95「最高のメンバー」③
「レダ先生! お待たせしました!」
「――え?」
ノワールとテックスに続き、新たな声が上がった。
次の瞬間、モンスターを生み出していた獣が頑丈な結界に覆われる。
「――その声は、ルルウッド!?」
「私もいます!」
「シュシュリーまで!?」
声の主に気づいたのは、エンジーだった。
彼が名を呼んだのは、レダの弟子となった若き治癒士ルルウッドとシュシュリーだった。
ふたりは治癒士がいないユーヴィンにしばらく残って街を支えることになっていた。
後日、交代してアムルスを訪れてレダと共に働くことになっている彼らが、まさかここにいるとはレダも驚く。
「私もいます!」
「私もいますぞ!」
「アメリア、ポールさん!」
新たな声の主はレダにもすぐわかった。
弟子として共に働く若き治癒士アメリアと、元伯爵でありながら治癒士となったポールだった。
「どうして四人が」
「すまないな、私が呼ばせてもらった。聖属性を持たずとも回復魔法を持つ優れた治癒師は戦力となる。レダは望まないだろうが、相手は災厄の獣だ。使えるものはなんでも使わせてもらおう」
「――みんなが自分の意思で来たのなら俺は何も言わないよ」
「ふっ、少しずつ柔軟になっていくな。それでいい。戦場で柔軟になれなければ、待っているのは死だ」
ルルウッドたちは、レダたちにかけよった。
「レダ先生、ご無沙汰しております。挨拶をしたいのですが、積もる話は災厄の獣を倒したあとにしましょう。まさか御伽話の獣を相手にする日がくるとは思いもしませんでした」
「わ、私もです! お姉ちゃんへの良い土産話になりましゅ!」
戦いを前に高揚しているルルウッドに対し、シュシュリーは緊張気味だ。
アメリアは冷静さを装っているが額には汗を滲ませている。
ポールも災厄の獣を前に苦笑いをしている。
「レダ殿」
「ポールさん」
「ネクセン殿とドニー様がアムルスを引き受けてくださっています。ユーヴィンでは、ユーリ様がいます。我々ならば、こっそり動いてもご家族にはバレぬと思い……勝手なことをしました」
「いえ、助かります。正直、想定していたよりも俺たちは聖属性を学ぶ時間がなかったんです。ですが、回復魔法なら――」
「ええ、レダ殿の回復魔法の凄さはよく知っています。ならば、怖いもの無し!」
ポールがレダの肩に手を起き、鼓舞するように声を出す。
「エンジー、また会えて嬉しいぞ。話には聞いていたが、立派になったな。友として嬉しい」
「ルルウッド」
ルルウッドもまた同期であるエンジーに声をかけていた。
「さあ、結界がそろそろ壊れるぞ! 治癒士の諸君、前衛は我と勇者ナオミ、冒険者テックスに任せたまえ! ここで災厄の獣を屠り、英雄となろう!」
ノワールの檄に、レダたちが構えた。
同時に、獣を覆った結界が割れる。
結界の中に溢れんばかりに生まれていたモンスターがレダたちに向かって向かってきた。
「――ヒール!」




