6「ローゼスとロロナ」②
「でも、二人にいいところであったよ」
「どうかしたのか?」
「あたいらになんか用だった?」
「実は、これから王都に行くんだけど、よかったら護衛に二人を雇ってもいいかな?」
ローゼスとロロナにちょうど良いタイミングで再会したレダは、二人に王都へ行くレダ達の護衛を依頼した。
「信頼できる冒険者を探していたんだ。ローゼスとロロナなら、家族も知り合いだし、俺も信頼しているし、お願いできないかな?」
「王都か。そういえば、ウェルハルト王子がユーヴィンに来ていると小耳に挟んだが、レダ達と一緒に行動していたんだな」
「うん。いろいろあってね」
「災厄の獣関連だろう?」
「……さすがローゼス、耳が早いね」
「まあな。できれば共に戦いたかったが、レダが無事で何よりだ」
「みんなのおかげで、こうして元気でいられるよ」
「ちょっとちょっとちょっと! 姉御、何のほほんと話しているんですか! あたいたちを護衛に雇ってくれるのはありがたいけど、王子様たちと一緒に王都に行くなんて、できるわけがないって!」
「そうか?」
「そうか、って!?」
「王子」という単語に、驚きを禁じえないロロナに対し、ローゼスは気にした様子はない。
レダ的には、ロロナの方に同感してしまう。
「さすがに王族はないが、貴族の護衛をしたことはあるから大した問題じゃないさ」
「大した問題だよ、姉御!」
「それに、私達はレダ達の護衛だろう? 王子と関わる事なんてないさ」
「そりゃ、そうかもしれないけど」
「私も貴族の護衛中に貴族の顔を見たことなんてないから大丈夫だ。それに、レダが信頼してくれているというのだから、応えたいじゃないか」
「――っ、そうだよな! おっさんには返しきれない恩があるんだし、護衛ぐらいやってやんよ!」
「ありがとう、ローゼス、ロロナ」
レダは、信頼に応えようとしてくれる二人に感謝した。
二人ならば家族のことを安心して任せることができる。
「まかせろ!」
「あたいも頑張るぜ! ……でも、王子様が近くにいると思うと緊張しちゃうよな!」
「はははは。王子だって余程の変わり者でなければ、数いる護衛の中から私達を見つけて話しかけたりしないさ。そもそも、護衛達が一介の冒険者を王子に近付かせる訳が無いだろう」
「そりゃそっか!」
笑うローゼスとロロナに、レダは「……ウェルハルト殿下は気さくに話しかけてくるちょっと変わった王子様なんだけど……なんかごめん」と、言おうとして言えなかった。
――こうして信頼できる護衛が決まった。




