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おっさん底辺治癒士と愛娘の辺境ライフ 〜中年男が回復スキルに覚醒して、英雄へ成り上がる〜  作者: 飯田栄静@市村鉄之助
六章

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82「訓練の始まり」①




 レダとエンジーはナオミに連れていかれ、アムルスから少し離れた森の中にある小さな湖の傍にいた。

 数日、この場でキャンプをしながら訓練する予定だ。

 先日、モンスターが暴走したこともあり、この辺りは平和だ。

 だからといって、のんびりするつもりはない。


「さっそく訓練開始なのだ!」


 ナオミが意気込んで、両腕を上げる。

 対して、レダとエンジーは、ここにくるまで彼女に襟首を掴まれて高速移動となったので、吐き気と戦っていた。


「ちょっと待って、吐きそう」

「僕、もう、おえっ」

「ふたりともだらしないのだ。じゃあ、私は泊まる準備をしておくのだ!」


 てきぱきと作業を始めるナオミを見送り、レダとエンジーがその場に倒れた。

 弱々しく手を伸ばして、お互いにヒールをかける。


「……幸先悪いですね」

「だね。だけど、頑張らないと」

「そう、ですね」


 ふたりは踏ん張って、立ち上がる。

 その間にナオミは手際良くキャンプの支度を終えていた。


「お! もう元気になったのか?」

「まだ少し気持ち悪いけど、遊びに来たわけじゃないからね」

「頑張ります!」

「うむ! 良い根性なのだ! ――ならば、始めるのだ!」


 ナオミが聖剣を抜き、地面に突き立てた。


「私は言葉での説明が苦手なので、感覚的に学んでもらうのだ!」

「……予想はしていたけど」

「……予想通りでしたね」


 顔を見合わせて頷くレダとエンジーを、聖剣から発せられた金色の光が包んだ。


「……これは」

「暖かい?」


 まるで適温のお湯の中にいるような心地よさがある光だった。

 どこか安堵できる優しさを覚える。

 レダの脳裏には母フィナの顔が浮かぶ。


 幼い頃、母に可愛がってもらった思い出が溢れてくる。

 忘れていた記憶でさえ蘇り、涙が零れた。


 胸を締め付けられるような、切なく、幼い日に帰りたいという感覚さえ覚えてしまう。


 金色の光が収まると、隣ではエンジーも涙を流していた。

 しかし、どこかつらそうだ。


「大丈夫か、エンジー?」

「あ、はい。昔の、両親が優しかった頃のことを思い出してしまって。あの時は、僕が治癒士の才能がなくても可愛がってくれていたんです。だから、どうして、今の両親のようになってしまったのかって考えると、悲しくて」

「……そうか」


 エンジーの家庭環境は浅くだが聞いている。

 時間があれば、もっと話を聞いてあげたかったが、今はその時間ではない。

 訓練が終わったあとで、ゆっくり話を聞こう。

 そう思い、レダは励ますようにエンジーの肩を強めに叩いた。


「まずは聖属性という力を感じてもらったのだ。ふたりならもうモノにしたと思うのだから、続いて実践編なのだ!」

「――え?」

「――へ?」


 




 ナオミはスパルタです!


 コミック最新9巻が発売中です!

 ぜひお読みいただけると嬉しいです! 何卒よろしくお願いいたします!

 双葉社がうがうモンスター様HP・アプリにてコミカライズ最新話もお読みいただけますので、よろしくお願いいたします。

挿絵(By みてみん)

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