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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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93「最高のメンバー」①




「ナオミ……どうする?」

「このまま叩くのだ! 前に戦った時より、ずっと戦えているのだ!」


 レダは消耗が激しい戦いに苦しい思いをしているが、ナオミ的には手応えがあるようだ。

 確かに、こんな獣と一対一で戦う事に比べたら、足止め要員でもいるだけマシだろう。


「私は攻撃に全振りするのだ! レダとエンジーはとにかく動きを止めていてくれなのだ!」

「了解」

「はい!」


 レダはエンジーと共に、言われたまま結界の維持に集中する。

 身体を聖属性の結界に焼かれながら災厄の獣は暴れ続ける。

 よほど気に入らないのだろう。


「――では、行ってくるのだ!」


 ナオミは結界の中に入り、聖剣を振るった。

 うなりを上げて振るわれた聖剣が災厄の獣の巨体を斬り、飛ばした。

 血を撒き散らし、背中から結界に激突し、焼かれる獣が絶叫をあげる。


「……ずっと気になっていたんですけど」

「エンジー?」

「災厄の獣……痛がっていますし、苦しんでいますけど……どこか楽しんでませんか?」

「……そう、かもしれないね」


 獣は叫びながら、どこか笑っているようにも見える。

 なにを思い何を考えているのか、言葉が通じないのでわからない。

 それでも、エンジーの言うことはレダも感じていた。


「どりゃぁあああああああああああああああああああああ!」


 聖剣が前足を斬り飛ばす。


「やった!」


 もう一本の前足も斬り飛ばした。


「いけ! ナオミ!」

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 雄叫びを上げたナオミが、一直線に聖剣を振り下ろす。

 レダには剣筋が見えなかった。

 だが、獣の首から鮮血が散ったことで、首を斬ったのだと理解した。


 首が落ちるほどではないが、吹き出した血が止まらない。

 再生もする気配はない。

 このままいけるか、と思ったとき、獣が大きく息を吸い胸を膨らませた。


「ナオミ! ブレスだ! 逃げろ!」


 災厄の獣は、黒い炎の吐き出した。

 結界の中が漆黒に染まる。


「ぐっ」

「あぁあっ!」


 結界の維持ができない。

 レダとエンジーは目配せをして、結界を諦めた。

 このまま無駄な力を使うよりも、ナオミを見つけて退くのが最良だと判断したのだ。


 しかし、


「ナオミ!」

「ナオミ様!」


 レダたちの目の前で、ナオミの姿が黒に包まれて消えた。

 人間の希望である勇者が、獣の炎に飲まれたのだ。


「ナオミぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」


 レダにとってナオミは勇者ではない。家族だ。

 そんな家族である少女に万が一が起きたと考えると、叫ばずにいられなかった。


「レダ先生!」


 そんなレダに結界を砕いた炎が溢れて襲いかかるが、エンジーが障壁を張ってレダの腕を掴んで逃げてくれた。


「レダ先生! 落ち着いてください! ナオミ様なら大丈夫です! ほら!」

「――え?」


 エンジーが指差したのは、獣の吐き出した炎で焼ける森の上空だった。


「やれやれ、まさか我が勇者を助ける事になるとは……生きていると何が起きるかわからないな。だからこそ、面白い」


 漆黒の長い黒髪を風に揺らし、黒づくめの鎧に赤いマントを靡かせた長身の青年がナオミを抱き抱えて宙に浮いていた。

 まるで覚えがないはずなのに、青年からは言葉にできない信頼感があった。






 ここからガンガンいきます!


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挿絵(By みてみん)

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― 新着の感想 ―
満を辞して魔王復活!!! めっちゃカッコいいぞ!!!
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