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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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2「出発の朝」②

話が抜けており申し訳ございません。

修正したつもりができておらず、大変失礼いたしました。





 レダの弟子にはなっておらず、弟子見習いという立場のエンジーも「強いミナの希望」により王都に行くことになっていた。

 当初、エンジーは不仲な家族がいる王都に戻りたくないと言っていたのだが、ミナの「お願い」によって王都行きが決まった。

 レダとしては、エンジーはもう見習いでいる必要はなく、独り立ちしてもいいのではないかと思っているが、やはり心が不安定であるため本人は望んでいない。

 災厄の獣に立ち向かった度胸、仲間を見捨てることのない優しさ、治癒士としての実力、すべて申し分がない。レダとしても、見習いたいと思っている。

 まだ慌ただしいかったため、話は進んでいないが、正式に弟子として診療所を本格的に手伝ってほしいと思っている。


 そんなエンジーだが、馬車に乗る前から吐きそうな顔をしていて、今は泣きそうだしそうだ。


「そ、そんなに王都に行くのが嫌だったのかな?」

「いえ、レダ先生、違います。王都に行きたくないって気持ちはありますけど、僕もそろそろ自分の中でケリをつけたいですし、いい機会のなったと思います。ですが」

「ですが?」

「王子殿下とご一緒とか聞いていませんよ!? むしろ、ルルウッドたちが平然としているのがびっくりです!」

「安心していいよ、ウェルハルト殿下は気さくな方だから」

「そ、それはもう十分過ぎるほどわかっています。一緒の馬車に乗ろうと誘われてしまい……殿下のお誘いを断れるはずもなく、僕は王都までどうすればいいんでしょうか!?」

「寝ているとか、どう?」

「殿下前に!? 不敬だと思われて斬り捨てられませんか!?」

「殿下はそんなことしないよ」

「殿下がせずとも、騎士の方々が斬りますって! 絶対に!」


 気持ちはわかる。

 レダも、ウェルハルトと一緒の馬車に乗るように誘われているが、そこはアストリットのおかげで避けることができた。

 もしかしたらレダの代わりにエンジーが誘われてしまったのかもしれない。そうであれば、申し訳ない。


「えっと、頑張って」

「ご助言は!?」

「俺の平民だからわからないや」

「テックスさん!」

「平民の中の平民の俺にわかるわけがねえだろ」

「んにゃあああああああああああああ!」


 気弱な面はあるし、メンタル的には不安定でもあるが、以前のエンジーよりも逞しくなったと思う。

 以前のエンジーならば、王子殿下と馬車に一緒に乗る以前の問題として、逃げ出すか倒れるかしていただろうし、ウェルハルトも誘えなかったと思う。

 災厄の獣との戦いは、良い意味でエンジーを大きく成長させていた。


「おとうさーん! そろそろ出発の時間だってー!」


 馬車の窓から愛娘ミナが顔を出してレダを呼ぶ。


「はーい! 今行くねー!」


 娘に手を振ると、レダはエンジーの肩を叩いた。


「――がんばって!」

「そんな!?」

「ははは、未来の国王陛下にコネができたと思えば楽だろうに」

「テックスさんまで!?」


 目尻に涙を浮かべたエンジーの背後に、レダの弟子でありエンジーの友人であるルルウッドが近づいてきた。


「エンジー、殿下がお待ちだ。災厄の獣と最前線で戦ったエンジーの話を聞きたくてわくわくしておられる。待たせてはいけないよ」

「ルルウッド、あの、僕」

「困惑するのはわかるが、諦めて殿下にお付き合いするんだ。殿下はとても良い方なので心配はいらない。王都で甘いものを買ってやるから頑張れ」

「ちょ」

「では、先生、テックス様、エンジーはお預かりします」

「よろしくね」

「おう、頼むわ」


 ルルウッドはエンジーの襟首を掴むと、レダとテックスに挨拶をして引きずっていく。

 必死に手を伸ばすエンジーであったが、残念ながら助けることはできない。

 いざと言うときに頑張ることのエンジーだからこそ、今回も乗り切れるだろう。

 そう信じ、レダとテックスは手を振った。






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