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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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87「最悪の戦い」①





 ――奴。


 ナオミが言う「奴」が何を指すのか、レダもエンジーも今さら問うことはしなかった。


 だが、予定よりもあまりにも早い。


 ナオミはさておき、レダとエンジーは聖属性の力こそ使えるようになったが、強弱ができないのだ。


 ――戦うにはあまりにも早い。


 だからと言って、逃げる選択肢はなかった。


「……レダ、エンジー! 予定よりも早まってしまったが、お前たちは強いのだ! 私もいる! 三人ならば、災厄の獣を倒せるのだ!」

「…………そんな、もう」


 エンジーが膝を震わす。

 恐怖わかる。

 得体の知れないものと戦うのだ。

 怖くない方が嘘だ。


「――――あ」


 最初に気づいたのは、エンジーだった。

 彼は森の奥に、得体の知れないなにかを見つけた。


「あ、ああ、ああああああああああああああ!?」


 一瞬で、恐怖にとらわれたエンジーは膝をつき、叫ぶ。

 レダとナオミは、エンジーを落ち着かせることができる余裕などなかった。





 ――なぜなら、すでにそれはいたのだ。





 ずるり。

 ずる、ずるり。





 なにかを引きずるような音がした。

 重い物を無理やり動かそうとしている音だった。





 レダの腕が無意識に震える。

 本能が恐怖していた。



 それは勇者ナオミでさえ同じだった。

 震わせた手で聖剣の柄を固く握りしめている。



 三人は、瞬きを忘れ、目を動かせずにいた。



 震えが止まらない。

 むしろ、大きくなっていく。

 歯がカチカチと音を鳴らす。


 レダは、今にも逃げ出したい衝動に駆られてしまう。

 が、耐えた。

 いや、違う。

 逃げることさえできなかった。


 恐怖によって身体が硬直していたのだ。





 ――そして、「それ」は現れた。





 まるで闇と泥を身に纏ったような化け物だった。


 巨体を引きずりながら、「それ」は真っ直ぐ向かってきた。




「――ひ」




 エンジーが短い悲鳴を上げるが、これ以上声を出さないように必死で口を自らの手で押さえる。

 呼吸よりも、声を出さないことを優先したのだ。





 ――それは、漆黒の獣だった。





 闇色の泥に汚れた、獣だった。

 今までに見たモンスターや魔獣とも違う。

 四肢を地面に着き、重い身体を引きずるように歩く姿は、どこか怪我人を連想させた。

 それでも、レダは治療しようなどと微塵も思わない。

 むしろ、そのまま死んでくれ、とさえ願った。





 ――「それ」は獅子のようだった。

 ――否。狼のようだった。

 ――否、否、否。




 ――どの動物にも似ているようで、似ていない。

 ――ただの異形だった。




 ――「それ」が異形であると自慢するように、赤く光る六つの目がレダたちに向く。




 そして、口が引き裂けんばかりに開かれ、唾液に塗れた牙が剥き出しとなった。






 災厄の獣と戦います!


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 何卒よろしくお願いいたします!

挿絵(By みてみん)

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