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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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31「教皇のお願い」①





「よろしい、のですか?」


 モンスターを遠ざける結界の存在は知っている。

 この王都にも張られていると聞く。

 結界が、完全にモンスターを遠ざけるわけではないが、力が弱いモンスターなどは近づけなくなるのだ。

 冒険者時代にちょっと聞いた話だと、結界を「異物」として捉え、近づきたくない。モンスターはそんな風に思うらしい。

 いくつかの領地の街には、古くに張られた結界があるとされている。

 アムルスにも結界は張られている。


 その結界の価値は、金になどならない。

 誰もが喉から手が出るほど欲するだろう。


「もちろんです。秘術などと言いましたが、教会では使える者には積極的に教えています。人々を救ってこそ、私たちですから。しかし、残念ですが、扱うには魔力が大きいこと、結界を作るために強い魔力が必要であることであるため、適合者が少ないのです」

「俺と、ミナとエンジーなら使えるということですか?」

「はい。レダ様はこうして向き合っているだけで強い魔力がわかります。おそらく、魔力量も強さも私以上でしょうね。先ほどお会いしたミナ様、エンジー様は潜在能力的には我々よりも上です。使えるようになるには時間は必要ですが、使えることは間違い無いでしょう」


 大変なことだ。

 治癒士であることでも、立場が大変なのに、希少な結界まで使えるようになってしまうと、どうなるのだろうか、と想像ができない。


「俺たちは対価として何を差し出せばいいのでしょうか?」

「ふふっ、面白いことを言いますね」


 ウィルソンが柔らかく微笑む。

 その顔には親しみが込められている気がした。


「私にとってディアンヌは娘同然。そんなディアンヌの娘であるミナ様は、孫のような存在です。ミナ様にとっての父親であれば、私にとっても家族同然。エンジー様も同じです。家族から対価をもらったりしませんよ」


 好々爺としか思えない表情のウィルソンに、レダが警戒を浮かべようとして耐えた。

 あまりにも都合が良い。

 善意であるとしても、すでに善意はいただいている身だ。

 これ以上のことをしてもらい、本当にいいのだろうか、と悩む。


「警戒していますね?」

「い、いえ」

「構いませんよ。私がレダ様の立場でも、この爺さん胡散臭いなと思います」


 そんなことは言っていない、と返せる余裕はなかった。


「レダ様が今まで善意で多くの方を助けてきたことを知っています。助けられた者に教会関係者が、信者がいます。そのお礼……もあります。申し訳ない。私の話し方はどうも相手を警戒させてしまうようですね」


 ウィルソンは表情も雰囲気も変えず、言葉を続けた。


「実を言うと、打算もあります」

「打算、ですか?」

「はい。私が言っていいものか今も悩んでいるのですが、あまり善意の押し売りで困らせてしまうのであれば、要望を言わせてもらおうかと思いますが、いいでしょうか?」

「もちろんです。どうぞ」

「では、ありがたく」


 レダとしては、打算でもなんでも、要望を言ってもらった方が気が楽だ。

 問題は、その要望に応えられるかどうか、であるが。


「単刀直入に申します。――ディアンヌと結婚していただくことは可能でしょうか?」

「ほにゅ?」


 ――変な声が出た。





 ディアンヌさんのヒロインフラグ!?


 双葉社モンスターコミックス様より「おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ~中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる~」の最新12巻が発売いたしました!

 1巻〜11巻も何卒よろしくお願いいたします!

 ぜひ応援していただけますと嬉しいです! 何卒よろしくお願いいたします!

挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
立った!ついにフラグが立った!!長かった…やっと奥さん(推定、未定、可能性)が候補から可能性に上がった!あとは、ナオミのようなほぼ家族同然の女性、エルザやアンジェリーナたち大人組の女性、ローゼスみたい…
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