表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

522/628

91「エンジーの活躍」②





「……これは、結界?」


 白い光は災厄の獣を囲んだ。

 獣は興味と好奇心を抱き、爪を立てるが光の円はビクともしなかった。

 それどころか、獣の爪が弾け飛び血が噴き出るダメージを与えたほどだ。


「はい! 聖属性の結界です!」

「――なんて器用な……それにしても、いつの間に」

「思いついたので勢いです! 自信がないって言いそうですけど……意地でも災厄の獣を出しません!」


 レダはエンジーの才能が覚醒したことを察した。

 もともと控えめだった性格だったエンジーだが、それは能力の問題ではなく、人間関係だった。

 実際の腕は、同期たちと遜色ない。

 先日の、凄惨な現場も乗り切り一皮向けたと思っていたが、どんどん成長していく。


(――俺がエンジーの歳の頃は燻ってたからなぁ)


 才能もあるが、エンジーの心が強いのだ。

 恐ろしい獣を前に、逃げ出したい気持ちを抑え、立ち向かった。

 誰にでもできることではない。


 勇者でも冒険者でもない、治癒士のエンジーがやっているのだ。

 レダもナオミも負けていられない。


「エンジー! この結界の中には」

「入れます!」

「よくやったのだ!」


 ナオミが結界の中に飛び込んだ。


「今度は絶対に、ここで仕留めてやるのだ!」


 ナオミが聖剣を振るう。

 斬る、ではなく、叩き潰すような勢いだ。

 彼女の小柄で細い腕のどこからそれほどの膂力が出るのか、見ていて唖然としてしまう。

 巨体を持つ災厄の獣はナオミの一撃によって、吹き飛ばされ、背中からエンジーの張った聖属性の結界に激突した。




 ――次の瞬間、絶叫が上がった。




 吐き気が込み上げてくるような、絶叫だった。


 背中を結界に焼かれた獣が、呪いを込めて叫んだのだ。

 油断もあっただろう。

 好奇心もあっただろう。

 しかし、与えられた痛みによって、「それら」が消えた。


「ナオミ! くるぞ! 結界の外に出ろ!」


 獣の変化を感じたレダが叫び、ナオミが飛び出す。


「エンジー! 力を全力で!」

「はい!」


 獣がナオミを追って地面を蹴った。

 決して広くない結界内の中を短い時間走り、大きく口を開けてナオミを食らおうとした。

 だが、ナオミはわずかな差で結界の外に飛び出しており、獣は結界に激突した。



 ――また絶叫があがる。



 聖属性とよほど相性が悪いのだろう。

 背中と同様に、顔が焼け、爛れた。

 しかも、再生しない。


「――いける!」


 レダも魔法を撃ち、畳み掛けようとした。



 ――が、エンジーの張った結界に亀裂が走る。



「レダ! サポートをするのだ!」

「ああ!」


 ナオミがレダの名を呼んだときには、エンジーの結界の上から新たな聖属性に結界を張っていた。

 一般的な魔術障壁の代用だが、これでもかと強固に組んだ。

 聖属性も叩き込んだ。


「……我慢比べになりそうだね」


 身体が焼かれようと気にせず暴れ続ける獣に、レダは嫌な汗を流した。






 聖属性があるのでまともに戦えていますが、もしなかったらもう死んでいたでしょう。

 それだけ災厄の獣と聖属性は相性が悪いのです。



 双葉社モンスターコミックス様より「おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ~中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる~」の最新10巻が発売いたしました!

 ぜひ応援していただけますと嬉しいです! 何卒よろしくお願いいたします!

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ