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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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34「一夜開けて」





 ――朝。


 レダ・ディクソンは与えられた教会の部屋で優雅に朝食をとっていた。

 部屋の中にあるテーブルには、サンドイッチとお茶、フルーツが並んでいる。


「……頭痛い」

「パパ、教皇と二日酔いになるまで飲むとかすごいことしたわねぇ」

「我ながらそう思うよ。失礼なことをしていないと思うけど」


 飲みすぎたレダは、頭痛を覚えながら苦笑いするしかない。

 ミナのことやディアンヌのことを話をしていて、つい飲まなければいられなかったとは、さすがにルナたちには言えなかった。


「どんな話をしていたんだ?」


 ヒルデが尋ねてくるが、レダはどう答えたものかと悩み、


「男同士の秘密の話だよ」


 誤魔化してみた。


「なるほど、つまり猥談か」

「ちょ!?」


 素直に言うべきだったと後悔するような誤解をされた。


「わいだん、ってなに?」


 聞き慣れない言葉に首を傾げたミナには、ぜひそのまま言葉の意味を一生知らないでいてほしいと願う。


「パパさいてー」


 ルナは冷たい目を向けている。


「あのね、教皇様とそんな話をするわけないじゃないか」

「しかし、冒険者ギルドでは」

「冒険者たちと教皇様を一緒にしちゃだめだからね!?」


 ヒルデの誤解が、教会関係者に伝われば怒られるでは済まないだろう。

 近くに家族以外がいなくてよかった、と心底思った。


「パパったら、冗談に決まってるじゃない」

「……冗談なの? よかった」

「いや、私は冗談じゃないが?」

「…………」

「……ヒルデ、あんたねぇ」


 ヒルデはナオミと一緒に冒険者ギルドを出入りしている。

 エルフ特有の風の魔術はもちろんだが、弓の使い手として重宝されているのだ。

 診療所を手伝ってくれていることはもちろんだが、ヒルデは森を駆けることのほうがやはり得意のようだ。

 レダとしては、必ずしも診療所を手伝ってほしいわけではない。

 野を駆け、森を駆け、獲物を仕留めて瞳を輝かせるヒルデが好きなのだ。


「とりあえず、教皇様に関して余計なことは言っちゃだめだよ。今もお世話になっているし、ディアンヌさんにも迷惑がかかってしまうからね」

「うむ。わかった」

「本当かしらねぇ」


 ルナが不安そうな顔をするが、大丈夫だろう。


「そういえば、ヴァレリーはどうしているの?」


 アストリットは王宮に戻っている。

 ディアンヌは久しぶりに教会本部に戻ってきたので聖女としてのお勤めをしている。

 護衛のエルザやテックス、ローゼスとロロナは教会内では護衛が必要ないため、外に出る時まで英気を養ってもらっている。

 もっとも、ローゼスとロロナは教会本部では落ち着かないようだが。


「パパったら、朝食の前に言ったじゃない。ヴァレリーはディアンヌを手伝うって」

「そ、そうだっけ?」

「おとうさん、お姉ちゃんは言ったよ?」

「あ、あれー?」


 二日酔いのせいか、寝起きの記憶が曖昧だった。


「ほら、ヴァレリーは辺境伯の妹じゃない? だからぁ、立場もあるのよねぇ。だからお手伝いってことぉ」

「じゃあ、俺たちも」

「あ、それはいいってぇ。あくまでもパパはお客人だから、手伝ってもらったりするのはいろいろまずいみたい。のんびりしていてって」

「そっか。少し手持ち無沙汰になっちゃうね」

「そうは言うが、レダはずっと診療所で働き詰めであるし、災厄の獣とも戦ったんだ。こんな日くらいのんびりしてもバチは当たるまい」

「お父さん、おやすみも大事だよ!」


 ヒルデとミナも休むように言ってくれたので、レダはお言葉に甘えて休むことにした。


(ただなぁ、一般人としては、教会本部の良い部屋でのんびりはできないというか、逆に気を張って疲れちゃうというか……あはは、困ったなぁ)





 庶民派レダには、ちょっと環境が辛いです。


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挿絵(By みてみん)

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