表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

551/628

120「ウェルハルト駆ける」





「ウェルハルト殿下!」

「やあ、ティーダ・アムルス・ローンデンヴァルト辺境伯。急な来訪申し訳ない。風呂まで借りてしまい、感謝しているよ」

「いえ、それは構いませんが、あの、どちらに」


 浴室から出たというウェルハルトは、ティーダに会うことなくメイドを通して感謝を伝えると、すぐに身支度を整えて屋敷の外に出てしまっていた。

 レダとティーダが慌ててウェルハルトを追いかけ、馬に乗ろうとしているところを見つけ、声をかけた。


「もちろん、道中やむをえず置いてきてしまった仲間を助けにさ」

「それは、我が街の冒険者たちが」

「無論、聞いている。心からありがたく思っている。だが、彼らは私の仲間だ。災厄の獣という未知なる化け物と戦おうとする私についてきた友でもある。姉上の命で治療だけではなく食事と風呂までいただいてしまったが、これ以上は仲間に申し訳ない! ――とう!」


 馬に飛び乗ったウェルハルトは手綱を握る。


「レダ、簡単な挨拶で申し訳ない。あとでゆっくりと話をしよう!」

「ウェルハルト様」

「では、また後でな!」


 そう言い残しウェルハルトは馬で駆けていく。


「……ウェルハルト様は良い王になるでしょうね」

「仲間を想い、民を思う良き方だ。そこは疑っていないが、殿下が動くというのに私が動かないわけがいかぬ! 我が街の冒険者を信じていないわけではないのだろうが、ああ、もう!」


 さすがに王子が仲間を助けるために動いているのに、ティーダが屋敷の中で待機することはできない。

 それはレダも同じだった。

 生来のお人好しもあるが、アムルスのために戦いにきてくれた騎士と冒険者のために何かをしたい。


 そう思えばすることはひとつだ。


「ティーダ様、俺もお手伝いします」

「レダ、しかし、病み上がりでは」

「戦うわけじゃありませんし、治癒士も必要でしょうからぜひお手伝いさせてください」

「――助かる!」


 レダとティーダは手早く身支度を整えると、ウェルハルトに少し遅れて飛び出した。





 ■





「……あら、幻かしら。ウェルハルトが馬に乗って街の外に向かったのだけど」


 炊き出しの準備を手伝っていたアストリットは「待っていろ、仲間たちよ!」と叫んで馬を走らせる姿を見て目を擦った。

 だが、幻ということにして炊き出しの準備に戻る。

 しばらくしてから、今度はレダとティーダが馬に乗って「ウェルハルト様!」と叫び同じように馬を走らせる姿を見て、アストリットはさきほどのウェルハルトの姿が幻ではなかったと理解した。


「レダとティーダ様まで……ウェルハルトが引っ掻き回しちゃって、あとで謝っておかないと」


 馬には追いつけないので、アストリットは三人が戻ってくるのを待った。





 仲間思いのウェルハルト殿下です!


 双葉社モンスターコミックス様より「おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ~中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる~」の最新11巻が2/15に発売いたしました!

 ぜひ応援していただけますと嬉しいです! 何卒よろしくお願いいたします!

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
弟くん…なんか頑張れ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ