない。
エンジーもウィルソンも、見守っていたレイチェルや教会関係者も「――え?」と反射的に声を出しミナに視線を向けた。
すると、ミナを中心に円形の結界が張られていた。
障壁とは違う、金色と青が混ざったうっすらとした膜のようなものがミナを守るように現れていた。
「あらぁ、攻撃が通じないのかしらって思ったけどぉ、意外と武器を持ったままでも結界の中に入ることができるのねぇ」
「おもしろいな! 特に違和感なく結界内を行き来できるので本当に守ることができるのは心配になるが……間違いなく力を感じ取ることができるぞ!」
ルナが隠し持っていたナイフを手に取りながら結界の内側と外側の境目で軽く振ってみるが、結界は作用しない。
ヒルデも興味深そうに結界を出入りしてみるが、力は感じるも「何かを通過した」感覚はないようだ。
「なるほどねぇ、これじゃどの街にあっても気づかないわよねぇ」
「むしろ、あると言われても疑問に思うだろうな」
しかし、ミナは間違いなく結界を生み出している。
ただの魔力の膜を作っているわけではないことくらい、魔術に通じていれば見ればわかるのだ。
「――素晴らしいですよ、ミナちゃん! 今までで一番早く、しかも魔石を使わずに結界をこうも使えるとは……」
「えへへ」
心からの賛辞を送るウィルソンにミナが照れ笑いを浮かべた。
「ミナちゃん、結界を広げることはできますか。そうです、少しずつ、ゆっくりで構いません。大きく、そう、難しいことは考えず足元を見ていた視線をもっと遠くへ動かすように……素晴らしい」
ウィルソンの言葉通りに、ミナが結界を広げていく。
彼女自身を覆っていた結界が少しずつ大きくなり、気づけば少し離れているレダたちを呑みこみ、控える騎士たちも飲み込んだ。最終的には、広場をすべて覆う大きさの結界が出来上がっていた。




